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【プロいく感想まとめ】プロ育成ゼミ第1期〜三宅香帆さんと谷頭和希さんの文章講座を受けて
文芸評論家の三宅香帆さんと都市ジャーナリストの谷頭和希さんが講師をされていた、プロ育成ゼミ(通称プロいく)の感想についてです。
講義のまとめについては以下のnoteに書いています。ぜひご覧ください。
講座の良い点
講師お二方に共通する部分とそうでない部分があり、書くことに対する異なったアプローチを同時に学べる点。特に第1回の講義で、その点が顕著でした。下記のnoteの方も書いているように、三宅さんのアプローチ方法は膨大な知識量を前提としていると感じます。
もちろん、三宅さんのアプローチ方法で現時点でも真似できる部分もあるのですが、なかなかハイレベルなことだと感じました。物事や文章に対する分析力と言語化能力を向上させる必要性を感じたので、三宅さんのおすすめ自主ワークをどんどんしていきたい……!
一方で、谷頭さんのアプローチ方法は、国会図書館の活用やフィールドワークなど、誰でも比較的取り入れやすい部分が多かったです。また、フィールドワークのコツなど、ある部分をもっと掘り下げた単発講座があると嬉しいねと受講生と話しており、今後開催されることを願っています(受講後アンケートにも書きました!)。
締切について
大学時代、元新聞記者の方に添削してもらえる、少人数での授業を取っていました。その授業は、毎回授業の初めにテーマが出され、それについて90分で400字詰めの原稿用紙に手書きで書くスタイル。
初めこそ、尻すぼみであったり、展開が無茶苦茶でしたが、回を重ねるごとに上達したことが自分でも分かりました。書き始める前に大まかな構成を考えることが非常に大切だと身をもって実感。また、90分の限られた時間の中で、いかに読み応えのある文章を書けるか周りも自分も必死に。一時的な集中力の高まりによって、ひらめきが生まれる瞬間が何度もあったことを記憶しています。
小説家の山内マリコさんが以前トークショーで「締切は人を最もクリエイティブにする」と仰っていました。この場合、講義時間の関係で90分後には締切がやってくる。それまでにどうにかこうにかもがくこと、限られた時間の中で集中して考えることが、ひらめきに繋がったのだと思います。
ゴールがあるから頑張れる、そしてまた次のゴールを目指して頑張る、その繰り返しでしか上達しないよなーと。プロいくの最終講義でも「とにかく書きましょう!!!!!!」のスライドで締めくくられていました。note週一更新など、自分自身に締切を課して、書く回数を重ねていきます!
赤字について
大学生の頃、体育会のスポーツ新聞を作る部活に所属していました。その際、赤字(修正)を入れてもらうことへのありがたみを常に感じていました。
体験入部で初めて書いた新聞記事(天声人語の半分くらいのスペース)は、20回以上の赤字の修正を重ねたことも。なかなか先輩からOKが出なくて大変でしたが、最初に書いた文章に比べて、出来上がった文章は比べものにならないくらい良くなっていました。自分の文章の原型が跡形もなくなる体験を、あの時にしていて良かったなと思います。
入部後、半年くらいは赤字のオンパレードでした。しかし、文章を書くことに慣れると、今度はほとんど指摘されなくなることの怖さを感じたこともあります(新聞部では年4回発行の新聞と、日々発行する号外の作成が主な活動。普段つくる号外はスピード感重視で、筆力が上がると構成さえできていればそれなりにはなるので、割とすぐにOKが出ていた)。赤字を入れてもらえると安心感さえ感じていました。
一から書く大変さはもちろん、赤字を入れることをそれ相応の大変さがあるので、赤字は講師、編集者からの愛である!と個人的には思っています。
私の場合、自身が指導されるだけの立場だった大学一年時はなんて気楽だったんだ!と後輩の記事をチェックする立場になって痛感しました。もとの良さを活かしつつ、軌道修正するのはとても技術のいること。自分で記事を書くことよりも、後輩の記事をチェックすることのほうが遥かに難しかったです。
受講生の皆さんの原稿の赤字を見て、聴講生の私も学んでいました。講師の方々、課題提出をされていた受講生のみなさん、ありがとうございます。また、岡本さん、吉田さんの赤字は、三宅さん、谷頭さんとはまた違った視点で書かれていて非常に勉強になりました。
最近、気づきがあった本や動画
書く仕事がしたい / 佐藤友美
