ちょうどよい庭とは
自宅の庭を改装し始めて2年半がたちました。
そして、
庭師さんのお手伝いをするようになって2年。
大学でランドスケープを学んで1年半。
怒涛のようなスケジュールでも、自宅の庭の手入れだけは怠らず。
暇さえあれば庭に出ています。
この暑い暑い夏も、庭師さんのお手伝いにも行き、
お手伝いの仕事がない日は自宅の庭で汗を流し。
ただ、さすがに今年は疲れが出始めた。。。
暑すぎる、、、雑草が元気すぎる、、、
暑くたって雑草だけは元気なんだということに気づいた。
オットの畑を見て来て知っているんだ。
庭や畑は、人の意識が離れると、、、荒れます。
暴走を始めます。
暴走を許していると、後でできることは、
切る事だけ。
庭は育てるもの。
手に負えないと感じ始めた時点で、自然のパワーが独り勝ちし始めます。
よくYouTubeなんかで見る素敵なワイルドな庭は
ワイルドに見えても、相当手入れをされているか、
もしくは、軽井沢とか、北海道とか、涼しいところだと思います。
関西の平地で、雑草と共に暮らすワイルドな庭を目指していますが、
さすがに限界を感じている、というのが、正直なところです。
手入れを怠ると、ルコウソウやヘクソカズラ、ノブドウ、ヤブガラシなどの蔓たちが、いろんな木や植物に巻き付いてしまいます。
ウメの木なんかに蛾が卵を産んで、気づかないうちに毛虫だらけになります。
雑草はどんどん背が高くなり、自分の植えた花が消えてしまいます。
ただ諦めるのは面白くない。
私が譲れるラインを探そうと思っています。
ずっと、自然とのボーダーの引き方を模索してきましたが、
それは揺れ動き続けるものなのですね。
今、気候が変わってきているし、庭に出るのも辛い日が多いなか、
それでも、できるだけ自然と共生しながら心地よく居られる庭を作るには、
私の場合はもっと、ボーダーをはっきりさせる必要があるのだと気づきました。
持続可能にするためです。
自分が、お世話し続けられるように、自分以外の人にお願いすることがあっても、その人が困らないように。
自然のパワーはやっぱりすごい。
共生なんて甘いことを言っていると、あっという間に飲み込まれかねないほどのパワーを感じます。
自分にとって、程よい広さというのがあるでしょうし、
程よい手入れで済む庭でないと、
驚異でしかなくなってしまうようです。
庭師さんの手伝いに行く先のお客様は
300坪とか500坪という大きなお庭があるお宅が多いのですが、
最近、気づいたのは、
庭が広くても、お隣の家があれば、そのお家が見えないように樹木で隠そうとすると、高い木が必要で、高くなる木が育って行くと、どんどん手入れが大変になる。お金も時間もかかる。
一方で、当然のことながらお客様は年を重ねていく。
同じように仰るのは、
「樹をもう少し低くできませんか」ということ。
まあ、
豪邸あるあるなのかもしれないけど、
老夫婦がお住いの所が多く、家も大きすぎて部屋も多すぎて、
庭も広すぎて、木も高すぎて、
全部自分の手に負えなくなってしまって
それはとてもストレスになるんだという事。
逆に考えると、
程よい庭で、程よい高さの木を保っているお宅は
見ていても安心感がある。
私が貧乏性なのかしら???(笑)
でも、お金があって毎年何度か庭師さんを呼べるとしても、
自分にとって○○過ぎる、ということがあるのは、
段々負担になって、脅威になるんだろうなという事に気づいたのです。
私の家の近所に、大好きなお家があります。
そのお家は、田んぼの中に建っていて、多分広さは60~70坪くらい。
家は昭和に建ったんだろうなという瓦屋根の平屋。
おそらく3DKくらいかなと思います。
外壁も低いフェンスで、外からも庭を見渡せてしまうのですが、
良く手入れされた程よい高さの樹木や花壇、家庭菜園があります。
なんだか、とっても安心感を感じてしまう私です。
下の写真は、NZで撮って来た平屋の素敵なお家です。
今、平屋が流行っていますが、
もう、大きな家ははやらないのかもしれないですね。
物も増やしたくない、自分の手に負える家や庭がいい、
それをよく手入れして、自分らしく整えて暮らす、というのが、
一番ラクだし、ストレスがないことに、気づき始めている人が多いという事かもしれません。
わが家は、夫婦二人には広すぎるので、改装して、
1階は人が来て使ってもらえるようにして、
私たち二人はほぼ2階で暮らす予定です。
庭も広くて、人を呼んでイベントをするので、
ワイルドな庭を目指していましたが、
もっと人が歩きやすい、過ごしやすい舗装なども考えて、
暑い夏には影を落としてくれる、自分で剪定可能な落葉樹を植えようと思います。
ということで、、、
「手に負える庭」を造りませんか?
みたいなコンセプトで、仕事をして行こうかなとか考えています。
片付けコンサルタントみたいな人がたくさん本を出したり、活躍されていますが、
「庭の片付けコンサルタント」みたいなのはなくて、
いかに美しくするか、という方向ばかりです。
YouTubeで見て憧れるような庭は、私には造れません。
憧れるけど、ストレスになる事に気づいてしまいました。
私は春や秋が好きです。
でも、今、ここでは夏が長くて大変すぎる。
それでも、庭が好きでいられるように、対応して行ける庭を考えます。
・大きくなり過ぎない落葉樹で、夏は庭に木陰をつくる。
・暑さに強い宿根草を、落葉樹の下に植える。
・木陰の下の草刈りなら、日向より作業もラクだし、草も大きくなりにくい。
・芝生は、草刈りが必要だけど、間に生えて来る雑草は、芝と一緒に刈るだけで青々した緑が保てるし、水やりも少なくて済む。
・花壇以外は、自然素材の舗装ですっきり感を出しつつ、草が生えて来る面積を抑える。
・場合によっては、自動冠水ホースを埋め込み、蛇口をひねるだけで、水やりが可能にする。
などなど。
自分でやってみての結果なので、かなり庭の大変さの実情に対応していると思います。
ただ、じゃあ、何の木を植えるか?
剪定をどのくらいの高さでどうするか?
落葉樹の下に植える暑さに強い宿根草とは?
自然素材の舗装って何が最適?
自動冠水ホースをどう使う?
などなど、これから具体的に考えて行こうと思います。
「ちょうど良い庭」
「庭のかたづけ師」
というようなキーワードで何かできるかもしれない。
間違っても、庭が大変だからって、コンクリートで埋めたりする人が増えないように願います。
一旦、コンクリートにしてしまうと、後で変更したい時に、たくさんのがれきが出て、それは産業廃棄物となります。
除草剤をたくさん撒く人が増えないようにも願います。
土が硬くなって、まったく栄養分のない、痩せて水はけの悪い土地を残してしまうから。
次にその庭に来た人が花を植えたいと思っても、大変な土壌改良の努力と時間が必要です。
一度失われた自然を元に戻すのは、ムリです。
自分の庭は、自分だけの庭ではない。
次の世代に残す「大地の一部」なんだと、私達大人は理解する必要があると思います。
でも、なかなか大変なのも身に染みて分かります。
だから、私と同じように感じている人たちの参考になるような実験場として、我が家の庭を変えて行こうと思います。
小さいころから、花や虫や鳥が大好きだった私の
ライフワークなのかもしれません。