国文法の演習問題【形容詞、形容動詞、副詞、連体詞】
昔作った国文法の問題の一部です。自分がメインで担当した箇所なので、動詞や助動詞などはありません。時間に余裕ができたらもしかした作るかもしれません。
【国文法】 次の文章を読み、後の問題に解答しなさい。
形容詞と形容動詞は、日本語教育や日本語研究において、イ形容詞、ナ形容詞と呼ばれる。日本語教育という観点から見ると、漢字母語話者ではない外国人に説明する際、新しく覚える漢字が増えるため避けていると考えることができる。ただそれ以上に、形容詞と形容動詞の特徴が近似していることがそのような呼び名の大きな要因となっている。形容詞と形容動詞は、( ① )を表すという点で意味的に共通し、( ② )に修飾し、( ③ )としても機能するという点で文法的にも近い。違いとして活用の仕方が第一に挙げられるが、外来語を形容詞化するという点で形容動詞は造語の幅が広いという点も大きな差である。
連体詞は名詞に修飾するが、活用がないものを集めたものである。活用があれば形容詞や形容動詞となるため、連体詞と形容詞または形容動詞の間で、類似する意味の語が意外と多い。形容詞の「 い 」から派生した「大きさ」と同じように派生してできた連体詞の「 ろ 」がある。また連体詞の中には名詞+助詞の「の」を使った形と類字するものもあり、例えば「私の」は名詞+助詞の「の」だが、「例の」は連体詞となる。これは「私の」に類字する連体詞に「( ④ )」が既にあることが大きい。「( ④ )」の方がより古い形で二語から成るという認識が薄れたことで、一語の連体詞と認識されているようになったためであり、「私」と「の」が分けて認識される限りは「私の」は連体詞にはならない。
副詞は一部の日本語学者から文法のゴミ箱と呼ばれている。これは、他の品詞分類に当てはまらないものが全て分類されるため、特徴の幅が広く雑然としていることからそう呼ばれる。基本的な特徴として、述語に修飾するというものがある。しかし、その他にも助詞の「だ」を伴って( ③ )になったり、助詞の「の」を伴って連体修飾したりと、ほとんど( ② )と変わらない特徴を持つものもある。
問一、( ① )〜( ④ )に当てはめるのに最もふさわしいものを次の選択肢からそれぞれ選びなさい。
ア、名詞 イ、動詞 ウ、接続詞 エ、主語 オ、述語 カ、補語 キ、われ ク、わが ケ、某(それがし)の コ、某が サ、人や物の性質や状態 シ、人や物の動作 ス、人や物の心情 セ、物の程度や状態
問二、「 い 」と「 ろ 」に入る単語を自分で考えて言い切りの形(辞書に載っている形)で答えなさい。
問三、形容詞に関して次の例文の「ない」の中に一つだけ品詞が異なるものがある。それを記号で答えなさい。
ア、その部屋は美麗でない。 イ、その部屋はきれいではない。
ウ、その部屋は美しくない。 エ、その部屋はきれいにされていない。
問四、形容詞に関する次の例文について(1)、(2)の問いに答えなさい。
ア、「おはようございます。」 イ、「ご機嫌よう、うるわしゅうございます。」
ウ、「ごたこうをおいのりします。」 エ、「うつくしゅうていらっしゃる。」
(1)ア〜エの例文の中に一つだけ形容詞を含んでいないものがある。それを記号で答えなさい。
(2)例文の形容詞のように語形が変わる現象を何というか、三字で答えなさい。
問五、外来語を形容詞化するという点で形容動詞は造語の幅が広いという点も大きな差であるという内容の反例になる文として最もふさわしいものを一つ選びなさい。
ア、マーベラスな発言ですね。 イ、この曲めっちゃ、エモい!
ウ、ピカピカの一年生。 エ、今日はラッキーだった。
解答
問一 ①サ ②ア ③オ ④ク 問二 「い」大きい 「ろ」大きな
問三 エ
定番の問題で、動詞につく「ない」は助動詞ということを知っていることがポイントになる。
問四 (1)ウ (2)ウ音便
おはよう/ご機嫌ようなどは、「お早く」や「ご機嫌よく」が音便した結果の形だが、音便後の姿の方が馴染み深いのが特徴。
問五 イ
形容動詞の方が外来語を日本語にするときによく用いられるが、形容詞になるものもいくつかある。「エロい」「グロい」という古い例もあり、少し古いものだと「ナウい」がある。現代だと、「エモい」や「ラグい」がある。逆に言えば、ここで取り上げたもの以外はほぼ定着していない形容詞の例なので、やはり少ないと言える。
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