定食屋さんにて。陰陽をみつける
おかずとサラダ
そしてちょっとした小鉢のようなもの
ご飯とお味噌汁
このセットは
私たち日本人が
日本人で良かったと思う
瞬間ではないでしょうか。
あたしも大好き
いわゆる定食というやつ
今日は朝から1本仕事が入ってたので
終わったら近くの定食屋さんに行こうと
決め込んでいた
空腹時にヨガをすると痩せる
身体には鶏肉や牛肉についてるよーな
白い脂肪が内臓周りやお腹周りについていて
そいつは悪性の脂肪
いわゆる内臓脂肪とかいうやつ
それを空腹時に運動することによって
身体の糖分が不足し
やべー!とりあえずここにある脂肪つかおーぜ!!
となり悪性脂肪をありがたや
エネルギーとして燃やしてくれるらしい。
ということで(ちょっとそれっぽい知識を小出しにするあたり。すいません)
ちょうどレッスン終わりのお昼どき
空腹のお腹をさすりながら
お気に入りの定食屋さんに向かう
いつもの暖簾
手書きの営業時間
営業中と書かれた紙が並ぶ
いつから
こんなお店に行くようになったんだろう
とぼんやりと考える
店内は
4人座れるテーブルが
ちょうどいい空間で並んでいて
数テーブルは空いていた
好きなお席へどうぞと
言われ
空いてる4人テーブルに腰掛ける
定番だが定食屋さんは
うどんとそばも美味しい
これがもう
無類の麺好きには
苦渋の決断を強いられる
店内に
鰹出汁の匂いがして
メニューをみると
うどんやそばのラインナップが
前面に現れる
あぁ。お蕎麦食べたい
一瞬揺らぐ心
しかし今日は
久しく食べてないお米を食べたいんだ!
しかも今日は牡蠣フライを食べるんだ!キリッ
欲望をググッと堪えて
定員さんを呼ぶ
牡蠣フライ定食をください。キリッ
“A,B,Cありますけどどうしましょう?”
最近のウイルス対策か
60代と見える定員さんは
マスクをしていたけど
愛想がいいことだけはわかった。
定食に選択があるなんて思ってなかったから
何があるんですか?
と聞いた。
すると定員さんは
目線をグッと上げて
壁の方を見つめた
同じ方向をみると
少し見えずらいが
壁に貼られた紙の中に
牡蠣フライ定食の
それぞれの内容が書いてあった。
思わずあたしも席を立って
彼女が見る方向を見つめ
そして彼女は
マスクをしていて聞き取りにくいかしら?
と思ったのかグッと顔をあたしに近づけて読み上げてくれる
“Aは牡蠣フライたくさん!
Bはカキフライ3つと白身フライ。。。”
“Bください!”キリッ
最後を待たずに言っちゃう
“Bでいいの?ちなみにCは出汁巻ですけど”
“大丈夫です!
お味噌汁を粕汁にしてください!”どやっ
“はいよー!”
このやり取りが好きで
定食屋さんを選んじゃうのかしら
なんて思う
あぁ暖かいなぁ
こういうところは
ご飯も美味しいんだ
ほっこりしてると
すぐに頼んだ牡蠣フライ定食がやってきた
嬉しくなる
ご飯がキラキラしていて
揚げたての衣は
まだ尖っている
気をつけながら
牡蠣フライを口に入れたはずなのに
みずみずしい牡蠣は
熱々の旨味を弾き出し
火傷をしてしまった
ひとつずつ
楽しい
ひとつずつのプロセスを
楽しんでいる
まるで孤独のグルメのようだ
そんなことを思いながら
食を進めていると
お昼時の店内は
気付けば4人席は埋まり
相席を強いられるくらい
人が増えていた。
あたしのテーブルにも
女性1人が座ってきた
驚くことに彼女も
メニューを見ずに
牡蠣フライ定食を注文した
心の中で
仲間意識が芽生える
火傷すんなよ
もう牡蠣フライと定食の高揚感で
ロックンローラーのようだ
人にも優しくできるなんて
恐ろしいパワーが満ち溢れている
更に彼女は
ご飯を牡蠣ご飯にしてください!と言った
おぉ!
