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倒産法百選判例#5 「債務超過の判断要素」

割引あり

倒産法の百選判例を勉強するために、まとめてと該当問題をつかったショート問題と解答例を作成しました。解答例はXでシェアしてくれることを前提に無料にしています。法名は破産法は省略、民事再生法は民再としています。


1. 判例解説

【1. 本判例の解説

【判例タイトル】 No.5「債務超過の判断要素」

【判例番号】東京高裁 昭和56年9月7日決定

1-1. 債務超過の定義

債務超過とは、「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」をいいます(16条1項)。
定義が条文にあるため暗記不要です。

1-2. 問題となったところ

本件では、財産の範囲がどこまで含まれるのか、債務の範囲がどこまで含まれるかが争点となりました。

  • 弁済資力の判断基準:債務超過の判断においては、債務者の財産のみが弁済資力として考慮されます。信用、労務、才能による金銭の調達可能性や、代表取締役の個人保証などの第三者の支援は斟酌されません。

  • 債務の範囲:弁済期が未到来の債務(期限未到来債務)も含めて考慮します。つまり、将来支払うべき債務も全て含めて判断します。


2. ショート問題

【問題】

株式会社A(以下「A社」)は、現在所有する不動産と現金預金を合わせた資産が1,000万円あります。一方で、弁済期が到来した負債が700万円、弁済期が未到来の負債が500万円あります。A社の代表取締役であるBは、A社の全ての負債について個人保証を提供しています。また、A社は高い信用力があり、金融機関から追加融資を受けられる見込みがあります。この場合、A社は「債務超過」に該当するか。


【解答例】

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