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東京国立近代美術館「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」

ネコ。ネコ…??
と多くの人が思ったのではないだろうか。私も思った。ネコ?
そして実際、展示されている建築模型のそこかしこに、こっそりネコがいる。
その謎は展示の最後の方で明かされるので、ぜひ現地で確認してみていただきたい。
(撮影可のものは画像があるが、なぜかnoteに画像がアップできない)

私が建築に描いていた大きな誤解として、「建築=建物」という認識がある。建築家が作るのは建物であり、その建物のデザインや機能性、目的に沿っているかが評価されるポイントである、と。
だが、建築家を扱う展覧会に足を運ぶうちに、建築とは生活や空間を含めて考えるものなのだと理解した。そこに人が存在して初めて建築は建築として完成するのだということを、門外漢の私は建築家たちの考えに触れていく中で学んだ。
また、建築物そのものだけではなく、その周辺まで視野に入れて考えていく、さらに時間的な文脈にたち、長い時間軸まで視野に入れていくというのが建築家の仕事なのだということも知った。建築とは、人と人、人と場とをつなぐものなのだというのが、今の私の理解である。

今回の展覧会でも、「公共性」「人が集まる場所」というキーワードが出てくる。さまざまな建築が、「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」という5原則に分類して紹介され、それぞれが何を意図しているのか、その建築が街の中でどのような存在であるのか、といったことが示されていく。

なるほど、と思いながら足を進めていくと、第二会場としてビデオが流れるコーナーに行き当たる。個人的にはここが一番面白かった。建築は勝手に建つわけではなく、必ず依頼主がいる。隈研吾さんに依頼した、老舗の醤油屋さんのご主人や、南三陸町の町長などが経緯や顛末などのエピソードを話すビデオが流れている。隈研吾さんが現場の視察に来たはいいがあっという間に帰ってしまい「大丈夫かな、あの先生」と家族と話した、という思わず笑ってしまうようなものから、復興に向けた熱い想いまで、建築が作り出すのは建物ではなく人と人のつながりや人と場とのつながりなのだということが感じられるものだった。

あと、隈研吾さん、すっごく福耳。

会期は9月26日まで、夜間開館もあり。

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