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遺品整理 Part1 〜洋服の山〜

 死後1ヶ月ほど経った頃、「今日は部屋を片付けよう」と思い立ち、子どもたちと一緒に夫の服を整理することにしました。部屋はしばらくの間散らかっていたので、3人で一つひとつ丁寧に畳んで、クローゼットにしまっていきました。「これめっちゃパパの匂いがする!」「あ~、これよく着てたよね」「これ、ママがプレゼントしてん」と3人で話しながら整理を進めました。ふと思い立ち、Tシャツ、ズボン、セーター、スーツ、ネクタイの数など、全て数を数えてみることにしました。すると、なんと100着を超える服があったんです。

 「そういえば、彼はおしゃれが好きだったなぁ」と、ふと懐かしさが込み上げてきました。子どもが生まれてからは、忙しさのせいか、疲れのせいか、たくさんの服があるのに同じ数着を繰り返し着ていたな、と振り返ります。本当はもっとおしゃれを楽しみたかったんじゃないか、でも日々の生活の中で、その余裕がなかったのかもしれません。

 「生きるために働いているのであって働くために生きているわけじゃない。」そんな会話を、夫としたことを思い出します。夫は、自分の好きなことに時間を費やしていたのだろうか?私たちと過ごす時間は、夫にとって本当に幸せだったのかな?そんな思いが胸に巡りながらも、私たちは一枚一枚、丁寧に服を畳んでいきました。

 子どもたちが、「パパの匂いを逃がさないようにしよう!」と言いながら、服を大切にしまい、蓋をきちんと閉めてくれた時、なんだかホッとしました。夫の思い出が詰まった服たちを、これからも私たち3人で大事に守っていこうと思います。

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