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推し活、それ即ち生命維持活動

今盛んに「推し活」という言葉を耳にするのは私に”推し”という存在ができたからであろうか。
"推し"という用語は諸説あるだろうが、元々48系グループの中で一推しのメンバーを意味するものとして使われていたそうで、いわゆるアイドルをさすものだった。今ではアイドルの枠組みを超えるばかりか、キャラといった二次元、刀、仏像といった無機物なものでも、熱中できる対象はすべて"推し"の範疇になってきたと感じる。

ただ私が今回語りたい"推し"というのはその言葉の原点であるアイドルなのだ。
私自身、元々ストレスを感じる時期、振り返ると特に受験期にアイドルにハマる傾向にあった。ジャニーズ、48グループ、ハロプロ、スタダと男女問わずたどってきたが、共通して言えたのは、トンチキな楽曲と全力なパフォーマンスだった。圧倒的に元気をもらえる方法がアイドルという存在で、本当に助けられたのを覚えている。ただ、それもそのストレス要因が和らぐとそこまでの熱量はなくなり次第にフェードアウトするというのが常だった。

日本のアイドルから韓国のアイドルをよく見るようになったのが2018年頃、当時一斉を風靡していたBTSを聞いてみなよと言われるがままにYouTubeを見てみたら、これがまたトンチキな楽曲と全力なパフォーマンスではないか!!!(リスペクトを込めています) トンチキとはいっても言語が理解できないのでそこまでダイレクトには感じなかったが、(和訳をみてみると面白かったが)、それよりかはK-POPというのはこんなにダンスのレベルが高いのか…とパフォーマンスに圧倒された。KARA、少女時代で止まっていた私の中のK-POP史がそこからまた動き始めたわけである。

入りこそ男性アイドルだが、それから見漁るうちに女性アイドル=ヨジャの楽曲やパフォーマンスがぶっ刺さっていく。何より衣装、メイク、本人たちの圧倒的なプロポーションといったビジュアルの洗練さに釘付けになった。さすが国を挙げてアイドル事業をやっているだけあるとお金のかかり具合に感服したし、耳からも視覚でも楽しめるというのが楽しかった。




え、ダンス上手すぎか


前置きはここらへんにして、私の推しというのはK-POPアイドルだ。
出会いは社会人3年目、病み期絶頂期である。(病みの詳しくはnote:「転職とオタ活」へ!) 仕事終わりにYouTubeショートでK-POPアイドルの動画を見漁り、現実離れしたスタイルを見ることで少しでも現実から目を背けるのがルーティンで、至福の時だった。男性アイドル=ナムジャの動画も流れてきて、ふと目に留まったのが一人のチッケムだった。


え、ダンス上手すぎか?(タイトル回収)
コメ欄ポチポチ…
へ~この人入野っていうんか、日本人で異国の地で頑張ってらっしゃってすごいな~、日本人ってだけで無条件に応援したくなっちゃう気持ちに誰か名前つけてほしいわ。にしても軸ブレなさすぎ、関節どうなってんねん、音ハメえぐいて。(ダンス素人目線もわかるヤバさ)


ここでStray Kidsの「MANIAC」という楽曲に出会う。腰の動きがやべえ振り付けがあるんですけど、(見たらどこのパートだか絶対わかる)特にそこが入野さん上手すぎた。他のメンバーも気になるなと思った矢先、ショートでまとめて作ってらっしゃる方がいるーーーーーーー!!!!!!
まあ、見ますよね。えぇ…みんなレベル高…。
そして何よりこの「MANIAC」がとにかくめちゃくちゃに私にぶっ刺さる曲調、そうトンチキソングだった。バックサウンドに特徴があって、声の音域も幅広く耳が飽きない。なんか途中ぴーんぴんって聞こえるけど、これ何を歌ってるんだろうか…


和訳:「ぐるぐる回ってしまうだろう、異常者だらけの集団、ネジが外れたように狂っている、狂人、ハハハ…」




面白すぎじゃない???(好きです)



通しでパフォーマンス動画も見たいと思った。ここがStray Kidsというグループを知る入口となったわけである。

YouTubeショートの動画のリンク貼りたいんですが、無断引用ちょっとどうなのかなと思ったので、公式MV貼ります



別人やんけ

「MANIAC」という楽曲を聞いて何が印象的かと聞かれたら、大多数がサビの低音と答えるのではないだろうか。最近特に男性アーティストで求められている、というのか好まれていると感じるのが、男性だけど高音域こんなに出るの!?(ミセス、髭男等々)という驚異や技術力だったので、逆にこんなに低音域出るの!?!?という新鮮さがあった。

誰がこんな低音で歌ってるんやと思いパフォーマンス動画を見てみると、確かにオーラに凄みがある方だった。楽曲の雰囲気に合わせてるというのもあるだろうけど、憑依していて、ちょっと怖いかも…(でもテーマが狂人だから多分怖くて正解) とりあえずFelixという人がパートを担当していることを知る。確かに顔もハーフっぽいし、なるほどオーストラリア国籍なのか。


一旦話は変わって、いつものようにYouTubeショートを見漁っていると、TWICEのナヨンさんとあるナムジャとのコラボの動画が回ってきた。


※YouTubeショート公式が見当たらず、もしかすると転載を見てたのかもしれないです...公式のTikTok載せます



初めこそナヨンさんかわえ~と思って見ていたのだが、横にいるナムジャもめっちゃくちゃ笑顔で、このコラボ嬉しいんやな〜喜びを全面に出しててかわいい、もはや親心的なかわいさという感情抜きにしてもまじで顔面かわいいな???


