Rays-mammy

小学生2人を育てる死別シングルマザー 2024年4月、夫の突然死をきっかけに22年間…

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小学生2人を育てる死別シングルマザー 2024年4月、夫の突然死をきっかけに22年間の教員生活に幕を下ろしました。 過去を振り返りながら、悲しみの中で見つけた感謝と、自分の成長を書き留めています。

最近の記事

パパの車と家族の選択 Part2  〜パパの願い〜

前回の続きです。 次回で完結です。  車の手放しについて、子どもたちは「絶対にダメ、車はパパそのものだから」と大反対。2人とも強く主張して、私の心も揺れ動きました。何度も家族や友人に相談しましたが、私自身の気持ちが定まらず、結論を出すのに時間がかかりました。  そんなある日、突然「ハンドルだけ買い取れないのかな?」という考えが浮かびました。今思えば、夫がそっと教えてくれたのかもしれません。すぐにディーラーに相談して事情を話したところ、ハンドルだけ買い取ることが可能であると

    • パパの車と家族の選択 Part1  〜車イコールパパだから〜

       夫が亡くなった後、さまざまな名義変更や手続きを淡々と進める中で、一つだけどうしても進められない問題がありました。それは、「夫の車をどうするか」という問題です。  夫は数年前、転勤してから毎日通勤で車を使い、休日には私たちをいろいろな場所に連れて行ってくれました。突然「今日はここ行くで!」と遠くに連れて行ってくれたり、「ママ、今日はどこ行きたい?」と聞いてくれたり…。「パパと車」は、いつもセットで、私たちにとって車はパパそのものでした。夫が毎日乗っていた車、そのハンドル、キ

      • 息子の自転車と喪失感

         息子が自転車に乗れるようになるまで、あと少しというところで、夫は旅立ってしまいました。あの時、夫が息子の後ろについて、「もうちょっとや!」と応援する中、息子が一生懸命練習していた姿が今でも鮮明に目に浮かびます。  先日、久しぶりに練習すると、息子はすぐにコツを掴み、すぐに乗れるようになりました。とても上手に自転車を乗りこなしていて、その成長ぶりに驚きました。娘も「⚪︎⚪︎くんすごい!すぐに乗れるようになったやん!」と喜んでいて、3人で「かっこいいね!乗れるようになってすご

        • 独身時代のパパを訪ねて 〜美味しいランチと〜

           7月、独身の頃、私に夫を紹介してくれた友人のお店を訪ねることにしました。友人はとても美味しいご飯を提供してくれる食堂を営んでいて、心もお腹も満たされる素敵な場所です。  この日は、子供たちと一緒に、夫が独身時代に住んでいたマンションにも立ち寄ることにしました。夫は友人の食堂の近くに住んでいたので、懐かしさを感じながらその場所を目指しました。久しぶりに降り立った駅に、ふわっと昔の記憶がよみがえってきました。 「ああ、この駅に何度も通ったなあ。」  私も独り暮らしをしてい

        パパの車と家族の選択 Part2  〜パパの願い〜

          ノートというサンドバッグ Part 2

           前回の続きです。  ノートに書くのは、苦しい胸の内だけではありません。やりたいことや、これから挑戦してみたいことも書きました。書きながらワクワクして、実際にその予定を立てて行動に移すことも。決め切ってしまえば、案外行動できるものです。  少しずつ、一歩一歩ですが、確かに前を向いていると感じる瞬間もありました。姉や父の、「大丈夫、進んでるよ。」という声も安心の材料でした。  当たり前ですが、人それぞれ自分の人生を歩んでいます。私が手を伸ばしても、たまたまタイミング悪く、

          ノートというサンドバッグ Part 2

          ノートというサンドバッグ

           心の浮き沈みが絶えない日々を過ごしていると、ふと過去を振り返ってしまうことが多くあります。時には、これからのことを考えるのが嫌になり、どうにもならないやるせない気持ちになることも。  ある日は前向きになれたり、子どもたちがそばにいてくれているという事実が救いに感じられることもあります。でも、時には「一人じゃない」と信じ切れない日もあるのです。そんな時は、姉にメールを送ったり、父に電話をしたりして心を落ち着かせていました。  それでも、どうしようもなく心が沈み込んでしまう

          ノートというサンドバッグ

          七夕に訪れた不思議な再会

           夫が亡くなってから、もうすぐ3ヶ月が経とうとしている頃、七夕がやってきました。その日は特に感慨深いものもなく、息子に「七夕ってなんだっけ?」と聞かれたものの、私自身が気持ちが沈みがちで、正直答える気力もありませんでした。「なんだっけねー」なんて適当な返事をしながら、ただいつも通りに夕食を食べていました。 七夕といえば、織姫と彦星が年に一度だけ会える日。そんな風にぼんやりと心の中で思いながら、淡々と過ごしていました。  その夜、不思議なことが起こりました。私は子どもたちと

          七夕に訪れた不思議な再会

          大学院!?

          前回の続きです。    翌日、早速娘がその方と電話で話をしました。その第一声、 「どうやったら、パパみたいに大学院に行けるの?」  びっくりしました。  前日、「誰と電話してたの?」という娘の質問に、 「昔、パパと一緒に難しい研究をしてきた、お仕事でお世話になった方なんだよ。」と私が伝えていたからでしょうか。  私はそっと見守るだけで、話の内容までは聞いていませんでしたが、電話をしている娘の様子がとても印象的でした。嬉しそうにうんうんと頷きながら、「うん、そうな

          大学院!?

