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トヨトミの野望 日本企業構造理解の本

小説・巨大自動車企業
経済記者 梶山三郎著 講談社 2016年10月18日出版

1995年から2016年までのトヨトミ自動車の軌跡について、
トヨトミ家の人物や役員に焦点を当てながら物語に乗せ総括している。

戦後盛りたった業界の日本企業で働く人間なら
誰でも思い浮かぶ有名企業を取り巻く出来事を通じて、
日本企業の体質や会社内での人間関係、
政治とのしがらみを背景に感じることができる。

新聞記者である語り手の目を通して見ることで、
資本主義に基づく会社経営が一般的である企業人として、
一族経営の特異さが一層際立つ。

また、大企業と新聞記者との関係性についても垣間見られるが、
一般人では想像のつかない行儀作法があるのも勉強になる。

創業者一族を神のように崇める信者たちの取り巻きと、
子会社の分社化を企み海外展開を推進する
異端児と呼ばれる革新的な経営者との対構図は、
どの大企業でも見られる勢力争いの一部である。

裾野の広い自動車産業はどの業界にいても通づるため、
この世代の働きかたや通念を知るには良いビジネス書とも言えるだろう。

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