最強の編集者は「大阪のおばちゃん」である
これは、先日雑談していたときに柿内さんがおっしゃっていたことです。
「大阪のおばちゃん」は最強の編集者である。編集者はみんな、心の中におばちゃんを住まわせるべきだ、と。
最強ポイント①ツッコミが入れられる
おばちゃんが最強とは、どういうことか?
たとえば、こういう感じで話す人がいたとします。
デジタルトランスフォーメーションが進んだアフターデジタルのニューノーマルな世界では、どのようなパラダイムシフトが起こるのだろうか。グローバリゼーションから取り残されガラパゴス化した日本企業は、今こそフレキシブルにダイバーシティを取り入れたウンタラカンタラ・・・・・・
それを聞いて、
「いや、ようわからんわ! どういう意味? もっとわかりやすく説明してや!」
と、はっきり言える。この「ツッコミ力」がおばちゃんの強みです。
上の文章はわたしが適当につくったものなので、こんな中身のないことを話す人は実際には絶対いないと思います。でも、取材相手の話が、全くの初心者からするとちょっとわかりづらかったり、おもしろさが伝わりづらかったりすることはあるのではないでしょうか。
そういうときって、話の腰をおるのもなんだか申し訳なくて、ついツッコまずに聞いてしまいがちです。でも、心の中におばちゃんがいれば「それってどういうことなんですか?」とツッコめる。本来なら聞き出せなかったおもしろい話や、わかりやすい表現を引き出せるかもしれません。
他人の話だけでなく、自分の文章にも「おばちゃん」はツッコミを入れてくれます。
「いや、ここなんか読みづらいわ!」
「こんな書き方じゃ全然おもろないわ!」
と、客観的な目でツッコミを入れながら文章を推敲することで、より多くの人に伝わる文章になるのではないでしょうか。
↓文章へのツッコミの入れ方は、こちらの竹村さんのnoteに書いてあります。
最強ポイント②なんか全然嫌な感じがしない
もうひとつ、大阪のおばちゃんの最強ポイントは、「すごいはっきり言われるんだけど、なんか全然嫌な感じがしない」ということです。
もちろん、すべての大阪のおばちゃんがそうだというわけではありません。あくまでも、みんなの心の中の”大阪のおばちゃん”像の話です。
みんな心の奥底では思っているんだけど、ちょっと言いづらくてなかなか言えないことを、「大阪のおばちゃん」は言えてしまう。それは、おばちゃんの圧倒的な「キャラ力」「愛され力」のなせる技ですよね。
著者は、言わずもがなその分野のプロフェッショナルです。でも、プロが使う言葉や、プロがおもしろいと感じるポイントは、一般の人とは少しずれていることも往々にしてあります。それをそのまま世に出すと「わかる人にはわかる」ようなコンテンツになってしまい、一部の人にしか読まれません。
専門書などなら、それでもいいでしょう。でもその内容が本当は、その分野に精通していない人にとってもすごくおもしろいものだったとしたら、もったいないですよね。
だから編集者は、読者の立場になってはっきり意見を言わなければならない時もある。そういうときに「大阪のおばちゃん」のマインドはすごく役に立つのだそうです。
つまり的確なツッコミができて、嫌な感じがしない「キャラ力」があること。実際、優秀な編集者には、そういう「おばちゃんマインド」を持っている方が多いのだとか。
なかなか難しいですが、最強の編集者としての「大阪のおばちゃん」を、こっそり胸に住まわせてみたいと思います。笑