粕汁にカスタムチェンジした
あたしを優に越えた
かっこいい
これはかなりの上手だ
偉そうなことを言ってすいません。
でも、火傷には…←ウルセー
すると
その注文を取った定員さんは
さきほどの人と違い
まだ若い女の子だった
大学生なのか
アルバイトらしき様子が
マスクをしていてもうかがえる
あたしと同じように
目の前の上手美人も
定食に選択肢があるなんて思わなかった様子で
何があるんですか?
と一語一句
あたしと同じフレーズを放つ
若い店員さんは
マスクから見える目元を
緩めることもなく
え、メニューに。。。
いや、そこ言わんのかい!!!!
上手美人も戸惑いながらメニューに手を伸ばし
探すが書かれてない
書いてへんのんかい!!
結局先ほどと同じ
壁に貼られた牡蠣フライ定食のラインナップを
指差した
読み上げへんのんかい!!
突っ込みどころ満載
あたしの粕汁冷めるやないか!←関係ない
上手美人は
牡蠣フライたくさん!定食を
牡蠣ご飯にして
注文を終えた
なんやこのモヤモヤ
まぁたまたまだろう
そう願いたい
そんなことを考えながら
粕汁にほっこりしてると
上手美人の元へ
牡蠣フライ定食にカキご飯が
運ばれてきた
またこの牡蠣ご飯たるや!!!
ここぞとばかり牡蠣が入っておりましてん
横目でチラリと
しかししっかりと目視し
次食べようと決意を表す
そんなアホな話で
お腹いっぱいに完食し
お会計と席を立った
レジの向かいに
有機野菜が並んである
不揃いのみかんが
それぞれ袋に入って並んでた
せっかくだし買って帰ろう !と
これもいいですか?
とレジのお姉さんに言う
。。。
???
いや、そこに。
?!?!
彼女の目線の先にある
野菜の陳列棚を覗くと
野菜に紛れて貯金箱がある
どうやらそこへお金を入れるシステムだったらしい
思わず
そういうことか!!
と声が出る
ふと見上げると
さっき上手美人のオーダーを
表情1つ変えずに対応してた
お姉さんだった
あんたかい!!
どこまでも塩対応
塩嬢
ざらりとした感覚が再び蘇る
あまりにも対応に温度が感じられないので
思わず言おうかと思った。
これではお店の印象があまりにも悪い
彼女がこのままあり続けるのもまずい
何よりあたしはこのお店が10年近く大ファンなんだ
でも
まとまらない考えを
感情に任せて発言してはダメだ。と自分に言い聞かす
それに
店内であたしと同じように
美味しさで満たされてる人たちの
幸福感を奪うようなことは
したくないと思った
グッとこらえて
お釣りをもらい
何も言わない彼女を背に店を出る
モヤモヤは残る
一瞬こんなことなら
2本筋違いにある
もう一軒の定食屋さんに行けばよかった
なんて思ってしまう
あそこは大正から続いていて
店内もそこまで広くないからか
おばあちゃんが接客をしてくれる
あたしがただ
自分の好きな定食屋さんに
期待する熱量を持ちすぎているのだろうか
目の前のご飯を食べる。こと以外に行われるコミュニケーション
機械的ではなくて
人と人とが交わって
受け答えがある
そこに楽しみや
幸福感や
満腹感が
見出されるのではないか
そういえばこの間受講した東洋医学の講座で
先生がこう言ってた
「人がどんだけ健康にいいから食べなさい!と言った食べ物を
自分は不味くて嫌だと思いながら食べるのか
健康に悪いと分かっている食べ物を
自分が幸せいっぱいに食べるか
それによって自分のエネルギーになるの
は後者の方が圧倒的
心の要素は実に大切です」
これも当てはまるなぁ
そのものが美味しくても
周りの環境が満たされていないと
エネルギーに影響する
もしあたしが
飲食店を経営することになったら
働いてもらう人には
このことを重々伝えたい
あなたも
この定食の一部で
それはお客さんのエネルギーになる
あの時
彼女のタイミングが悪かったんだろうと思い
あたしはまた
忘れた頃にあの暖簾をワクワクしながら
くぐるんだけどね