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TRUE NORTH 現代北朝鮮の話

東映ビデオ配給 清水ハン栄治・ジョエルサットン監督 
2020年制作 2021.6放映 2021.12.25視聴

監督の清水ハン栄治が収容体験をもつ脱北者にインタビューを行い、10年の歳月をかけて作品を作り上げた。
2020年・第33回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門上映作品。

「これが現実なのだと知って欲しい」

という思いが強く伝わる。

3Dアニメの全編英語で製作された背景には、実写ではとても再現できない程の悲惨さをより多くの人に直視してもらうためだろう。

Youtuberの都市ボーイズがおすすめ映画として紹介していたのがきっかけになったが、私も多くの人に推薦したい。

暖房の効いた部屋で冷蔵庫を開ければすぐに食事をとることができる場所からは、正反対の事実を突きつけられた。

これが周知されることだけで、さらなる犠牲者を減らすことができるのだろうか。

物語は現代のカナダでアジア人青年がTED TALKの壇上に立つところから始まる。

北朝鮮からの難民だという彼が、自分の家族のストーリーを紹介するというのである。

主人公が小学生の頃、一般家庭の4人家族で団地につつましく暮らしていた。

そこでは友人と笑い合ったり、宿題をしながら妹の面倒を見たり、厳しい父と優しい母と食卓を囲んだり、全てが温かであった。

ある日、日本語通訳である父が失踪し軍人たちに一家が強制連行され、日常が一変する。

アウシュビッツへ向かう地獄列車さながら、着のみ着のまま他の家族たちと長時間休憩なしで遠い場所で降ろされる。

中には甥が韓国の映画を見ていたという理由で、連れて来られた老婆もいる。

強制収容所での生活は人間の暮らす環境ではなく、人の心を殺して生き抜くことを目的にせざるをえないものであった。

軍曹と収容者、収容者間でもリーダーとその他で階層がはっきり分かれ、所属により扱いが天と地ほど異なる。

その様子は、人間が集まれば格差が生じ優しい者ばかりが犠牲になってしまう、現実世界の縮図そのものである。

リンチ暴行や虐待、強姦、復讐など日常茶飯事の極貧集団で、生き残るためには他人を蹴落とし全てを捨て去るしか方法がない。

そんな中でも主人公の妹は老人を安らかに看取り、星を見上げ美しさに感動することを思い出させたてくれる。

森でわずかな食べ物を見出し同年代の仲間と冗談を言い合うなど、主人公が救われていく中で強い意志を持ち脱出計画を発起する。


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