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「午後の紅茶」を#ブランディングトレースしてみた


皆さまこんにちは。みさわと申します。初投稿なので簡単に自己紹介させて頂きます。
仕事はメーカーの企画職(残り数日)。興味が強いのはマーケティング、データサイエンス、スポーツといった領域で、今後これらに関する投稿をしていきたいと思っております。

さて、初投稿の今回はキリン「午後の紅茶」のブランディングトレースをしてみます。「午後の紅茶」を選んだ理由は、最近ブランド好意度がアップしているという記事を見つけたためです。(日経クロストレンド有料会員ではないので全文は読めていません)

「午後の紅茶」がブランド好意度を高めた要因を、ブランディングトレースを使って構造的に把握してみたいと思います。

「午後の紅茶」ブランディングトレースの前に押さえておくべきこと

ブランディングトレースに入る前に、「午後の紅茶」ブランディング戦略を読み解くうえでポイントになるであろう
・キリンビバレッジにおける「午後の紅茶」の位置づけ
・キリンビバレッジの事業方針
を押さえておきたいと思います。

まずキリンビバレッジにおける「午後の紅茶」の位置づけです。
直近の決算説明資料によると、キリンビバレッジの販売数量をカテゴリー別にみると「午後の紅茶」が属する紅茶が最大カテゴリーとなっております。

市場規模はミネラルウォーター/コーヒー飲料/緑茶飲料のほうが大きいと考えられますので、紅茶が最大販売カテゴリーというのはキリンビバレッジの特徴と言えます。

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(引用:キリングループ 2020年12月期 第3四半期決算説明資料より)

続きまして、ブランディングに関わるキリンビバレッジの事業方針です。
キーワードは以下の2つです。

・パーパス・ブランディング
ブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)に基づく一貫したマーケティングの実行により、社会とお客様から「共感」を獲得し、ビジネスを成長させるマーケティング手法
・CSV(Creating Shared Value)
お客様や社会と共有できる価値の創造

引用:2021年 キリンビバレッジ事業方針より

「午後の紅茶」においてブランド・パーパスを何と定義したのか、CSV軸ではどんな展開を行ったのか、ブランディングトレースしながら理解していきたいと思います。

ブランドの世界観を理解する

ここからいよいよブランディングトレースシートを使っていきます。
まずはブランドの歴史やビジョンから世界観を理解していきます。

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1.ブランドの歴史/特徴
・「午後の紅茶」は1986年に日本初のペットボトル入り紅茶飲料として発売され、以降、紅茶飲料でトップシェアを継続してきました。
・直近では2018年にパッケージを大人向けに一新しています。それまでは高校生年代もターゲットとして意識していたと思います。(上白石 萌歌さんが出演していたCMが記憶に残っています)

2.ブランドビジョン/哲学
「日本にも紅茶の本場イギリスの習慣を根付かせたい」という想いが発売当初から込められていました。
・そこから最近では「ひとつ上の休息を。」というのがメッセージになっています。

3.ブランド提供価値
・提供価値はブランドビジョンそのままに、本格的な紅茶本来のおいしさと、紅茶を楽しみながらの心安らぐ休息の時間かと思います。

以上をまとめると、「午後の紅茶」は「本格的なおいしい紅茶と、幸せな休息の時間を届けたい」という想いが連綿と受け継がれてきたブランドであると思います。

ブランドの戦略を理解する

続いて「午後の紅茶」がブランドとしてどんな商品や構造を持ち、何をエビデンスとして、どういった想起を得ようとしているのか、その戦略をみていきます。

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4.ブランドラインナップ/構造
「午後の紅茶は」主に以下の商品ラインナップを持っています
・レギュラー商品(ストレートティー/ミルクティー/レモンティー)
・おいしい無糖シリーズ(ストレートティー/レモンティー)
・ザ・マイスターズシリーズ(ミルクティー/オレンジティー)※微糖
商品ラインナップにおいては、冒頭のCSV戦略に沿って「摂りすぎない健康」を軸として無糖/微糖商品の強化を図っているようです。

5.ブランドシンボル/想起キーワード
・ブランドシンボルはおなじみのロゴマーク。イラストの女性はアフタヌーンティーンの習慣を始めたとされるベッドフォード公爵夫人です。
・「午後の紅茶」とこのロゴから想起されるキーワードとしては「幸せ」「優雅」「リラックス」「休息」といったところでしょうか。

6.ブランドイメージを支えるエビデンス
・発売当初はクリアアイスティー製法
冷やすと濁るという紅茶の特性を克服した製法。この製法により日本初のペットボトル入り紅茶飲料が誕生しました。
・現在は商品に合わせておいしさを引き出す製法を展開
  - マイクロ・ブリュー製法(レギュラー商品)
  細かく粉砕した茶葉と通常サイズの茶葉を合わせて同時抽出
  - ツイン・ブリュー製法(おいしい無糖)
  異なる2つの温度で抽出した紅茶をブレンド 
  - リーフリッチブリュー製法(ザ・マイスターズ)
  通常よりも多めの茶葉で抽出

