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『VISITORS』の衝撃②

3曲目。WILD ON THE STREET。この曲も最初から何を言っているのかわかる部分とわからない部分があった。また、そのジャンルレスな音楽スタイルにぶっ飛んだ感じがした、って書くと後づけになるが、とにかくそれまでに聴いたことのないスタイルの曲だと思った。

「オレを壊してほしい バラバラになるまで オレを壊してほしい めちゃくちゃになるまで」というサビの部分は何とか聴きとれたので、他の部分は適当に似たようなコトバで歌って、わかる部分だけ佐野さんに合わせて歌っていた。

のちに何かのインタビューで、佐野さんはニューヨークでこの曲を録音した時のエピソードとして、合間に入る「ジャングル・ピープル」っていうコーラスを現地の黒人の女性コーラスの方々に説明するのに、これは「都会のコンクリートジャングルの中で毎日働いて戦っている人々のことで、決して黒人を差別するようなことではないんだ」という説明をして、納得してもらうのに苦労をされたという話を読んだ。この曲をトータルで考えれば、ブラックミュージックに対する深いリスペクトがあるし、そうでなければ、こういうサウンドにはならないと思う。

しかし、そういったことが実感としてわかるようになったのは、DJとしてブラックミュージックをかけるようになったここ数年のことかもしれない。

とにかくこの頃は、今みたいに手軽に音楽が手に入る時代ではなかったので、手元に何とか手に入れた曲をカセットテープで何度も擦り切れるほどループして聴くしかなかった。

CDが出来たのは、佐野さんのアルバムで言えば、次の『Cafe Bohemia』からだったと記憶している。

次の曲。『SUNDAY MORNING BLUE』も同じように何を言っているかわからない部分もあったが、『WILD ON THE STREET』よりはわかる部分が多かったし、この曲がとても美しい曲だということは、子どもだった自分でもわかった。

ちなみに2021年の現時点では、アルバム『VISITORS』の中で一番好きな曲はこの曲である。時間があれば、ギターの弾き語りでコピーしたいと思うけど、出来るかな? コードがわかるかな?

レコードで言えば、ここまでがA面になる。カセットテープもそれに合わせて、A面に録音し、残りの部分は空白にする。したがって、その後は早送りをして、B面にひっくり返して録音する。

次の曲。B面の1曲目。『VISITOS』。アルバムのタイトルにもなっているこの曲は、当時ニューヨークに1年間住んでいた佐野さん自身のことでもあるような気がしたのは、その後何年か経ってからのことだ。

この曲の歌いかたもやはりラップに近いが、他の曲よりはわりと一言ひとことはっきり発音している気がして、比較的歌詞が聴きとれた。

また、この曲も感情移入がしやすい曲だと思った。『夜が終わるまで誰かを抱きしめていたい』、『夜が終わるまで誰かに抱きしめられたい』というような歌詞は、子どもの頃、病弱で病院の天井を眺めながら一人ぼっちを感じた自分に重ね合わせ、とても自分の心を鷲づかみにしたし、今だにその気持ちはそのままだ。

僕は一人ぼっちだけど、ずっと自分の親や妹、妹の息子、友人、今まで出会ってきた人々のことを大切に思っているし、元気でいてほしいし、幸せになってほしいと思っているよ、って歌詞にはそんなふうには書いてないけど、そう感じとれる歌。

大学生の頃、小松くんという友達はこの曲が一番好きだと言っていた。僕も大好きな曲。

次にB面の2曲目。『SHAMEー君を汚したのは誰』。この曲以降の曲については③に。

読んでいただきまして、心から感謝いたします。次号でお会いしましょう。ではまた。

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