『VISITORS』の衝撃③
『VISITORS』B面の2曲目は『SHAME』という曲だ。この曲のメロディーも『SUNDAY MORNING BLUE』のように美しい曲だが、歌詞はメッセージ性が強い曲になっている。
のちに高校の頃の英語の先生が、授業のはじめの単語のテストに落ちた生徒が追試でまた落ちた時に、「Shame On Youやね」と言っていたのを思い出す。「SHAME」とは「恥」という意味だ。
「それはまちがい それともまちがいじゃない」の部分は、佐野さんは「まちがえ」と歌っているとずっと思っていたが、今、歌詞カードを確認したら、ちゃんと「まちがい」となっていた。国語的にも「まちがい」が正しい。
そして、歌詞カードといったが、実はこのアルバムを開くとジャケットの内側の部分が歌詞カードになっていて、日本語の歌詞の横に英語で歌詞が書いてある。
この曲については、今となってはいろいろと感じることはあるが、どちらかと言えば、メロディーの美しさを感じてほしい曲だという気がしている。
次の曲。『COME SHINING』。この曲は『SHAME』の少し重い歌詞とは異なり、日常に根差した歌詞である。ラップの歌詞もわりと自然に入ってくる。この曲順の妙を感じる。
「休みがとれるほどおだやかな世界じゃない」って歌詞は、子どもだった自分には大人って大変だなって感じたけど、いざ大人になってみると、確かにそうだなって気もする。
僕は比較的いろいろなことをすり抜けてきているわりには、好きなことをさせていただいていると思うが、今後それが続くのかなとは思う。自分の日常に照らし合わせていろいろと思いを巡らせる。
『COME SHINING』はループが気持ちのよい曲。次の曲『NEW AGE』とのつながりも絶妙で、この曲もなくてはならない曲だという気がする。
そうしたアルバムトータルで考えても、『VISITORS』はよく出来たアルバムだと思う。
そして、最後の曲。『NEW AGE』。この曲はポップソングとしても、相当すぐれた曲だと思う。とにかく歌詞がキャッチーで素晴らしい。
「数えきれないイタミのキス 星くずみたいに降ってくる」って歌詞。そんな歌詞を書く人は誰もいなかった。
「冬のボードウォークにすわって すべての終りを待ちながら ブルーな恋に落ちてゆく」なんて、一体他に誰が歌っているだろうか?
その後、20年以上経過して、DJをするようになった僕は、DJの師匠から、佐野元春は洋楽のパクりが多いという話を聞いて、洋楽もたくさん知るようになると、確かにそういう面もあるなっていう気もしている。でもそれは佐野さんの曲に限ったことではなく、多くの日本のアーティストは、多かれ少なかれ、洋楽に何かしらの影響を受けて、それを曲に表現してきたことがわかるから、単純に「パクり」だとも言えないと思う。
やはり、歌詞の面でも、メロディーメーカーとしても、佐野さんは日本人の中では卓越していたから、今なお現役のアーティストとしてサーヴァイブしているのではないだろうか。
そういう意味でも、僕は佐野さんのこの『VISITORS』というアルバムは、邦楽の歴史の中でも最高峰に位置すると思うのだが、最近ではそういう見方はかなり減ってしまったような気がする。
したがって、リアルタイムでそれを体験してきた僕が、このアルバムを聴いて受けた衝撃を書き残すことにはきっと意味があると思い、前々から書こうと思っていたのだが、それがやっと形になったというわけだ。
したがって、このテーマは僕の「note」の初投稿の記事としてふさわしいと思った。
この記事をきっかけに『VISITORS』が再評価されればいいなと思う。
読んでいただきまして、心から感謝いたします。次号でお会いしましょう。ではまた。
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