いつの時代も紅茶本来のおいしさを追い求めて製法にこだわっていることが分かります。


ブランドの戦術を理解する

ブランディングトレース最後は、誰に、どうやってブランドメッセージを伝えようとしているか、戦術をみていきます。

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7.ターゲット
・メインターゲットは20代~40代女性であると考えます。2018年にパッケージを一新した際から、ターゲットは大人を明確に意識していると思います。

8.タグライン
・現在のタグラインは「幸せの紅茶、午後の紅茶。」です。CMで耳にしたことがある人も多いかと思います。ブランドの世界観を見事に表現したタグラインですね。

9.タッチポイント
・20年3月から放送されているCMは深田恭子さんがメインキャストです。このCMからタグラインを前述のものに変更しており、ブランド・パーパスとターゲットを見直していると思われます。
・また「午後の紅茶」としての公式SNSはFacebookのみです。このあたりからもターゲットとして大人を意識していることが感じられます。

https://www.youtube.com/watch?v=fpGO8Yg3yHg&list=PLA61bUUkTUtc8I5Gpz8AVOqzODluziuof&index=11

「午後の紅茶」ブランディングトレースのまとめ

まとめです。
・「午後の紅茶」は「本格的なおいしい紅茶と、幸せな休息の時間を届けたい」という想いが受け継がれた歴史あるブランドである。
・2018年以降に提供価値(≒ブランド・パーパス)とターゲットを見つめ直し、それに沿ったタグラインや広告を展開したことでブランド好意度の向上に繋がっていると考えられる。
(まとめ雑。。。)

リブランディングするとしたら

最後に自分がリブランディングするとしたら、を考えてみました。

最近はコロナで在宅勤務が拡大したことで手淹れ式の飲料の需要が増え、RTDの売上が減っています。この状況に対してキリンは「#カレーに紅茶」をキーワードとして、食事の際に飲む物としてのポジションを取りにいっているように思います。
その状況は認識しつつ、自身の購買行動を踏まえて、ここではあえて作業の合間に飲む物としての需要を再度掘り起こす方向性で検討してみました。

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自身の購買行動の振り返り
私は「午後の紅茶」を2~3回/年購入するライトユーザーです。
どんな時に購入しているか思い返してみると以下のようになります。
<状況>
割と忙しい時期で、その日1日の仕事が全部は終わってないけど、重めな業務がひと段落ついたとき(だいたい16時くらい)。
<心理>
ホッと一息、休憩をとりたい。休憩のあとは残りの仕事をサッと片付けるためにもう一度集中したい。

こんな状況/心理になる方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

リブランディングの方向性
自身の購買行動振り返りと、これまで「午後の紅茶」がつくりあげてきた「幸せの紅茶」のイメージを活用することを念頭に、「幸せな休息から、再び集中状態に切り替えられる飲み物」としてイメージ形成を狙います。

<ターゲット>
・これまでのターゲットに加えて、男性(特に20代~30代)をターゲットとします。

<ベネフィット>
・紅茶の味、香りによるリラックス + カフェインでスッキリ。

<エビデンス>
・コーヒー飲料とのカフェイン含有量比較を表示する。一般的に紅茶のほうがカフェイン含有量が少ないので、夕方以降の休憩に適したイメージを形成しやすそう。(ただし、これまでコーヒーの代わりに飲んでいたお客様には逆効果となる懸念あり)
・フレーバーにこだわり、スッキリするフレーバーを採用する。相性の良いフレーバーが多数あるというのがコーヒーに対する強みになる。(時間が経つと香りが変わる、みたいなことができると尚良いけど実現難しそう)

<タッチポイント>
・男性を意識したCMを制作する。(個人的には「TIFFANY BLUE」の仲野太賀さんがイメージにハマります。)
・音声広告を配信する。家での仕事、家事、育児の際に音声コンテンツを流している人は多いと思うので、作業の最中での想起を促す。

<想起イメージ>
・コーヒーやこれまでの紅茶と比較して下図のイメージです。

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全体の方向として、今のコーヒー飲料のポジションの一部を獲りにいく案となっています。
一応、この方向性はキリンが一番とりやすいだろうという想定もあって考えました。冒頭の事業の位置づけで分かるようにキリンは紅茶飲料の売上比率が高い会社です。競合他社は恐らくコーヒー飲料の売上比率が高いでしょうから、コーヒー飲料から紅茶飲料に顧客を誘導したくはないはずです。(紅茶飲料は「午後の紅茶」が第一想起をとっていると考えられるため、コーヒー飲料から紅茶飲料に顧客が移ると「午後の紅茶」に流れやすい。)

リブランディングするとしたら、以上になります。(終盤雑になったこと、ここまで読んで頂いた方にお詫び申し上げます。)

最後に

今回はキリン「午後の紅茶」のブランディングトレースをお送り致しました。キリンのパーパス・ブランディングからは学ぶことが多いので、今後、ほかの商品もトレースしていければと思います。

「午後の紅茶」は今年35周年で様々な施策を展開予定とのことですので、そちらも楽しみにしたいと思います。

最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。

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