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「縁」か「柵」か

 葬儀でお世話になったご住職とは、以前からの知り合いということもあり、葬儀後も何かと相談に乗っていただいています。子どもたちと一緒にお寺に足を運んで、静かな本堂で手を合わせると、心が少しずつ落ち着いていくのを感じます。

 そんなある日、ご住職から「よかったら読んでみて」といくつかの冊子をいただきました。その中で気になったのが、「ご縁」について書かれたお話でした。
 
 ご縁という言葉は、今までにも何度も耳にしてきました。「ご縁を大切に」とはよく言われますし、私自身もそうだなと思っていましたが、冊子を読んでいるうちに、「縁」と「柵(しがらみ)」の違いが気になるようになりました。

 調べてみると、「縁」は仏教的な意味を持ち、すべての出来事や出会いが何らかの繋がりによって起こるという考え方。良い縁もあれば、学びを与えてくれる縁もありますが、そのどれもが人生の一部として大切にすべきものだとされています。

 一方で「しがらみ」は、何かに束縛されたり、抜け出せない状態を意味し、元々は水中に張り巡らされた竹の柵を表す言葉だそうです。流れを止めたり、物事を拘束するイメージがあります。

 「ご縁」は広がりを持つもので、「しがらみ」は狭めるもの。似ているようで、その意味には大きな違いがあることに気づかされました。

 自分に起こった出来事について、「ご縁」と感じるか、「柵」と感じるかは、自分次第なのかもしれません。私が「ご縁」だと思っても、相手には「柵」に感じることもあるし、その逆もあるでしょう。
 
 最終的には、どう感じるか、どう受け止めるかで、人との繋がりやこれからの人生の歩み方が変わってくるのかな、とふんわり感じました。出来事全てにはっきりと「ご縁」「柵」の区別をつけるのは難しいし、そんな必要もないのかもしれませんが。


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