8月8日とポメラニアン
今日8月8日は、366存在する全ての日付の中でも僕にとって思い入れの深い日にちだ。
子供の頃、僕はポメラニアンを飼っていた。名前はアブちゃん。目は見えず結構な年齢で片足も引きずっていたが、人懐っこく可愛いわんちゃんだった。僕は犬も猫も好きだし、おおよそペットとして飼われるような動物の大半には愛情を感じる人間だ。そんな僕は当然アブちゃんのことが大好きだった。
僕が小学生の頃、そんなアブちゃんが亡くなってしまった。突然のことではあったが、年齢を考えるとなんら不思議はない老衰だった。それが8月8日。実は8月8日という日付は、実はアブちゃんの誕生日でもあった。運命は残酷だ。誕生日が命日になるなんて。
何故かわからないが当時の僕は親の前で泣くのが恥ずかしく、影に隠れてひっそりと号泣したのよく覚えている。僕は亡くなってしまったアブちゃんに触ることができなかった。その体から体温が消えているのを感じ、死を再認識するのが怖かった。
大抵のペットは人間より寿命が短いことが多いと思う。かなりの確実で愛する動物の死に際を目の当たりにしてしまうことに抵抗があり、それ以来僕はペットを飼ったことはない。僕の心は10数年前に囚われたままらしい。
『ONE PIECE』のドクター・ヒルルクによると、人が死ぬのは「人に忘れられた時」らしい。同様に数年前に流行った映画『リメンバー・ミー』でも、「人が本当に死ぬのは忘れ去られた時」という同じような死生観の表現があった。忘れられた時に”死者の国”からも魂が消失してしまうらしい。
僕が今更アブちゃんにしてやれることはないが、"本当の死"に至らせないためにも、僕が生きている間は毎年アブちゃんのことを思い出して祈ってあげたいなと思う。
オチがあるわけではないのだが、どうしても今日という日にアブちゃんに捧げるnoteを書きたいなと思ったのでパソコンに向かった。ここまで読んでくれる人がいたら、心から感謝する。