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尾崎豊と僕③

1985年に発売された3枚目のアルバムは、『壊れた扉から』というアルバムで、僕はこのアルバムが一番好きだったし、今でもそうだ。

なぜかと言うと、トータルで一番自然に聴ける曲が多いからだ。

おそらく尾崎のアルバムはファーストアルバムの『十七歳の地図』が一番人気があると思うし、評価も高いかもしれない。

僕もそれには全く異論はない。

けれども『壊れた扉から』には、尾崎の優しい面が出ている感じがして、曲の完成度とかそういったものをすべて抜きにして、自然に気負わず、身構えずに聴ける気がする。

勿論、客観的に言えば『十七歳の地図』はスゴイとしか言いようのないアルバムだ。

「I LOVE YOU」、「僕が僕であるために」、「OH MY LITTLE GIRL」、「十七歳の地図」、「傷つけた人々へ」など、今で言うところの神曲ばかりである。

それに比べれば、アルバム『壊れた扉から』のインパクトはやはり、それを超えるものではない。けれども、前にも述べたが、「forget me not」は僕の中で特別すぎる曲で、この1曲だけでも僕の中では、アルバム『回帰線』を上回ってしまう。

これはあくまでも個人的な好みの話なので、『回帰線』が大好きな人には許していただきたい。

僕は音楽の批評をするつもりはなくて、個人的な尾崎体験を書いているに過ぎない。

アルバム『壊れた扉から』の中では、「forget me not」は別格として、「失くした1/2」と「ドーナツショップ」も大好きな曲だ。

自分がカバーするとしても『壊れた扉から』の中ではこの3曲になる。

「失くした1/2」は僕にとってはファーストアルバムで例えるなら、「傷つけた人々へ」に匹敵する歌だ。

自分が弾き語りでカバーするのに、3曲だけ選べと言われたら、1曲目「失くした1/2」、2曲目「forget me not」、3曲目「僕が僕であるために」とするかもしれない。

とすれば、やはり『壊れた扉から』の価値は僕の中ではとても大きなものになる。

ここまでが『壊れた扉から』についての話だ。

そして、確か1987年、僕は尾崎の岐阜市民会館でのライブのチケットを取ろうとプレイガイドに電話をかけた。

しかし、何度電話してもずっと話し中だった。

ここで僕が尾崎のライブに行くチャンスはなくなった。

後にも先にも僕が尾崎のライブに行こうとしたのはこの時1度だけだった。

その後、尾崎は「核」というとても長いシングル曲を出す。これは尾崎が新しいステージに上りそうなことを予見させるような激しい歌だと思った。

僕は、そして尾崎のファンはおそらく次の尾崎を期待していたと思う。

その後、すぐに初めてのライブアルバム、『LAST TEENAGE APPEARANCE』が出て、僕はますます尾崎のライブに行きたいという気持ちが強くなった。

しかし、その裏で、尾崎が苦悩を抱えていたことは全く知らなかった。

同じ年の12月も暮れの頃、尾崎が覚醒剤取締法違反で逮捕されたとのニュースが日本中を駆け巡った。

予想できないことではなかった。しかし、現実として目にすると、やはり、かなり残念だという気がしてならなかった。

そして、翌年、尾崎は執行猶予となり、釈放された。

同じ年の5月、尾崎が一般女性と入籍したとの報道が流れた。

そして、6月、尾崎が初めてテレビに出演した。

その番組は「夜のヒットスタジオ」。「太陽の破片」という新曲を歌う尾崎をテレビで観て、何とか立ち直ってほしいと思った。

そして、9月、尾崎の4枚目のアルバム、『街路樹』が発売され、僕は尾崎の生前にはこのアルバムまでは購入した。

『街路樹』もいい曲がいくつかあった。けれども、「forget me not」や「僕が僕であるために」に匹敵するような曲はなかった。

また、前後するが、尾崎が同い年の岡村靖幸と、1987年8月6日の広島平和コンサート「ALIVE HIROSHIMA '87」で共演した様子もテレビで放送されたので、僕はそこで楽しそうに岡村靖幸の「Young Oh! Oh!」を歌う尾崎を観てすごく楽しい気持ちになった。当時は岡村靖幸と言えば、僕にとっては「だいすき」で、この曲は自分もよく歌っていた。

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その後、何年も経ってから、僕は岡村ちゃんが「だいすき」になり、ライブに行くことになるとは思わなかった。

そして、『街路樹』を境に、僕は少しずつ尾崎から離れていくことになった。

つづく


読んでいただきましてありがとうございました。また、次回お会いできたらうれしいです。

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