『師としてのリスト』を読んで
晩年は次世代の人への音楽教育に力を注いでいた
大作曲家リストのもとには、
教えを乞う生徒たちがアメリカ、イギリス、フランス、ロシア…世界各国から集まっていました。
「お、不審者たち!」
生徒たちを町で見かけると
気さくに声をかけるリストですが
レッスンでのコメントは容赦ありません。
「音楽院っぽい」
「ライプツィヒっぽさ丸出し…」
「マカロニみたい(中身がない)」
彼にとって音楽院、ライプツィヒというのは
型にハマったつまらない保守的なものの喩え。
はたまた、
「君は気分転換にこんなにひどい“がらくた”を弾きたいのか?」
「こんなひどい葬送曲を弾いているのは、いったい誰だ?
これは罪深い。だって“芸術は喜ばしい”ものなのだから」
「この作曲家が音楽院を卒業できなかったのは明らかだ。
和声法がまるで分かっていない」
…とは、自分の作品を弾いた生徒へのコメント😅
辛辣で毒舌。自嘲ネタ、皮肉たっぷりなのに
それと同じくらい愛情とユーモアが感じられ、痛快!
ひとたびピアノを弾くと
圧倒的な説得力と爆風のような情熱で
周りを黙らせてしまうという
最高にパンクなおやじさん?のような
驚くべきリスト像が浮き彫りに…‼️
(ブダペストのリスト音楽院近くのリスト像。
リスト音楽院生からは“ダサい”と、評判はいまひとつ)
熱心で献身的な指導ぶりだけでなく、
生徒と一緒に教会にいったり朝ごはんを食べたり、
レッスン後にはみんなでカードゲームを楽しんだり、と
リストの面倒みのよさも垣間見られます。
翻訳者が「(レッスン中の会話については)できるだけ堅苦しい日本語を避け、フランクな感じになるよう努めました」と語るとおり、とても読みやすく
今朝届いて、一気に読了してしまいました💓
リスト音楽院に学んだ者としてもおすすめします😊
そして、このユニークな本の日本語版出版実現の道筋を整えてくださった、音楽之友社の亀田 正俊さんに
心から感謝申し上げます♫
(『師としてのリスト』内藤晃監修・訳 音楽之友社