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息子の自転車と喪失感

 息子が自転車に乗れるようになるまで、あと少しというところで、夫は旅立ってしまいました。あの時、夫が息子の後ろについて、「もうちょっとや!」と応援する中、息子が一生懸命練習していた姿が今でも鮮明に目に浮かびます。

 先日、久しぶりに練習すると、息子はすぐにコツを掴み、すぐに乗れるようになりました。とても上手に自転車を乗りこなしていて、その成長ぶりに驚きました。娘も「⚪︎⚪︎くんすごい!すぐに乗れるようになったやん!」と喜んでいて、3人で「かっこいいね!乗れるようになってすごい!」と称え合いながら、

 「パパ!見てるか~!!!見てるんやろ~!!!」と、3人で空を見上げました。

 我が子の成長を感じる、その幸せな時間の中に、夫がいないことがどうしても私の胸を締め付けます。

 これからも息子や娘が成長し、新しいことに挑戦したり、特別な瞬間を迎えるたびに、夫がその場にいない現実が辛く、悔しさが込み上げてくるんだろうな…と感じます。入学式や卒業式など、子どもたちの成長の節目節目に、夫がいたらどれだけ喜んでくれるだろうか、と思わずにはいられません。

 喪失感と共に生きていく、とはこういうことか、と実感します。

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