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夫の声なのか!?

 夫を突然失い、心が折れそうな日々を過ごしていました。そんな中で、自分でも信じられない、不思議な出来事が起こることが度々あり、まるで夫が私を導いてくれているのかもしれないと感じることがあります。

 夫は生前、熱帯魚を大切に育てていましたが、正直に言うと、私は熱帯魚には全く興味がなく、彼がいなくなった今、どうやって世話をしていけばいいのか見当もつきませんでした。私自身の気持ちの余裕がない中で、子どもたちに任せるのもいろんな面で不安があり、熱帯魚たちをどうするか悩んでいました。

 夫の葬儀の翌日、インターホンが鳴り、出てみると子供たちがお世話になった保育園の理事長先生でした。先生は、「お母さん、しっかり食べてよ。」と差し入れを持ってきてくださり、その温かい心遣いに感謝の気持ちを伝えました。

 そして、ふと「保育園でお世話していただくのは可能かも?」というアイディアが頭に浮かび、自然と口から出たのは、「先生、これちょっと見てください。私、育てることできないんですけど、何とかなりませんでしょうか?」という言葉でした。先生は熱帯魚の水槽を見て、「あぁ、園で引き取りますよ。熱帯魚に詳しい保育士もいますし、園児たちもきっと喜びます、ぜひ。」と言ってくださいました。

 その後、男性保育士さんたちがすぐに来てくださり、熱帯魚を保育園に移してくれることになりました。熱帯魚が家を出る瞬間、玄関の明かりがチカチカと点滅しました。まるで夫が「オッケー、ありがとう。それでいいんだよ」と言ってくれているように感じました。

 これまでの私なら、保育園に相談するなんて思いもつかなかったでしょう。こんなふうに、ふとした瞬間にアイディアが降ってきたり、行動のきっかけが与えられる出来事が増えました。今では、これまでの私の価値観に、夫の価値観がプラスされたことで、ビジネスというあたらしい世界への一歩を踏み出す勇気が湧いてきたのかもしれないと思うようにもなりました。夫が私の背中をそっと押してくれているのだと感じながら、これからも新しい道を歩んでいこうと思っています。

 保育園は家から徒歩3分のところにあり、子どもたちと度々熱帯魚に会いに行っています。なんと先日、産卵し、命が繋がってよかった、と子どもたちと安心、感動しました。



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