第一章 7話 新居への誘い
7・新居への誘い
時々夢を見る。まだ母が生きていた頃の夢を。がらがらと引戸の玄関を開けると「おかえり」と穏やかな声がする。悩む日も楽しい日も、同じ場所、同じ時間に笑顔はそこにあった。温かな光が満ちていた。ずっと続くはずだった、双子に出会うはずもなかったあの時間。あの頃、僕はどんなふうに笑っていたんだっけ。
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3,273字
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