ハッシュタグを見てみると



#Felix


え??
Felixってあのちょっと怖系だった人?
いやでもK-POPアイドルで2人も3人もFelixってそうそういないよな…
同一人物??あのステージの獲物狩るような目つきから打って変わって純粋無垢な笑顔はじけちゃうの???
だとしたらもうそれは別人やんけ(タイトル回収)


このギャップに私はヤラれた。
ズルいやん…あんな憑依できる人がこんな笑顔見せてくるなんてそんなんできひんやん普通…大迫半端ないってニキと同じ心情でしかない。
私は笑顔にとんと弱い。でもあんなダークな面を見せられてからの笑顔は誰だってもっと弱くなる。

Felixって何者なの?内面も気になってくる…。もっと他のパフォーマンス動画も見てみたいと思うようになり、それから本格的に過去のMV、コンテンツ動画、チッケム等を見漁っていった。




結論:人間がデキすぎている

  • 何事にも全力(パフォーマンスはもちろん、バラエティーにも貪欲)

  • 周囲の幸せが自らの幸せ

  • 愛称が행복이:ヘンボギ(幸福という意味の행복:ヘンボクと韓国語名の용복:ヨンボクを掛けている)、Sunshine


よくファンの方が天使と言っておられるが、わかりみでしかない。人間というものに興味を感じて下界に降りてきた天空からの使者だ、間違いない(?) なんだろう、とにかく別次元の人なのだ。


日頃ファンからもらっている愛を分かち合いたいという想いから、個人の長期休暇を利用してラオスのボランティア活動に参加するほど、彼は世界の幸せを願っている。
善人の押し売りとかでは全くなく、心からそうしたい、そうすべきと思っているのが人柄から伝わってくるのだ。

立派な方でいらっしゃるのはもちろんなんだけど、掴めないような面白い面も持ち合わせている。計算高くない、素直であるが故にちょっと様子がおかしいときがある。(褒めている)


この動画どんだけ見ただろう...滋養強壮でしかない...

その様子のおかしさは何事にも全力ということにも繋がっているのだろう、本人はいつだって本気(マジ)というのが面白い。

苦手な高音を歌う一生懸命さが面白い
勝敗のジャッジが曖昧で必死に抗議する姿が面白い
表情も全力で面白い
勝負に本気すぎてメンバーの顔面にボールを強打させるの面白い




オーストラリア出身であるため、韓国語がわからない状況下で10代で渡韓し、ただでさえキツい練習生活が、言語の壁、文化の違いでより困難を極めるものであったと思う。
比べ物にはならないが、それが当時地元から離れて知り合いも全くいない土地で働いていた自分の境遇に重なって、「異国の地でも頑張って夢をかなえた人が今では人に夢を与えてる」ということが病み期の自分の励みになった。



顔面がとてつもなく美しいのももちろんだけど、人柄に尊敬と魅力を感じ、こうしてFelix is my 推しとなった。



神タイミング

好きと気づいてからもうざわめきが止まらない。そしてパフォーマンスをぜひ生で見てみたい欲が止まらない。とりあえずこの行き場のない感情を会社の同期(古からのK-POPオタク)に伝える。

2022年11月7日



そしてまさかの好きになったタイミングでアンコン発表される。

2022年11月7日


ごめんなさい、日ごろの行いが良かったと捉えてよろしいでしょうか!?!?!(大パニック)


兎にも角にもFCへ入会せねばと申し込み事項を読み進めていくが、FCへの入会手続きというのがそもそもご無沙汰だったのと、K-POP界隈がよくわかっておらずでFC JAPN先行?MOBILE先行?ファンクラブに種類があるとか難しすぎない?状態に陥る。
最速で申し込むには両方入ったらよろしいということだったので、W会員となり、「推しは推せる時に推せ、行ける現場全部行け」という力強い同期の言葉に背を押され、無事『Stray Kids 2nd World Tour "MANIAC" ENCORE in JAPAN』へ申し込むことができた。




参戦



ヤヴァイ…スキズを知るきっかけをくれた曲を生で拝めてしまう時がこんなにも早く巡ってくるなんて。コロナが落ち着き、ライブ開催が実現できる世に戻ってに本当によかった。
初参戦でちょっと不安だったが、同期も行ってみたいということだったので、ありがたく付き添っていただくことにした。

行くことが決まったからには、ペンラ必要だよね!?アンセムって何!?!?とりまセトリ予習せな、待って、曲ごとにこんな複雑な掛け声があるの!?!?!?と大忙しであった。



