【第6回アートとコピー】制約のない世界へ
広告コピーを学び始めてから、たくさんの優れたクリエイティブに触れてきた。
広告業界の偉人たちが残してきた名作、若きクリエイターが広告賞で受賞を勝ち取った作品、同じ講座に通う仲間が書いたコピーや作った広告。SNSでたまたま目にした広告がすごく良かったり。
広告には人の心を、人の体を動かす力がある。
だからこそ、私も誰かの中にずっと残り続ける広告づくりを目指したい。
一方で前提として忘れてはいけないのが、広告がクライアントの課題解決のためにあるということ。世の中には色々な広告が溢れているけれど、その中で「見る人の心を掴み」「企業や商品、社会の課題解決」になっているものはどれだけあるだろう。きっとこの2つを同時に叶えたものが優れた広告だけど、現状の広告ビジネスには「制約」がありすぎて、そううまくもいかない。私自身、実務では通販企業の広告を作ることが多く、とにかくもう制約だらけだ。ダイレクトマーケティングは広告効果が目に見えて分かる分、クライアントからの要求は「売れる広告」だし、見る人に寄り添ったいいコピーが書けたなと思っても「んーまぁ分かるけど、、それで売れる?」なんて言われることも多々ある。売ることを目的とした広告活動なのだから当たり前ではあるけれど、表現の自由はないし、正直誰かの心に残り続ける広告は作りにくい(衝動買いはしてもらえるかもしれないけど…)。厳しい世界だ。。ただ、これは私の仕事に限ったことではなくて、たぶん広告に携わる人は少なからず抱えている葛藤なのだろうと思う。予算とか大人の事情とか色々な制約で、作りたい広告が作れないこと、ありますよね。
だから、私は「アートとコピー」で一緒に広告賞に挑戦できる仲間と出会いたかった。広告賞は制約のない、自由な世界だから。
今回の講義では、阿部さんと鈴木さんのこれまでの広告賞の取り組み、その経験から得たものをじっくり伺うことができた。今はこの業界の最前線でご活躍されているお二人でも、かつてはがむしゃらに広告賞に挑戦されていた時期があったと知り、今の自分たちと重ね合わせてなんだか胸が熱くなった。
講義の中で「広告賞は発想も失敗も自由。思い切りバットを振る訓練、実験の場にできる」というお話がとても印象に残っている。実務では制約が多く表現も縛られるけど、広告賞では自分にブレーキをかけず自由に走っていいんだ。誰かにそう言ってもらえることで、改めて自分が抱えていた葛藤と向き合えたし、もっと色々な広告づくりに挑戦したいという気持ちがフツフツと湧き上がった。賞のために考えたアイデアが実務の役に立たなくても、思い切りバットを振る訓練は、仕事や広告賞にかかわらず活かせる場面がきっとあるし、確実に自分の糧になると思う。
そして広告賞で「賞を逃す経験」もまた、広告づくりのスキルを磨くために必要なことだと教わった。受賞作にあって自分の作品になかった視点や発想は何か、絵と言葉の距離感は適していたか、その表現に驚きはあったか。失敗を重ねて悔しい経験をすることで、広告を捉える目や感性を磨いていきたい。
今回の課題でも悔しい思いをした。前提となる考え方を自分なりに深く解釈できていなかったことが反省点だ。仲間たちの優れたアイデア・クリエイティブから素直に学び、この反省を次に生かしていきたいと思う。
たくさん受賞を逃すことも大事、でも欲を言えばやっぱり受賞はしたい。その理由のひとつは、リスペクトする相方さんの才能をもっと世の中の人たちに知ってもらいたいから。今回の相方に限らず、一緒に組んでくれた相方全員、それぞれがすごい力を持っている。自分と組むことでその才能がもっと遠くまで羽ばたいていけたら、こんなに嬉しいことはない。(偉そうにすみません…)まだまだ私自身が未熟で迷惑をかけてしまうこともあるけど、相方と自分のために、これからも全力で挑戦を続けていきたいと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?