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倒産法判例百選 No.7「再生計画不認可決定確定後の再度の再生手続開始の申立て」 解説記事

割引あり

倒産法の百選判例を勉強するために、まとめてと該当問題をつかったショート問題と解答例を作成しました。解答例はXでシェアしてくれることを前提に無料にしています。法名は破産法は省略、民事再生法は民再としています。



1. 本判例の解説

【判例タイトル】

No.7「再生計画不認可決定確定後の再度の再生手続開始の申立て」

【判例番号】

東京高裁 平成17年1月13日決定

【事案の概要】

ゴルフ場を経営していたY社は、第一回目の再生手続で再生計画案を提出しましたが、その内容が債権者平等の原則(民事再生法155条1項)に反することを理由に、不認可決定が確定しました。その後、Y社は新たな再生計画案の作成と債権者との意向調整を進め、再度再生手続開始の申立てを行いました。一方で、債権者側はこれが不当な目的でなされた申立てであるとして、再生手続開始決定の取消しを求めて抗告しました。本件では、不認可決定が確定した後に再度の再生手続申立てが適法かどうかが問題となりました。


1-1. 問題となったところ

民事再生法の趣旨は、債務者の事業を継続しつつ経済的な再生を図ることにありますが、再生計画の不認可が確定した場合、再度の再生手続開始の申立てが認められるかが争点となります。本判例の論旨としては、「再生計画不認可の決定が確定しても、その効力は当該計画に対するものであり、同一債務者による再度の再生手続申立てが一般的に不適法になるわけではない」とされています。ただし、申立てが濫用的である場合や、不当な目的で行われた場合には申立てが棄却される余地があると判断されています(民再25条4号)。
論証として覚える必要ではなくて、事案を分析できれば大丈夫な論点といえます。


2. ショート問題と解答例

【問題】

Y社は、第一回再生手続で提出した再生計画が不認可となり、その決定が確定しました。しかし、その後、Y社は経営改善の取り組みを行い、新たな再生計画案を準備した上で再度の再生手続開始の申立てを行いました。一方で、債権者の一部であるZはこれが職権による破産宣告を回避する目的で行われたものであり、不当であるとして再生手続開始決定の取消しを求めました。この場合、Y社の再度の再生手続開始申立ては認められるでしょうか。


【解答例】

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