懇親会で三宅さんがおすすめされていた本。雑誌→ウェブニュース→書籍の順で情報を得ると良い(書籍は著者の思想が出やすい)(p166)になるほど!と納得しました。私は何か調べるときにとりあえず本を読みがちですが、この手法を取り入れていきたいです。本で情報を得る際、そのジャンルの本を何冊も読むと著者独自の偏りに気付けはすると思う反面、何冊も読むのは時間がかかるので、雑誌は読書負荷が少なくて良いなと。
note YouTube 新川帆立さん出演回
想定読者をかなり綿密に作り上げられていて勉強になりました。小説家とライターでは書き方、戦略の立て方が異なると思いますが、参考までに。
ゆる言語学ラジオ YouTube
実用書などを読む際に、もっと気軽に読んで良いんだなと読書へのハードルが下がりました。本は途中で読むのをやめてもいいし、なんなら目次だけパラパラ読むのも、トレンドや概要を掴む方法の一つである。
分析の重要性
このミステリーがすごい!大賞を受賞された新川帆立さんは、賞の応募の際に非常に分析をされた上で投稿されています。
小説にはたくさんジャンルがあるので、投稿する予定の賞の傾向を分析、自分が書いた小説は果たしてその賞に相応しいか?(カテゴリーエラーではないか?)を吟味する必要性があります。また、そもそも書く前にしっかりと受賞作を分析して、それぞれの賞にあった作品の方向性を考える重要性があるなと。
ライターでも同じことが言えると思います。プロの文章を分析する重要性を講座を通してより感じました(特に講師お二人の文章を分析すると、講座への理解が深まるはず)。
また小説家を目指す場合、よく言われるのが「たくさん小説を読みましょう!」です。人の文章に左右されそうだから読みたくないというのは誤りで、たくさん読めば読むほど、重要な上澄みが自分の中に蓄積され、作家個人の特性は薄れていく、とも言われています。
何をするにしても初めは真似ることから始めて、慣れてきたら分析する。今後は、この姿勢を常に意識していきます。
書き出し
大学時代に所属していた体育会のスポーツ新聞を書く部活では、書き出しにかなり力を入れていました。最初の一文で、読者の方をぐっと引き込めるよう、特に気合いを入れたい部分です。
書く手段
PC以外の手段を試してみるというのは、私も取り入れています!小説を書く私の場合、ある一場面だけシーンが浮かぶことが多いので、ひとまずiPhoneのメモに打ち込む→登場人物の設定(性格、職業、居住地など)、物語のテーマ、話の流れなどを一旦手書きでノートに書く→ノートを元にポメラでひたすら書く という流れです。
今後プロへ近づくにはどうすべきか?
三宅さん、谷頭さんそれぞれの文章の写経
文章のリズムや構成を学べる。また、講座で解説があったポイントへの理解を深められるのでは?
noteで記事を書き、ジャンルごとにマガジンをつくる
編集者の方の目に留まるようにする。
パラグラフライティング、ハンバーガーパラグラフなどを学ぶ
既存の型をしっかり学ぶ。基礎は大事。
想定読者を常に意識する
誰に読んでもらいたいのか?どういった人に向けた文章なのか?
新しい切り口
プロいくの第一回で取り上げられていた切り口の重要性。小説の新人賞でも新川さんが分析していたように、新人作家には「新しさ」が求められる。既にある切り口では既に活躍しているプロには敵わない。
おわりに
プロいくを通じて、ここには書ききれないほど多くのことを学びました。申し込んだあと、講座が始まるまでは「私的にはかなりの大金を支払ったけれど、これで良かったんだろうか……」と正直不安でした(講師のお二方、すみません……!信頼していないとかではなくて、私自身、書くことを学ぶ覚悟が整っていなかったんだと思います……)。
そして迎えた第一回。熱のこもった講義内容で、講師お二方の気合いがビジバシ伝わってきました。また自分自身、ここで学べることは何一つ溢さず自分のものにするぞ!と、気合いが入ったことを覚えています。
たくさんの出会いもありました。講師の三宅さん、谷頭さん、ゲスト講師の岡本さん、吉田さん、懇親会に来てくださった編集者の方々、そして同じ受講生の皆さん。
リアルの友人に「書くことをいつか仕事にできたらと思っている」と明かすのは、私にとってハードルの高いことでした。しかし、このプロいくに来ているのは、目的はそれぞれであれ、「書くこと」に興味を持った人たちです。書くことに対する悩みを相談したり、本を紹介し合ったりできる、かけがえのない友人をつくることができました。
最後になりますが、三宅さん、谷頭さんをはじめ、岡本さん、吉田さん、編集者の方々、講座を運営してくださったスタッフの方々、本当にありがとうございました。講義まとめでも書きましたが、一緒に仕事ができますよう、精進してまいります!