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ライバルは猫である【#シロクマ文芸部】

恋は猫がライバルになることが多々あるであろう。いったい彼・彼女が元々可愛がっている猫よりも高い地位を後から得ることなどできるであろうか?否、できない。できない、と断言する。とても厳しい。
もしも一瞬の彼・彼女の気の迷いによって、彼・彼女が自分に恋したとしてもその後の付き合いの中で猫様はかなりの障害になることは間違いない。私と猫とどっちが好きなのっ!などと言ってはその恋はあっという間に終わってしまう。猫自身はそんなことどうでもいいにゃという無関心なポーズをとってはいるが、実はありとあらゆる手を使ってじゃましているのだ。飼い主はもちろんそんなことは夢にも思わない。
あの猫が付き合いをじゃましてる!などと訴えても絶対に信じたりしない。それどころか猫の肩を持つだろう。敗北。その二文字しか残らない。

遂に勝ち目がないことを悟りきった私は猫との戦いをあきらめた。
次に生まれてくるときは野良猫になろう。雨の日に濡れそぼって道端で小さい鳴き声をあげている生まれたての子猫になろう。そして彼に拾ってもらうのだ。そして死ぬまで可愛がってもらおう。
もちろんその途中で彼に言い寄る女が来たらありとあらゆる手を使って断固撃退する。やっと手に入れた彼は私のものなのだから。

(了)

小牧幸助さんの企画に参加しています。


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