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予備R6 倒産法再現

第1 設問1について

  1. DがBに対して未払い給料を配当手続(破産法、以下法名省略159条1項)によらずに支払が可能か。優先して支払うためには財団債権(2条7号)にあたる必要があるか検討をする。

  2. 未払給料債権については、破産手続開始前三月間の破産者の使用人の給料の請求権は、財団債権(149条1項)となる。そのため、破産開始手続開始より前の3ヶ月の分の未払い分について、財団債権となる。

  3. 以上により、Bは、令和5年7月から9月分の給与のうち、90万円のうち支払い済みの60万円を除く30万円につき、財団債権として随時弁済を受けられる。残りは破産債権(2条5号)として取り扱われる。

  4. では、未払いの給料及び解雇予告手当の未払いの支払いについてはどうか

  5. 管財人は、給料債権について債権者公平(1条)の例外として、優先的破産債権(101条1項)として、管財人の申立があって①弁済をうけなければ困窮を生じるおそれの場合には、裁判所の許可があった場合には優先して支払できる。(101条1項)

  6. 本問においては、Bの未払い分の解除予告手当の10万円及び、残りの60万円について優先破産債権として取扱が可能である。そして、本件について管財人が申し立てた場合において、②Bが困窮で生活がこまっているといえる(①充足)。よって、本手続により支払が可能といえる。

  7. 以上より、Bの給与債権のうち未払いの30万円については、財団債権(2条7号)として優先弁済が可能であり、残りの70万円については優先的破産債権として、管財人が申立と裁判所の許可によって支払が可能である。

第2 設問2について

  1. Aに対して免責不許可事由が存在するか

    1. 裁判所は、破産者について、252条1項各号の該当事由が存在しない場合には、免責許可をしなければいけない。そのため、Aの行為について免責不許可事由があるか。

    2. 252条1項各号該当の事由の場合には、債権者平等の原則(1条)に反し免責を不許可にできるという趣旨である。そのため、債務者のとった行動について検討を行う。

    3. 本件においては、Aは知人のEからの借入について債権者一覧にのせていなかった。これは、「虚偽の債権者名簿を提出したこと」(252条1項7号)にあたるといえる。虚偽の名簿を提出することで、債権者平等原則(1条)に反しているといえ、免責不許可事由になってるといえる。

  2. では、裁量免責(252条2項)が可能といえるか

    1. 裁判所は、債務者の債権(1条)という趣旨のもと、債務者について「その他一切の事情を考慮して(252条2項)」免責許可が可能である。そのため、債務者の行動その他の一切を考慮して判断する。

    2. 本件においては、Aは知人に対して関係の悪化などをおそれてのせていなかった。このような知人に対する配慮は、債務者の信条として理解が可能であるちえる。そのため、本件のみであれば、債務者の債権という趣旨のもと、免責許可が可能であるといえる。

第3 設問3(1)について

  1. Aが飲食店で未払いとなった仕入代金について免責許可によってどのように扱われるのか

  2. 免責許可の決定が確定した場合には、253条1項各号該当事由がない場合には、破産手続による配当をのぞき破産債権についてその責任を免れる(253条1項)とされている。これは債務者の再建(1条)を趣旨として、債務者について再帰を計るものとしている。そのため、強制執行などは禁止されるといえる。ただし、自然債務として残り、債務者が任意に支払う分には問題がないとされる。

  3. 本件においては、飲食店の未払いの仕入代金については、253条1項の各号に該当せず、免責となりAは支払を免れることができる。ただし、自然債務として任意に支払を行う文には問題がないといえる。

第4 設問3(2)について

  1. Aが元配偶者との合意で生じた養育費について破産手続き前に生じた未払金について非免責債権に該当するか。

    1. 免責許可となった場合には、253条1項各号に該当する場合には非免責債権となる。子供の養育費については、民法766条1項における「父母の協議上の離婚における子の看護に要する費用の分担」にあたるといえる。そのため、253条1項4号ハにおける「民法766条の規定における子の看護に関する義務」にあたるといえる。これは子に関する義務については、債権者平等の原則の例外となるためであるといえるからである。

    2. 本件においては、Aは、元配偶者との合意で生じた養育費について破産手続き前に生じた未払金がある、これは、253条1項4号ハの該当事由となり、非免責債権として取り扱われる。

  2. Aが令和5年10月20日にレストランの高額飲食費についてのクレジットカードの立替金について

    1. 1と同様に、253条1項各号に該当するか検討をする。クレジットカードは通常破産申立で利用できなくなる。そのため、253条1項2号における「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求」と同視され、債権者平等原則の趣旨に反しているからといえる。よって、クレジットカードの利用についてあまりに高額や浪費とみなされる場合には、非免責債権となるといえる。

    2. 本件においては、確かに10月20日は破産手続開始決定前であるが、クレジットカードを利用したものであり、高額なレストランを利用することは非常に悪質であるといえる。そのため非免責債権となる。

以上により、②子の養育費③レストランのクレジットカードの費用については非免責債権となる。
以上


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