知らない町に住んでみたい
ずっと同じ町に住んでいる。
小学生のころ、砂丘のある町からこの町に引っ越してきて
あとはずっとこの町に住んでいる。
好きでも何でもないこの町に。好きなところが思いつかないこの町に。
知らない町に住んでみたい。
息子達は知らない町に住まいを探してこの町を出て行った。
息子をたずねて知らない町に行くとほっとする。
なんだか懐かしいような気さえしてほっとする。
ずっと住んでいる好きでもない町ではなぜほっとしないのだろう。
長く居すぎて息を吸い過ぎてもうここの酸素を吸い尽くしてしまったのかもしれない。
酸素がたくさん残っている、知らない町に住んでみたい。
できれば海のみえるところ。
できれば雪の降るところ。
そうでなければ大好きな珈琲店があるあの町に。
それかいつか夢にみたような
夕焼けにまぶしそうにしている古い商店街のある町に。
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