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大学院!?

前回の続きです。


 

 翌日、早速娘がその方と電話で話をしました。その第一声、



「どうやったら、パパみたいに大学院に行けるの?」



 びっくりしました。

 前日、「誰と電話してたの?」という娘の質問に、


「昔、パパと一緒に難しい研究をしてきた、お仕事でお世話になった方なんだよ。」と私が伝えていたからでしょうか。


 私はそっと見守るだけで、話の内容までは聞いていませんでしたが、電話をしている娘の様子がとても印象的でした。嬉しそうにうんうんと頷きながら、「うん、そうなんだ~」「わかった!」と返事をしている姿がなんとも微笑ましく、きっと楽しい会話をしているのだなと感じました。


 

「どうやったら、パパみたいに大学院に行けるの?」



 私は、この質問の答えを持っていません。


 娘の純粋な質問に対して、丁寧にそして優しく、また夫に代わって答えてくださっていたのだと思います。そんな素敵な方とのつながりができたことにあらためて心から感謝しました。


 きっと、娘は自分の知らない過去のパパ、緻密な研究に真剣に取り組むパパの姿を心に思い浮かべたのではないでしょうか。私も、そうです。器用で、緻密な計算が得意だったパパ、その方が話してくださった通り、「素晴らしい成果を、そして技術と数値を提供してくれた」のだろうと思い、誇らしく感じました。そして、「電話してよかった」「つながってよかった」と改めて思う瞬間でした。

 

 その夜、ベッドの中で思いました。私自身、夫みたいに緻密な研究はできなくても、誰かの役に立つ仕事をしたいな、誰かと関わりたいな、と。


 失意のどん底に、新しい光が差してきた感覚を感じました。


 その方と娘は、私に「もう一度立ちあがろう」と思えるきっかけを確実に与えてくれました。

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