目蓋の裏#2

あなたの願いはなんですか
私の願いはどこですか
子供の夢はなんですか
子供の居場所はどこですか

親は今いらっしゃいますか？
イイえ。今はおりません。
それではいつ頃戻ってきますか？
イイえ。いつ戻ってもきません。
では、親の行く場所に心当たりはありますか？
はい。あります。
教えて貰えますか？
はい。明日、何市に行こうか？と尋ねられましたので、親に任せると返した所、今日出かける前に、明日の準備をしに行くとおっしゃっていました。

私たちは今 にいる。そう。シャベルを買おうとホームセンターに向かっている。これから山に向かうところだ。山では穴を掘りに行く。ただ山に穴を掘りに行くだけだ。だからそう儼しい顔をするな。君に黙って、あの子を埋めに行くわけじゃないんだから安心しなさい。
明日は君も一緒に来るんだから、心の準備をしておきなさい。
では、切るよ。

通話終了ボタンで押された指は氷のように冷たく、
だれも彼らの居場所を知るものはいなかったという。

今の場所にあなたがいると誰が証明できますか
私の身体が本当に存在してると誰が証明してくれますか
子供は確実に育ってくれるというのは誰が決めたものですか。親ですか。神様ですか。キリストですか。
私たちは本当に生きていると、この後付けだらけな箱庭で誰が証明できるんでしょうか。

私にはそれが分かりません。

分かりません。