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夜の色

静かな夜に埋もれる。 
生温い体温、用意された台詞。  今想う

いなくなれ群青。

毎日誰かを想う。毎朝花に水をやる。
無計画なくせして、過ぎゆく日々は
振り返ってはくれない。
あなたの影を辿る。指でなぞり奥深く飲み込む。
シワのないシャツもココナッツの香りも全部
私の嫌いなもの。私の知らないもの。
「愛してる」そう言って私の頬を撫でる。
髪に絡まる濁った愛。冷たく感じたシルバーリングがあなたと私の関係を痛いほどに見せつけてくる。
3…2…1、目を閉じた。
所詮、私はあの子の代わり。代わりになれるなら私じゃないとだめな理由もない。
それでも想う。 毎日君を想う。
握りしめる電話。本当に握りたいのは君の手なのにな
何度も君の名前をなぞる。
3…2…1…「ゼロ」がくれば君からの電話が鳴る。
期待してカウントダウン。子供っぽいおまじない。
「ゼロ」が来ないまま 味の濃い涙を呑んだ。

賢く生きることも出来るのに不確かな未来を選んだ。
傷つくとわかっているのに私はあなたを選んだ。

毎夜夢を見る。毎夜君を想う。
見上げた星空を見て思う 幸せな光、温かな愛。
眩しすぎるから、涙が出るから
私はきっと思い出す度あなたを好きになるから
3…2…1目を閉じる
何も聞こえない静かな夜に埋もれる。
生温い体温。用意された台詞。不確かなあなた。
今想う。 

いなくなれ群青。

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