NISA口座を開設するなら、ご夫婦、親子は同じ金融機関にしておいたほうがよいよ、という話（＋9月下旬の日記）

NISA（少額投資非課税制度）に関するセミナーでお話することが多いのですが、その際によく頂戴するのが「配偶者や親が亡くなったら、NISA口座にある株や投資信託、私のNISA口座で引き継げる？」という質問。たしかに気になりますよね。今回はこちらのご質問にお答えしたいと思います。

相続人のNISA口座には移せない

配偶者や親がNISA口座を開設し、上場株式や投資信託を保有していたとします。その人が亡くなったら、NISA口座内で保有する株式や投資信託を、私（相続人）のNISA口座に移して、そのまま非課税で運用し続けることはできるでしょうか？

答えはNoです。

亡くなった親族がNISA口座内で運用していた株式や投資信託などを、相続人のNISA口座に移すことはできません。ただ、NISA口座に移すことはできませんが、相続人の特定口座（課税口座）に移管することは可能です。

相続人の特定口座へ移管するには、亡くなった親族がNISA口座を開設していた金融機関に「相続上場株式等移管依頼書」の提出をして、移管の依頼をする必要があります（具体的な手続きは金融機関に確認しながら行ってください）。

相続が発生した時点でNISA口座内の株式等は（課税口座に）払い出されたとみなされます。そのため、相続発生時点で保有する株式や投資信託などに含み益があれば（故人がNISA口座内で購入した株式等の取得価額と相続発生日の時価との差額がプラスであれば）、その利益に対しては課税されません。非課税です。

相続発生日以降に受け取った配当金や普通分配金については非課税にはならず、税金がかかります。

移せるのは同じ金融機関の特定口座

注意したいのは亡くなった方（被相続人）のNISA口座と、相続人の特定口座は同じ金融機関である必要がある、ということです。

例えば、故人はA証券のNISA口座で株式・投資信託を保有していたけれど、私（相続人）はB証券会社にしか口座がない、という場合もありますよね。

その場合、私（相続人）はA証券に新たに口座を開設し、故人の株式などをご自身の特定口座に移管する必要があります。

自身の特定口座に移し、そのまま保有し続けたい会社の株や、投資信託であれば、そのまま運用を続けることができます（もちろん、売ることもできます）。

投資信託の移管は意外と面倒

ただ、私がメインで使っているのはB証券だし、ひとまとめにしてB証券で運用したいと思うかもしれません。B証券でまとめて管理したい、と思ったら、ご自身のA証券の特定口座からB証券の特定口座に移管するかたちをとります。

国内株式（証券保管振替機構の取扱銘柄）は基本、移管することができますが、投資信託についてはB証券で取り扱っている商品でないと、移すことができません。

また、他の金融機関に株式や投資信託などを移すには所定の手数料がかかるケースもあります。例えば、SBI証券や楽天証券で投資信託を他社に移管するには、１商品につき3,300円（税込）、auカブコム証券では5,550円（税込）出庫手数料がかかります。

同じ金融機関が無難

今回は、時間や手間を考えると、NISA口座を開設するなら、ご夫婦、あるいは親子で同じ金融機関にしてほいたほうがラクですよ、というお話でした。

そして、NISA口座に限りませんが、万一のことがあった場合に、配偶者や子どもたちが困らないようにしておく、という視点も大切かもしれません。先日お話をうかがった投資家さんは今年NISAの成長投資枠で米国株に投資しましたが、翌年からは投資信託に変更する、とおっしゃっていました。

理由は「妻は投資にまったく関心がないので、海外の個別株を残されても手に負えなそうだから」とのこと。投資をする際には、その辺も考えて、利用する金融機関や商品などを検討する必要もありそうです。

移管で出庫手数料を

最後に余談です。私は仕事柄いろんな証券会社に証券口座を開設し、投資信託を保有していました。管理が面倒だし、そろそろひとまとめにしようと、以前、投資信託の移管を試みました。その際、出庫手数料の高さに驚いた記憶があります（今回調べたら、さらに値上がりしていました…汗）。

古くから保有しているものは利益がのっていたため、解約して約20％の税金を払うよりは手数料を払っても移したほうがマシ、と泣く泣く出庫手数料を払ったのでした。

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日記&日々の雑感（9月21日～30日）

9月下旬は福岡、広島への出張も。福岡では主にFP（ファイナンシャル・プランナー）さん向けに「改めて資産形成を考える」、広島では珍しく『WEBで発信するための「発想法・技法」』というテーマでお話をしました。