【vol.8-3】パリ五輪決勝Tパブリックビューイング@blue-ing
2024年8月3日(土)夜、パリ五輪決勝トーナメント1回戦、なでしこジャパン対アメリカ戦のパブリックビューイングが、水道橋にある、「JFAサッカー文化創造拠点blue-ing」にて開催され、当選したので行ってきました。
当初50名定員だった枠が100人に拡大され、熱狂サポーターの集まりというよりは、落ち着いたお洒落なカフェのような雰囲気の中で開催されました。
20時過ぎ、まずは東京ドームシティ内にある、「台湾風中華居酒屋 青龍門」にて、大学時代のサッカー仲間エミリーと合流。試合前の乾杯。
エミリーとは、中村俊輔引退試合を一緒に観戦以来の再会で、お互いわりと忙しい身のわりには、歴史的なサッカーの試合の日には不思議と都合がついて一緒に観に行けるという不思議なご縁。
https://yokohamafc.com/farewell-nakamura/
お互いの近況の話などひとしきりしていたら、会話が盛り上がってしまい、21時開場なので、その時間に間に合うように、などと考えていたのに、時間オーバーして遅めに出発。21時半頃にはblue-ingに着いたでしょうか。隣にいらっしゃったお客さんが、店を出る去り際に、日本代表のタオルを見せながら、「頑張りましょう」みたいなことを言ってくださいました(後々、blue-ing勢だったことがわかりました)。
さて、いよいよblue-ingに向かいます。それっぽい広告壁が出現。
日本の心臓とも言うべき、ご存じ長谷川唯選手と長野風花選手の壁紙がドーン。クールな感じ。カッコいい。
それをパシャパシャ撮影する、オタク感あふれる耳すまw
(おそらく、リュックサックがその色彩を強めている)
お洒落なレンガ調の壁の前で、パリっぽいね、などとテキトーなことを言いつつ記念撮影。
いよいよ、いざ!!blue-ingへ!
中に入るとこのような雰囲気
いよいよ試合が始まります。
緊張の瞬間。
観ている方がこうなのだから、グランドに立つ選手たちはもっとでしょう。
しかし立ち上がりから、冷静沈着に、アメリカの猛攻に対応していくなでしこジャパン。
ボール保持率はアメリカが圧倒的に優勢だったものの、決定的なチャンスは意外と少なく、戦略的に、「ボールをあえて回させている」といった雰囲気。矢野喬子さんの解説を聴きながらの観戦でしたが、大観衆で声がかき消されてしまうような環境の中でも、しっかり選手間でお互いにアイコンタクトで繊細なコミュニケーションをはかりながら、アメリカに自由に攻撃させない緻密で手堅い守備ができていたようです。アメリカも、なんとか日本にスキが生まれないか、試行錯誤して攻め込もうとしますが、決定的なパスやドリブル、仕掛けができないまま45分が過ぎてしまいます。
手に汗握る緊張感で前半を終えました。特に守備面での集中力が素晴らしく、交代選手を投入するのが逆に難しいという展開。
まず後半頭から投入したのは浜野まいか選手。前半の数少ない攻撃のシーンで力強いドリブルで期待感を持たせた清家選手との交代。どちらも良い選手ではありましたが、個人的には、もう少し清家選手観たかったな、と思いましたが、この時は気持ちを切り替えていました。
後半25分、今度は好プレーを魅せていたFW田中美南選手を、植木理子選手にチェンジ。
後半35分、故障明けの藤野あおば選手をワールドカップ2023年大会得点王の宮澤ひなた選手にチェンジ。
途中から試合に入るというのは非常に難しいと思いますが、3選手とも必死にくらいつき、試合のクオリティを下げることなく、むしろボール保持率は上がるような状況で、多くの決定的チャンスを生み出し始めるようになりました。
後半の良い流れのタイミングでゴールを決め切りたかった展開でしたが、あと一歩届かず、スコアレスドロー、延長戦突入。
延長開始前の、スクリーンに映し出された長谷川唯選手の「やれる」「今、サッカー楽しい」という感じが伝わってくる、生き生きとした表情は今でもハッキリ覚えています。
延長戦開始。最終ラインの18歳、古賀塔子選手を、高橋はな選手に交代。古賀選手も試合を通じて、アメリカの決定的な場面に対しても体を張り守り切る場面がみられるなど、大きな貢献をしていました。天晴れでした。
そして延長前半ロスタイム、右サイドからロッドマン(バスケの有名選手の、あのロッドマンの娘、父同様存在感半端なかったです)のゴラッソなゴール。延長戦の疲れ切ってる時間にこのシュートが打てるってすごいね、と関心するより他ありませんでした。
あとは、前半はアメリカにボール支配率があったため、逆にカウンターを狙う、みたいな意思統一がしやすかったですが、後半以降はある程度ボール保持したり決定的なチャンスを生み出すシーンが増えてきた半面、奪われてから逆にカウンターを食らうという、前半になかった展開も生まれ始め、ゲームが動いた、という状況でもありました。
ピンチはチャンス、チャンスはピンチ。表裏一体です。
