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追いかけて南国 - クリスチャンの道へ!?-

スリランカの 高原地帯エッラで観光をしていたら、古都キャンディの宿で仲良くなったMちゃんがバスを乗り継ぎ、半日かけてやってきた。
私がこのあとジャングルで珍しい体験をしようとしてる、という話をしたら、「ぜひ立ち合いたい!」と追いかけてきてくれたのだ。

その珍しい体験、とは、”ジャングルの池でクリスチャンの洗礼を受けること”である。

私は多くの日本人と同じく、無神論者というか、とくに信仰する宗教は持っていない。ただ幼稚園、中学、高校、大学とキリスト教の学校に通ってはいたので、キリスト教の授業を普通に受ける学生生活を送った。

スリランカに到着したばかりの頃、空港近くのニゴンボという街で、クリスチャンであるスリランカの男友達とカフェでキリストについてのお喋りをしていた。
別れ際に「ミナがエッラに滞在するころ僕はその先のバンダラウェラにいるんだけど、エッラから近いから遊びにおいでよ!ジーザスのご加護があるよ。」
というお誘いをいただき、それはぜひお邪魔します、と約束をして別れた。

そして、後日。
彼から「牧師様も手配できたから、バンダラウェラのジャングルの池でミナの洗礼式をやろう。池に浸かるから着替えを持ってきてね。」との連絡がきた。

・・・洗礼?ジャングルの池?

思わぬ展開に、「私、宗教はライトにしか信じてないから…」と抵抗してみたものの、「大丈夫!」と彼は動じない。
「今は雨季だし、池にヒルが多そうだから次回にしようかな?」なんて言ってみても、「大丈夫!魚しかいない」と…

そんな押し問答をしているうちに、だんだんと私の中で、
考えようによってはこんなに面白そうなことは、この先体験できないだろうな。やっちゃうか!
と好奇心が勝ってきた。

そのくだりをMちゃんに話したことから、Mちゃんとのエッラでの合流に至る。
合流してまずは、町の中心部にあるレストラン「Cafe One Love」でランチ。店内がとってもおしゃれでウキウキな私たち!

実は周りに壁がなくオープンエアで、ご飯も美味しいCafe One Love

バナナの葉に包まれたスリランカカレーを食べていたら、例の男友達が張り切って迎えにきてくれた。


お腹も満たされたし、既に洗礼へのモチベーションが増してきて水着も着てきたし、行ってみましょうか!
ということで彼の車でバンダラウェラへ出発。

向かっている途中、神父様とその奥様がどこからかスクーターで現れ、合流。私たちの車とご夫婦二人乗りのスクーターは一緒にジャングルへと向かう。

着いたところは、民家もちらほらあるジャングル。住民が飲み水を調達する池が少し奥まで行くとあるから、そこで洗礼式をしようとのことだった。

何せ雨季のスリランカだったので、池の水が濁っているんじゃないかと心配していたのだが、そこが年間を通して気候の安定した高原地帯であるせいか、水は透明でとても綺麗だった。

神父様と私だけ、池の中に腿が浸る程度まで入っていく。
そして神父様の奥様が私たちのそばの浅瀬に立つ。
その他のメンバーは少し離れた陸から見守る。

水に浸かりながら神父様より洗礼儀式のレクチャーを受けていると、どうやら、「支えてやるから仰向けに水に倒れこめ」と言っているのだと分かってきた。
ハードル高い…

そして遂に、本番。
神父様が祈りを唱え始め、奥様が横でマリア像のように手を組み目を閉じた。
私はというと、「仰向けに倒れたら絶対に鼻に水が入るから、しっかり鼻をつまんでおかなくては」と、神父様に対して失礼なく鼻をつまむタイミングに考えを巡らせながら、入水の時を待っていた。

祈りが止み、神父様と目が合った。いよいよなんですね。
神父様が私の頭の後ろを支え、「いけ!」と合図。
いきます!

一見、神父様とのキスシーンのようだけど、私は鼻をつまんでいる


殺されてるみたいだけど、洗礼中

ドボンと入ってすぐに水から引き起こされると、周りからは温かい拍手が。
思わず、サンキューサンキュー、とあいさつしたものの、何にお礼してるんだっけ?と混乱気味に水から上がる。
とりあえずヒルにも襲われず無事終わったことに安堵した。

この洗礼というキリスト教の儀式は、それまでの罪を洗い流して新しい命として生き直すためのものだそう。
まさかスリランカの高原地帯でリボーンするとは思わなかったけれど、この年齢から生き直しができるなんて、ちょっと嬉しいような気もする。

大人気観光地にたどり着いてすぐに、なぜかこんなニッチな場所で貴重な体験ができたことに感謝いたします。アーメン ♰

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