人間の「B面」にフォーカスする新しいメディアをつくりました。
新しいメディアをつくりました。
わたしはWORDSという編集の会社ではたらく24歳の小娘です。このたび、会社で新しく立ち上げるメディアの編集長を任せていただくことになりました。
情報なんてありすぎて困るようなこの時代に、新しいウェブメディアをつくる。
せっかくなら、存在する意味があるメディアにしたい。このメディアを通して、誰かの心が救われたり、世界の見え方が変わったりしたらうれしい。でも、一体どうすればいいんだろう……。
悩んだ末にわたしは、自分が社会に出ていちばん「これ知れてよかったわ〜!もっと早く教えてや〜!」と思った情報ってなんだろう? と考えました。
そしてそれは、
「社長」って意外と人間なんだ!
……ということでした。(失礼)
わたしは社会に出てからずっと「社長」と関わるお仕事をしてきました。
新卒ではビジネス書をメインに扱う出版社に入社しました。その後は『メモの魔力』などを手がけた竹村俊介さんという編集者のもとで、社長の思考を言語化して発信する「顧問編集者」というお仕事をしています。
ビジネス書をつくるときも、顧問編集者をするときも、取材対象は「社長」です。
社会に出るまで、社長って「知らない世界で、おじさんたちと"ビジネス"の話をしてる、お金持ちの偉い人」みたいなイメージでした。自分とは関係ない、別世界のすごい人。
でも、ちがったんです。
実際にお会いしてお話した経営者さんたちは、人間味あふれるすてきな人ばかりでした。そして取材で過去のお話を深掘りしていくと、どんなにスゴい経営者さんも、昔は自分と同じような「ふつうの若者」だったのです。
いま、億単位のお金を動かすような事業をされている方が、昔は地元で考えなしにカフェを開いてつぶしてしまったり、いまだに不安で寝れない夜があったりする。
すごくロジカルで「効率の鬼」みたいに見える人が、新卒の会社では仕事にいくのがすごくイヤだったり。実はゲームをしたりネットフリックスをみたりするのが大好きだったりする。
彼らは「別世界の人」なんかではなく、わたしが今いる場所から地続きのところにいる。
感情で動くことだってある。ダメな部分だってある。そんな一面を、気さくに話してくれる優しさと強さがある。
そう知ったことで、わたしは世の中の見え方が大きく変わりました。
キラキラした人の裏側は、意外と人間くさい。
人間くさい人たちによって回っていると思うと、世界はすごくおもしろいです。それに、おこがましいですが「自分にも、なにかできるかもしれない」みたいな希望がもてたんです。
「B面」を知ることで「A面」に深みが増す
いつもはスゴい人たちの、昔の失敗やちょっとダメな部分。ひとりの人間としての素直な言葉。それはレコードの「B面」みたいなものかもしれません。
「A面」ほど派手ではないし、初見の人はスルーしてしまうかもしれない。でも、A面を構成する原点みたいなものがつまっていたりする。「B面」を聴くことで、聴き慣れた「A面」により深みが増すんです。
人の「B面」を、もっとたくさんの人に知ってほしい。
今回つくるメディアはそのためのものにしよう、と思ったんです。
SEOやPV数を気にすると「B面」は扱いづらい
世の中にある多くのコンテンツでは「A面」を扱うことが多いです。
「経営者の〇〇さん」「スポーツ選手の〇〇さん」として、事業の話や、試合の話を聞く。もちろんそういう記事は必要です。わかりやすいし引きもある。
逆にいうと「B面」の記事は、わかりやすさや「引き」は弱いんだと思うんです。
芸能人の内面を扱うインタビュー記事はけっこう見かけます。それは「みんながすでにその人のことを知っている」という前提があるからです。でも、そもそもどういう人かよくわからなければ、いきなり「B面」を扱っても読まれない。
だから「B面」を扱う記事は少ないのだと思います。
今まで言えなかった話をするメディア
今回のメディアをつくるとき、大きな特徴は「メディア単体でマネタイズしなくてもいい」ということでした。
WORDSという会社の世界観を表現する場として、また、いろんなおもしろい人に気兼ねなく会いに行けるハブとして活用する。
広告なども掲載しないので、SEOやPV数を過度に気にする必要はありません。(もちろん、たくさん読まれるよう最大限の工夫はしますが)
だったら、この特徴を最大限生かして「このメディアでしかできないこと」をやったほうがいいんじゃないか。
そう考えて、コンセプトは「今まで言えなかった話をするメディア」にしました。
よりたくさんの人に読まれないといけない既存のメディアでは、どうしても「肩書き」に沿った話をせざるを得ない。そういう場所では、なかなか言えなかったこと。
それを「ひとりの人間」として話してもらう場所にしたんです。
深夜のファミレスで、1対1で話すときのように
メディアの裏コンセプトは「深夜のファミレス」です。
友だちと終電を逃して、24時間営業のファミレスに駆け込んで、窓の外を眺めながらドリンクバーのコーヒーを飲んでいるとき。
つい、いつもはしない話をしちゃう空気が、あの時間にはある気がします。
ふだんはおちゃらけている友だちの、ちょっと真面目な話。世の中に対して思ってることや、好きな人の話。家族の話。みんなでワイワイしているときには絶対に言わないことを「なんかさー……」って話してくれる。
このメディアを読んでくれた人には、著者さんと「深夜のファミレス」で、ふたりゆるっと向き合っているような感覚になってほしいんです。
だから、インタビューメディアではあるものの、文章は「1人称」で書きました。
インタビュアーと著者さんの会話を眺めるという構図だと、読者は「第3者」になってしまいます。
そうではなく「あなた」として、1対1で話を聞いているような感覚になっていただけたらうれしいです。
A面の世界に疲れたら、ふらっと遊びにきてください
今回、公開した記事は2つ。
1つ目は、WORDSの代表、竹村さんの記事です。
もう一つは、フルーツ大福「弁才天」の代表、大野さんの記事。
どちらも8000文字ぐらいのボリューム。ちょっとした文庫本を読むような感覚で、ゆっくり読んでもらえたらうれしいです。
今後も月に1回のペースで、じっくり読める記事を公開していく予定です。
キラキラな「A面」の世界にちょっと疲れたら、「今日は終電逃してもいいか」みたいな感覚で、ふらっと遊びにきてください。
スゴい大人たちの意外と人間くさい話を聞くと、次の日からいつもの世界も、けっこう愛おしく思える気がするんです。
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ここまで読んでくださってありがとうございます!
なにせはじめてのメディア運営。慣れないことやわからないことだらけですが、これからも改善を重ねながら、いいメディアに育てていきたいです。
「この人に取材してほしい!」「もっとこんな機能があるとうれしい!」みたいなご意見がありましたら、ぜひTwitterのDMなんかで送ってくださいね!
最後に、今回のメディアのデザインから実装まで親身にお話をきいて仕上げてくださったneccoのみなさん。
イラストを担当してくださった、大石いずみさん。
たくさんアドバイスをくださった、WORDSの竹村さん、柿内さん、佐藤さん。
ほんとうにありがとうございました! これからも、どうぞよろしくお願いいたします。