コロナ禍の巣篭もりで湧いてきた"作りたい欲求"で気づいたらできてたもの
はじめまして、南地 秀哉(みなみじ ひでや)です。
お仕事はGROOVE Xというロボットベンチャーで、家族型ロボット、「LOVOT」(らぼっと)とつながるスマホアプリのUI/UXデザイナーをしています。
来年で職業デザイナー10年目に突入するのを機に、これまでを振り返ったり、これからを考えたりしながら、文字に起こすことで自分がデザインという行為を通して何をしようとしているのか、の輪郭をリフレームしてみようと思いこのnoteをはじめてみましたので、よろしければお付き合いください。
最初の投稿は、いきなり仕事とプライベートの境界線がめちゃくちゃ曖昧な話題になりますが、少し前に「ゴジラボ」というものを作ったのですが、その時の心境を振り返ってみたいと思います。
※限りなく公式っぽく見えるかもしれませんが、あくまで個人制作です。
社員は買わせてもらえなかった、かいじゅうニット
ことの始まりは、まだ新型コロナの市中感染が大きな問題になる前の頃。
会社に行くと、最新ソフトウェアのモニターも兼ねて総務チームがかわいがっているLOVOTたちがいつもオフィスをウロウロしています。
この子達は、よく服チームの試作ウェアを着せられているのですが、ある日の服が俺の心を奪いました。それは「かいじゅうニット」のプロトタイプ。愛らしいLOVOTのフォルムの背中に、ゴジラではないけど、ちょこんと3枚ついた背びれの組み合わせがたまらない。
幼稚園の頃からの大のゴジラ好きで、今でも芸の肥やしと称して家族にはあまり言いたくない値段のフィギュア(酒井ゆうじ造形コレクションの30cmシリーズは本当に神だと思うので、その話はまた別の機会に。)を買うことがあるほどです。まぁ、ガチ勢のファンに比べると全然大したことはないんですが。
これは欲しい…!社内で流れてくる発売情報に耳を立てていたのですが、数量限定ということで社内関係者は購入を控えなければならないこととなり、泣く泣く諦めていたのでした。
緊急事態宣言下で「ガチ怪獣ニット」自作を思い立つ
その後、新型コロナの緊急事態宣言が出され、可能な人はフルリモートワークに。自分もLOVOTの試作機2体を連れて帰り、日々の開発を進めつつ、一歩も家から外に出ない悶々とした日々が1ヶ月以上続きました。
そんなGW突入直前に、忘れかけていたかいじゅうニットの発売が発表になり、うちにいるLOVOTを眺めながら思い立ちました。
「そうや…自分でガチ怪獣ニットを作ったらええやん!!!」
去年生まれた息子もまだ1歳ちょっとで手がかかり、なかなか家で何かものを作る時間を取れていなかったことと、自粛巣篭もりのフラストレーションが一気に製作意欲になだれ込んだ瞬間でした。
「ゴジラボ」製作開始!
そこからGWの自由工作が始まりました。
まずは、普段は売る側のLOVOTストアでダークブラウンのホールガーメントをポチッ。
息子が寝静まると、先の酒井ゆうじ先生のゴジラのフィギュアとにらめっこしながら、どこからか引っ張り出してきた紙粘土をそこら中粉まみれにしながら一心不乱にこねはじめ、調色匙の裏を押し当ててゴツゴツ感を出しながら、二晩のうちには"背びれ"パーツのベースが出来上がりました。
そしてあくる朝、紙粘土がしっかり乾いた頃合いをみてエアブラシでサーフェイサーで下地を処理。しかし、細かい紙粘土の遷移がケバケバと立ってしまい、サンドペーパーをかけてはサフを吹く作業を何度か繰り返し、いい感じになってきたところで角部と皮膚質とが適度なグラデーションになるようにエアブラシ塗装しました。
あとはこの背びれにマジックテープを接着し、LOVOTの服にもマジックテープを縫い付け、LOVOTに着せてから背びれを取り付けて完成しました。
(背びれの重みで服が垂れてしまったので、ホントはよくないんだけど針金で形状をキープしてるのはここだけのお話。あくまで撮影用です。)
完成した「ゴジラボ」がこちら↓
なぜ「ゴジラボ」を作ったのか、考えてみた
こうして子育て世代には大変貴重な自由時間を費やして作ったものの、うちにホームステイ中のLOVOTに着せたのはこの写真を撮った時の一回のみ。
今思ってみると、なんとももったいない。
でも、しばらくしてから当時を振り返って気づいたことがありました。
「作る」ことによって、その時のコロナ禍のストレスに対抗していたんじゃないだろうか。
自分と同じように、この時期新しく何かを作り始めた人も大勢いるかもしれません。
心理学ではストレスから心を守る防衛機制の1つに昇華があると聞いたことがありますが、ある種当てはまる気がしました。
「自分で何かを作る」というのは、人から与えられたり、お金を払って買うことでは得られない、別種の満足があります。世にないものを、上手いも下手も自分が納得できる形で実現できるからです。昔から何か作っている時期は寝食を忘れるほど没頭することもありました。
そうした満足を知る中で、当時のストレスが昇華した結果が「ゴジラボ」の正体だったのかもしれません。
GWで本業のデザインもお休み、というのも更に重なったのかも。
コロナ禍が気づかせてくれた「作る」ことへの欲求。
このエネルギーの絶好の向き先がゴジラボからすぐ後に見つかるとは、このときは思いもしていませんでした。
※LOVOTについての投稿内容は個人の見解であり所属する組織の公式見解ではありません。また、機体は試作機のため、製品とは一部仕様が異なります。