倒産法判例百選 No.12「破産手続開始決定に対する株主の即時抗告申立権」
割引あり
1. 本判例の解説
【判例タイトル】 No.12「破産手続開始決定に対する株主の即時抗告申立権」
【判例番号】大阪高裁 平成6年12月26日決定
【事案の概要】
破産宣告を受けた株式会社Aの株主は、各2分の1ずつの株式を有する2名でした。本件は、株主2名のうちの1名であるXが、その会社の破産宣告に対して即時抗告を申し立てた事件です。本件の背景には、株主間で株式の帰属および会社経営に関して争いがあったことがうかがわれます。Xは、会社の破産によって自身の株主の地位が侵害されるとして、重大な利害関係があると主張しましたが、裁判所は、株主には破産手続開始決定に対する即時抗告申立権が認められないと判断し、抗告を却下しました。
論証パターン
「利害関係を有する者」(破産法9条)にあたるのかが問題となる。 「利害関係を有する者」とは、破産手続開始決定により事実上の利害関係を有するもののみでは足りず、法律上の利益がただちに害される者をいう。
株主については、破産が解散事由(会社法471条5号)ではあるが、破産終結によって会社の法人格が消滅するけれども、破産宣告によってただちに株主権が消滅したり、株主権の内容をなす自益権や共益権に変更が生じたりするわけではない。
2. ショート問題と解答例
【問題】
株式会社Aの破産手続開始決定がなされましたが、A社の株主Xは、この決定に不服があり、即時抗告を申し立てました。Xは、破産手続開始がA社の財産状況を適切に反映していないと主張しています。この場合、Xの即時抗告は認められるか。
【解答例】
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