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平気で他人を攻撃する人たち

加藤諦三著 大和書房 2019/1/30出版 2023/3/21読了

ことが起きたときには、「この本質は何か」と考える必要がある。
起きたことは本質ではない。
それは現象であり、現象と本質は違う。

多くの人は過去の清算ができていないままで今を生きている。
体は今にあるが、心は過去にある。
「なんで自分はあんな根拠のない自己否定的なイメージに支配されて生きてきたのだ」と考える。
何よりも先に、今までの自分の人間関係のことを振り返ることである。
今の欲求不満な自分は、今までの悪い人間関係の結果である。
しかし、その人間関係を作ってしまったのは自分自身である。
自分の弱さが周りにタチの悪い人を引き寄せてきてしまったのである。

攻撃性の置き換えをする人は、自分の問題を解決できない。

強い人は、攻撃性を向けるべき人に向けている。
弱い人は、自分より弱い人に攻撃性を置き換える。
成長欲求を失った者には、攻撃性の置き換えをしていることが心理的にラクである。

意識と無意識の乖離が生じると、コミュニケーション能力を喪失する。
攻撃性の置き換えをしている人たちが社会的に孤立することが多いのは、コミュニケーション能力の欠如が原因である場合がほとんどである。

ストレスに苦しんでいる人は、ストレスや感情というサインを正しく認識できれば、ストレスから少し解放される。
心理的に健康で生きるためには、自分のことに目をむけ、症状や感情を的確に知ることが大事である。

なんとなく自分が許されていない気がしている、なぜかわからないがいつも責められている気がする。
そういう人は気がついていないが、実は心の底で他人を責めている。
「自責」というのは、自分への攻撃性の置き換えである。
相手が強いから責めるのが怖い。
その抑圧された気持ちが、自分自身に向けられる。
自分を受け入れさえすれば、ずっと気持ちよく生きられるのに、何かに囚われて素直に自分を受け入れられない。
こういう人の日常会話は、コミュニケーションになっていない。
自己防衛のための会話である。
小さい頃から会話のない日常生活をしてきた人と、会話のある日常生活をした人では、大人になってから日々のものごとの感じ方はまったく違う。

抑圧のひどい人は、自分自身の感情に自信が持てないでいるから、言われた言葉に深く傷つく。
言葉に傷つく前に、自己イメージが傷ついている。
そしてその言われた言葉に囚われてしまう。

否定的な自己イメージを植え付けた人たちから離れることである。
今までの人たちと付き合っている限り、その言葉の傷は癒えることはない。
誰との関係で、自分は本当の自分の感情を無意識に追いやったのか。
どういう人間関係の環境の中で自己否定的なイメージを持ってしまったのかという源流を探し出さなければならない。

今までの自分の意識領域を広げることで、今の現実に反応できるようになる。
現実に接することが意識領域の拡大であり、心の健康である。

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