教員を辞める基準:夢の裏側 〜どのデメリットを引き受けるのか〜
夫を亡くしてから4ヶ月が経ち、ふと一人、呟きました。「あ、私っていわゆるシングルマザーなんや」。自分から選んだわけでもなく、何の準備もなくシングルマザーになった私は、その現実になんとなく気づいてましたが、冷静に認識するまでに時間がかかりました。
「さて、これからどう生きようかな?」
まず、ノートに、やりたいこと、やりたくないことを書き出しました。自分の命、あとどれくらいの時間が残されているかはわかりませんが、その時間をどう使うのか。
こどものためとか、夫がいないからとか、こうすべきだろうとか、全て無視して、ただ、
「自分がどう生きたいか」「残りの時間どう使ったら悔いないか、最高か」
それをまとめたら次の3つになりました
1. 自分の心身の健康を守ること
2. 子どもたちとの時間を大切に、自分も好きなことをする
3. 時間に縛られすぎず、誰かや何かの役に立つ仕事をすること
この3つを軸に、これからの時間を生きていこうと思ったんです。
次に考えたのは、どうやって働いていくか。
結論から言うと、直感で「起業してみたい」で、「起業」の道を選びました。
で、一応、、、、という感じで他の選択肢も考え出して次のような確認作業をしました。
まず、元の職場である学校に戻るという選択肢。
それは真っ先に却下しました。「3つの軸」の①②③全てに合いません。夫という最強のパートナーを失った今、育児と家事、そして学校の多忙な仕事を一人で全部こなすなんて、どう考えても無理、やりたくもないと思いました。
次に、企業に雇われて働くという選択肢。どういう雇用形態にしろ、自分の時間を提供して対価を得るのが基本スタイルだろう、決められた時間に縛られる、という点で、却下しました。また、企業で働く自分を想像したらワクワクしなかった、いや、想像できませんでした。「3つの軸」の②③に合いません。
そして、起業するという選択肢。起業ならばある程度自分のペースで働くことができるし、子どもたちとの時間も大切にできる。時間に縛られすぎず、誰かの役に立てる仕事ができるかもしれない。今のところ、「3つの軸」に一番フィットいていると感じました。そして何より一番ワクワクしました。明るい未来を想像できました。
無理をして心身をすり減らし、命を削ってまで働く必要はありません。私は夫と同じ道を辿りたくない。辿ってはいけない。それは夫が死をもって教えてくれたことです。
だから、自分の健康を守り、子どもたちとの時間を思う存分確保する、命の限り自分がやりたいこともやる、それを叶える働き方を選びました。
また、うちの子どもたちの1番の望みは、「ママが健康で長生きすること」です。それを叶えられそうな道を選んだ、というのも理由の一つです。
学校に戻る
企業で勤める
起業する
全てに、メリットとデメリットがあります。
メリットの比較で決めきれない場合、どのデメリットを引き受けられるか、で選ぶことにしています。
起業のデメリット。新しいことに挑戦するストレス。例えば、収入がゼロだったり、不安定かもしれないこと、仕事の全てが自分の責任になること、経理のような苦手な数字を扱う場面があること、ビジネスの知識を一から学ぶ必要があること、自分でタイムマネジメントをすること、など。
デメリットというと、ネガティブな単語に聞こえがちですが、「夢の裏側」ですね。
「起業」という夢の、一見キラキラした表側を叶えるために、その裏側にある面倒なこと、細かいこと、時間がかかること、を引き受けるかどうか。それを引き受けてでも叶えたいのか、自分に問う、感じです。
残りの人生、夢の裏側を受け入れて起業してみます。
夫の死後、子どもたちには、散々めちゃくちゃな姿を見せてきました。パパがいなくなってどん底の半狂乱になって泣き叫ぶ姿も、怒り狂う姿も、ただ何もせず死んだように生きる姿も見せました。ありのまま、感情に蓋をせず、我慢せず、見せてきました。子どもたちを不安にさせ、傷つけたこともあリます。
どん底にいたママが、時間をかけて這い上がっていく姿を、一番近くで見る子どもたちがどんなふうに感じるのかわかりませんが、選んだ道を進むのみです。
なんだかもうめちゃくちゃな時もあるし、凸凹やし、色々欠けてはいるけれど、私は生きるのをやめなかった、と未来の自分が胸を張って言う姿を信じます。
子どもたちに、
「ママ、学校やめようかな〜。どう思う?」と聞いたら、
「ママが辞めたいなら、辞めたらいいと思う。あ!じゃあ、youtuberになろ!手伝うよ!動画撮りたい!」と笑
とにかく、何をするにしてもしないにしても、自分にとって、子どもにとって一番大切なことは、
「私が心身ともに健康であること」。
これを忘れずに。