もうあとは攻めて追いつき追い越すことを目指していくしかなかった延長戦後半。頭から北川ひかる選手を千葉玲海菜選手、長谷川唯選手を林穂之香選手に交代させます。北川選手は故障明けであり、試合中にもダメージを食らう場面があったりしたので、交代は妥当だったと思いますが、長谷川唯選手は試合を通じて、長野風花選手とともに攻守に渡り心臓的な役割を果たしていた印象だったし、何より、延長が始まる前のワクワクした表情が脳裏にあったので、この交代は結構びっくりしました。林選手がどうということではなく、長谷川選手はこのチームの求心力になっていたように見えて失うことの大きさは計りきれないと感じたためです。
延長戦後半、交代選手は必死に試合に食らいつき、頑張ってゴールに向かっていっていましたが、それまでの連動性にほんの少しだけ綻びが見え始め、わずかなパスのズレ、ミスなどがちょっと目立つようになってきます。長谷川選手を下げてしまったことで、かえって、長谷川選手が、全体を引っ張り上げ、まとめあげるような求心性をもっていたことが浮き彫りになったように私には感じました。
そんな流れの中でゲームセット。好ゲームでしたが長谷川唯選手を最後まで観たかったな、とか、途中から谷川萌々子選手を観たかったな、とか個人的に悔しい感じは残りました。
試合をしっかり見通した私たちには、アメリカに延長戦0-1で敗戦したという以上に、出場した全ての選手が全力で勝ちに行ったことが伝わってきていますし、これからも女子サッカーを応援し続けたいなと心から思える試合だったということは間違いなく伝えておきたいです。
けれども、この試合を120分観たわけではなく、ハイライトで観たとか、結果スコアだけを観た、という人からしたら、「ああ、また惜しくも負けたのね」みたいな印象で終わってしまうのかもしれません。
私自身も、このパブリックビューイング観戦が決まり、慌てて、起死回生で大逆転したブラジル戦をアーカイブ視聴した身なので、偉そうなことは言えないのですが、やっぱり、「タイパ」といった言葉が流行る時代にあっても、試合をしっかり全部観て、細部をちゃんと観なければ分からない、伝わらない、そういうことがめちゃくちゃあるなと、当たり前のことなんですけど、思いました。
SNSでもちょいちょい発信しながらの観戦でしたが、昔と比べて女性解説者の質が上がったよねーなどといったコメントもありました(昔は解説者であってもほぼ解説せずワ―キャー応援するスタイルが女子サッカーの恒例の風景でした)。選手の技術レベルや連動性だって、決して世界一になった時と比べて落ちているわけじゃなく、むしろ上がっているところもあるんじゃないかと思います。世界の女子サッカーのレベルが上がってきているという現状だってあると思います。
順位やスコアといった数値的なところだけで観れば、前に進んでいないように見えても、確実に上がってきている部分はあるのは間違いないと思いますし、その部分をしっかり見届けた私たちは、ちゃんと伝えていかないといけないなと思います。
オリンピック直前の2024年7月20日に放送された、NHKの新プロジェクトXの女子サッカー特集。
女子サッカーといえば、一般的には2011年の世界一になったワールドカップが頭に浮かぶ人が多いと思いますが、それが実現したのは不屈のバトンリレーがあった、という内容でした。
昔と比べれば恵まれている部分も沢山あると思いますし、昔よりは注目が集まっていたり、歴史的な蓄積を背負っているからこそのプレッシャーなど、大変になってきている部分もあると思います。また、昔から変わっていない「12歳の壁」問題など、女子サッカー特有の課題がずっと残り続けているという環境面の継続的な課題も残されています。
良い面も悪い面もある。それをちゃんと豊かに語り継ぎ、次の世代につなげる。そういう意志をもった人が増え、関係性が沢山生まれ、そのことが環境改善につながってくれば、必ず女子サッカーの新しい展開が生まれてくるはずです。
課題もしっかりとらえつつ、良い部分は良いとしっかり認めて、ポジティブに前に進んでいきたいですね。そんなことを改めて思ったパブリックビューイングの機会となりました!関係者の皆さん、お疲れさまでした。有難うございました!
「女子サッカー」は、「なでしこジャパン」だけではありません!
女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」や「なでしこリーグ」等など、様々なカテゴリで日々、試合が展開されています。ぜひ、ご近所でも、旅がてらでも女子サッカーを観る機会をつくって、もっともっと、女子サッカーを身近な存在にしていってみませんか?
地元を応援するのも楽しいし、旅に女子サッカー観戦を組み込む、女子サッカー旅も面白いです。
代表戦だけ試合を観るより、日常的に色々な女子サッカーの試合を観ておくと、ワールドカップやオリンピックなどを観るとき、面白さが倍増するのは間違いないです。
⚽WEリーグカップは、2024年8月31日から始まり、
⚽WEリーグは、9月15日から始まります。
⚽なでしこリーグは、今中断期間で、8月31日から再開です。
女子サッカーは、まだまだこれから!!
多様な入口から楽しめる環境設定、
継続している課題の克服、
もっともっと、これから豊かになっていけるポテンシャルがあると思います。結果よりも、そのポテンシャルを育てることに注力を注いでいきましょう!!
皆様、これからもよろしくお願いいたします♪