          20年の時を経て

           葬儀の時は、必死で、どなたに連絡したらいいのか、彼の携帯中の連絡先を調べて、知っている限りの方に連絡をしました。葬儀には、座りきれないほどのたくさんの方が来てくださいました。葬儀後2ヶ月ほど経って、少し落ち着いた時間ができた時に、連絡し損ねている方がいらっしゃるかもしれないと思い、再度、夫の携帯の連絡先を確認しました。  その中で、葬儀にお呼びをしなかったけれど、かつて年賀状のやり取りをしていた方や、私の記憶にあるお名前を見つけました。そのお一人が、夫が前職で、ある技術研

          20年の時を経て

          何気ない会話をする相手がいること

           夫が亡くなって約3ヶ月が経ち、忙しいような、そうでないような日々の中、相変わらず気持ちの浮き沈みを感じながら生活していました。    そんなある日、元同僚の先生からLINEが届きました。先生は私や子どもたちのことを心配してくださり、「連絡をしていいのか迷いました。体調はいかがでしょうか。⚪︎⚪︎さんのお気持ちを理解するなんて到底できないことであるのは承知ですが、僕に何かできることがあればいつでも教えてくださいね」と書かれていました。  そのメッセージを読んだ瞬間、涙が溢れ

          何気ない会話をする相手がいること

          救急車のサイレン、どう聞こえますか?

           救急車のサイレンを聞くたび、私はあの日、あの瞬間に引き戻されます。朝、リビングのソファで息絶えている夫を発見し、パニックの中で、声にならない声で助けを呼び続けたあの瞬間です。サイレンの音が響き、娘が玄関の鍵を開けてくれました。救急隊員の方が到着した時にはすでに手遅れで、何もできることはありませんでした。心臓マッサージを続ける私の手を止められた時の絶望は一生消えない感情です。  救急車のサイレンを聞くたび、心が暗く沈み、どうしても顔を上げることができない私に、小学1年生の息

          救急車のサイレン、どう聞こえますか?

          パパ、お誕生日おめでとう

           夫が亡くなって、一ヶ月も経たないうちに、彼の誕生日を迎えました。私自身、その時は何かを祝う気持ちなど到底持てませんでした。「彼はもう歳をとらないじゃないか」という思いが頭をよぎり、祝うどころか、彼の不在に腹立たしささえ感じていました。  グリーフケアの本を読んでみると、こういった記念日に特に強く感情が揺れることを「記念日反応」というらしく、楽しい思い出のある日ほど、気持ちが沈みやすくなるのは自然なことだそうです。  ところが、そんな私とは対照的に、子どもたちは「パパの誕

          パパ、お誕生日おめでとう

          シングルマザーの健康管理

            夫を失ってから、これまで以上に自分の健康管理に気を遣うようになりました。人間ドッグやガン検診、尿検査でのガンリスク検査、全身のCTなど、医師と相談しながら対策をしています。幸いにも、今のところ健康に問題はなく、ホッとしています。  健康管理は、誰にとっても大切なことです。  ただ、夫を突然失い、二人の子どもと共に生きる私にとって、自分の健康を守ることに特別強い意識を向けるのは当然のことだと感じます。これからは、夫の分まで生きる、そして子どもたちの成長をそばで見届けたい

          シングルマザーの健康管理

          一周忌 〜ファミリーコンサートしたい〜

           しばらく遠ざかっていたサックス。 死別後2ヶ月が過ぎた頃、ふと「吹いてみようかな」と思い立ちました。特に理由があったわけではなく、ただ気晴らしに…という気分でした。駅前の練習場を1時間だけ借りて、何年かぶりに楽器を手にしました。    サックスを吹いていると、その瞬間は楽器の音に集中できて、他のことを考えずに済むのです。特に何も考えず、思いつくままに基礎練習をしたり、なんとなく浮かんだ曲を吹いたりしていました。久しぶりに吹くとやはり体が鈍っていて、すぐに息が切れてしまう

          一周忌 〜ファミリーコンサートしたい〜

          「縁」か「柵」か

           葬儀でお世話になったご住職とは、以前からの知り合いということもあり、葬儀後も何かと相談に乗っていただいています。子どもたちと一緒にお寺に足を運んで、静かな本堂で手を合わせると、心が少しずつ落ち着いていくのを感じます。  そんなある日、ご住職から「よかったら読んでみて」といくつかの冊子をいただきました。その中で気になったのが、「ご縁」について書かれたお話でした。    ご縁という言葉は、今までにも何度も耳にしてきました。「ご縁を大切に」とはよく言われますし、私自身もそうだな

          「縁」か「柵」か

          ワンオペ旅の中、思いがけない贅沢な時間

           前回の続き、初めての3人旅ブログシリーズ、ラストです。   次の日、子どもたちはホテル内の遊び場で思いっきり楽しみました。その中でも特に気に入ったのは、「アトリエ」という場所で体験した理科の実験です。 専門家のスタッフさんが子どもたちに風を使った実験を指導し、どうやったら物が飛ぶのか、長さや重さを変えてみたり、素材を工夫したりしながら、子どもたちは夢中で取り組んでいました。 この活動は子どもたちだけで行われ、保護者は別の場所で自由時間を過ごせる仕組みでした。  その間、

          ワンオペ旅の中、思いがけない贅沢な時間