そして、来る当日。
京セラドームは人生で一度も行ったことがなく、想像はしていたが会場の大多数の観客にまず圧倒された。彼らにとってもドーム公演が初ということで、とても意味深い日に縁あってこうして参戦できた幸せを噛みしめていた。

登場を待つ間、緊張と興奮で手足がしびれた。あぁ、幸せに満ちてるってこういうことなんだ。社会人になってからというのも辛い感情に支配される日々が多かったが、こうして喜びを素直に心が受け取れていることがものすごく嬉しかった。

暗闇から彼らのシルエットが見えたとき、ジェットコースターに乗ってもガサガサ声しか出ないこの私至上最音域でクリアな悲鳴が口から飛び出た。叫びながら同期に向かって、



「やばい!!!!自分こんな高音出るって知らなかったんだけど!!!!!やばいって!!!!!きゃあああああああああ」


そのときの同期のドン引いた顔が今でも忘れられない。


モニターに推しが映し出されたとき、綺麗すぎてこの世のものとは思えなくて、でも肉眼で見る動きとモニターがリンクしているから、この地に存在してはいるんだよね?と双眼鏡とモニターを交互に見ては脳内バグを起こしていた。自己紹介が始まると、


「皆さんの天使、Felixで~す」



♪天使はいたんだ~(阿部真央) ※脳内再生不可避
しっかりと自己を紹介している!
自覚に勝る成長はない!!!!!



ちょっとここからまじめな話。
パフォーマンスは圧巻だった。ドームという大規模な空間を一体にさせる力、オーラというのは会場でしか感じ得られないものだったと思う。そして、なぜここまで激しい踊りをぶっ続けでできるのか、それは日々のたゆまぬ努力はもちろん、心からステージを楽しんでいるからこそ成し遂げられることなのだなと思った。

初ドームということで、ここまでの苦労や葛藤、そして実現できた喜び、私の想像には到底及ばないいろんな感情が押し寄せてきたのだろう、メンバーは泣いていた。そしてその姿を見て会場からすすり泣く声が聞こえたとき、こみあげてくるものがあった。何かに熱くなれる、夢中になれるってどんな形であろうと素晴らしいなと思った。


スキズの始まりの話をしたいのだが、現リーダーを務めるバンチャンが選出した練習生がサバイバル番組を通じてデビューした。そして、何より特徴的なのが3RACHA(バンチャン、チャンビン、ハン)を中心とした自主制作グループであること。それは自分たちが納得した楽曲で活動するということで、より大きな責任感や当事者意識を持っているのではないかということだ。


だからこそかもなのかもしれないが、スキズを見て感じるのは、グループとして何ができるか、グループにとって何が最善かというのをとにかく個々が深く考えているなということ、そして向いている方向性が同じであるということを感じた。
これってグループ活動でものすごく大事なことで、メンバーや事務所との方向性の違いで解散、脱退というのを幾度となく見てきた私にとって、この人たちについていったらきっと安心して推し活ができる、そう思った。
それは動画越しにも感じることができたが、会場で直接彼らの言葉やパフォーマンスを見て揺るぎないものになった。

どこかのコメ欄で、”Thank you skz to come to my life”というのを見かけたが、正にそうだ。
スキズが新しい挑戦をしているのを見ると、私も頑張ろうという気持ちになって、おかげで転職を決意できたし、1人で海外旅行へ行くという新たな試みにもチャレンジすることができた。
私の人生に間違いなく大きな影響を与えてくれている。


初めこそ病み期絶頂期に出会ったこともあり、供給を受けてなんとか生きていこうという生命維持装置的な役割だった。
しかし今となっては推し活は私の行動を変え、人生を彩りある、豊かなものにしてくれたという点では装置の役割を超え、単なる受動的なものではなくなっていると感じる。


どんな新しい景色を見せてくれるんだろう、そして一緒にその景色を見たいと思わせてくれたスキズ、そして推しのFelixという存在は、今までとは異なり、ストレスの原因が無くなった今でも推していきたいと強く思う。


改めて、私の人生に入り込んできてくれてありがとう。



余談

スキズを知るきっかけをくれた入野さんだが、恥ずかしながらFelix is my 推し~となってからもしばらく彼をずっと日本人と勘違いしていた話をしたい。というかFelixがオーストラリア国籍なのね~のくだりでちゃんと他メンバーを掘り下げて調べてないのかよというツッコミは大いに受け付けます。
顔立ちがとにかく日本っぽくて(日本中どこ探しても見つからない美形というのは承知の上)、”入野”とコメ欄で呼ばれてたことで、先入観で日本人だと信じて疑っていなかった。

そして彼が日本人ではないと知ったのがこの動画↓


箱根旅行のエピソードで、マネージャーから黒たまごをもらうシーンがあるのだが、食べられるたまごかと思ったらまさかの石鹸ということが発覚する。

「これ、たまごジャナイ…」


うん、かわいすぎるぜ…しかしイントネーションが明らかに日本人のそれとは違うぜ…

はい、彼は韓国人でした。(完)

彼の苗字がイで芸名がリノ→イ+リノ=入野
初見殺しやんか...。


読んでくださりありがとうございました!

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