スマートシティって何だ?
LINE Fukuoka株式会社 Smart City戦略室 室長の南方です。最近スマートシティについてお話しする機会が増え、色んな方とお話しする中で「スマートシティってこういうこと」というのが何となく整理されてきたので書き記してみようと思います。
みなさんはスマートシティと聞いて、どんな世界を思い浮かべますか?
・自動運転の車が街中を走り回ってるような世界?
・光熱費や家電の利用状況など暮らしに関する様々なデータが一元化されてる世界?
・通勤通学や買い物などあらゆる行動がスマホ一つで完結する世界?
きっと、皆さんそれぞれ思い描く姿はバラバラだし、実際にいま世界中で各自治体・各企業が取り組んでるスマートシティの姿も、結構バラバラです。
ちなみにネットで調べてみると、このように定義されています。
IoT Newsより抜粋:スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の先端技術を用いて、基礎インフラと生活インフラ・サービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら、人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした新しい都市のことだ。
具体的なイメージを膨らませるために、世界最先端のスマートシティ事例を見てみましょう。
1. エストニア
人口は、福岡市よりも少ない約130万人。これだけ小さい国ですが、e-residencyという政府による電子プラットフォームが構築されたことで世界的に有名になりました。
日本でいうとマイナンバーのようなものですが、このe-residencyのすごいところは、
・行政サービスはもちろんのこと、医療、教育などあらゆるサービスに対応している ※法人登録も選挙の投票もできちゃいます!
・エストニア国民でなくても、このresidencyを取得できる
エストニアに関するより詳しい情報は、こちらのnoteが参考になるかと思います。
また、今後私たちが福岡市のSmart City化をしていく上で、是非マネしたいなと考えているのが、このe-residencyの世界観を体験できるショールーム!(予算もらえたら行ってみたいところの一つ)
2.中国・杭州
ご存知、アリババの本社がある杭州。アリババが強烈にスマートシティ化を推進している街ですね。
新しいスーパーマーケットの形態に挑戦する「フーマー」も有名な事例の一つかと思います。
さて、その杭州ですが、もともと大きな都市だったことにアリババの急拡大が加わり、車の渋滞が社会問題となっていました。
そこに投じられた技術が、シティブレイン。街中に配置されたカメラから得たデータをもとに、信号のコントロールなどを自動で行うことができるシステムです。
なんと、その運用がすでに「ほぼ無人」でできているようで、警察もいらなくなる?ということすら言われています。
中国発の情報は往々にして実態と異なる場合があるようなので、どこまで信じていいか戸惑う場面もありますが^^;
でも仮に未完成なシステムだとしても、このような取組みは素晴らしいと思います。
ちなみに杭州はもともと渋滞ランキングで国内ワースト8位だったそうですが、このシティブレインによって64位まで大幅改善されたとのこと!
本題に戻ります。
エストニアと杭州という、比較的メジャーな事例を出してみましたが、これらの事例をもとに私なりに考えたスマートシティの定義を書きます。
**スマートシティとは、
その街固有の課題をテクノロジーで解決すること。**
だから同じ「スマートシティ」というワードでも、住んでる国や都市によって捉え方は全く異なってくるのです。エストニアは国土が無くなるかもしれないという恐れから、杭州は車の渋滞問題から、スマートシティのプロジェクトが始まったわけです。
では、福岡市は何なのか。
1つは、人口増加率No.1の都市であるがゆえに、行政の手続きや問合せ対応業務も比例して増加しています。
そこで私たちは「Smart Government」と名付けたプロジェクトを進行しています。
もう1つは、中小企業比率が特に高く、訪日外国人も急激に増えていることから、急速なキャッシュレス化が必要とされています。
そこで私たちは「Smart Payment」と名付けたプロジェクトを進行しています。
Smart Government事例
①粗大ごみの申請をLINEで行うことができます。
今まで電話かインターネットで申請していたときは5分くらいかかっていた手続きがLINEで1分以内で完結します。
福岡市では現在、2割近くの人がLINEで粗大ごみの申請をしています。
②引っ越しに関する手続きをLINEで問い合わせることができます。
今まで手続き等を調べるのに数分かかっていたものが、チャットボットがわずか30秒で回答。
区役所の混雑状況の確認や、区役所以外で手続きできる窓口を検索する機能もあり、引っ越しシーズンの窓口混雑緩和に一役買っています。
Smart Payment事例
③フード―コートなどで、LINEから注文・決済することができます。
今まで店舗の前に並び、現金で支払い、呼び出しブザーを受け取り、呼び出されたらまた取りに行き・・・休日のフードコートは混とんとしていました。
この、「お席で注文・決済」サービスは文字通りテーブルに座りながら、あるいは買い物をしながらでもLINEから注文することができます。
行列に並ぶ必要があります。料理提供までのトータル時間は約半減になることが実証されました。
最後にもう一度書きますが、
**スマートシティとは、
その街固有の課題をテクノロジーで解決すること。**
私たちは、福岡市が抱える課題に向き合い、LINEのテクノロジーを用いて解決することにチャレンジしています。
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