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明日から花屋で働かせてもらう Day.0

なんのために生きているかわからないと思った。
社会人になるために、働き始めた会社では3年目になっていた。人にはとてつもなく恵まれたけど、仕事には情熱を注ぎきれなかった。配属先の関西は自由な空気が好きだけど、家族や友達と会えない寂しさが募った。そんな時、好きだった恋人にも振られた。

ふと、単純に、なんのために生きているかわからないと感じた。
死にたい、ではなく、なんで生きているんだろうと、心から疑問に思ってしまった。あとで調べたところ、心が疲れている時、充足感を得られず達成感も感じられない日々が続いていると、こう考えてしまうことが多いらしい。

とにかく、その時の私は、これはやばい!!とたくさんノートに想いを書き出して、日記を読み返し、、これでもかというくらい自分の想いと向き合った。そして、もう、恋に頼らず、日常に流されず、趣味に満足せず、自分の情熱を注げることを仕事にする、と決めた。

昔から、好きなことを仕事にしてみたかった。でもずっと、「そっち側」へ行く覚悟を持てなかった。高校1年、美大のオープンキャンパスや美大予備校の体験にも行ったが、本当に美大に行きたいのか分からなくて、文学部に進学したとき。就活でフリーターでもいいから好きなことを仕事にしようとしたが、結局安定した会社に勤めたとき。タイミングはあったけど、踏み出すことができなかった。でも、生きている意味がわからなくなって初めて、コップの水が溢れるように、自然と思い切れることができた。

仕事=生きがいとすると決断した後は早かった。
会社は来年の3月まで勤めて辞める。そのあと、花を学ぶために海外に行く。それまでは、会社が休みの土日祝日を使ってなんとかお花屋さんで経験を積ませてもらう。

実は、働かせてもらうなら、絶対ここ!と決めているお花屋さんがあった。そのお花屋さんは、店の中のお花がイキイキと輝いていて、珍しいお花もあって、何より、たまに1、2輪だけ買いに来るような極細客の私にも、お花の産地や管理方法を説明し丁寧に包んでくれた。お花一輪一輪を大切にしているお店だった。

しかし、お花屋さんでの経験はゼロ、さらに長期間働けない自分を雇ってもらうことは難しい(不可に近い)に決まっている。。それに、少し前に求人募集の貼り紙がされていたので、興味本位で「土日だけだと厳しいですよね?」と聞いたときに一度断られていた。でも、働くならなんとしてもここが良い!!

私は、最後の手、「無給で構わないので」を使うことにした。
A4一枚に志望理由を書き、(最後にはきっちりと「無給で構わないので」手伝わせていただきたいと書いて)直接お店に持ち込んだ。

きっちりめの服を着て、緊張しながらお店に入る。私は常連なので「お!こんにちわ!」と笑顔のオーナー。そこで、緊張MAXで、「すみません、無給で構わないので、働きたくて、志望理由書を書いてきたので、お時間ある時に話だけでも聞いてもらえませんか!」
気分は千と千尋の神隠し。オーナーも改まった顔で、「わかりました、志望理由書は預からせてもらいます。また後ほどご連絡しますね」と言ってくれた。

ドキドキしていたらすぐに電話があり、翌日に話を聞いてもらえることになった。そこから面接でも、いろいろ、どんでん返しもあったりしたが、とにかく、無給でという条件付きにはなってしまうが(お店にも事情があり、一度はまた断られかけた・・)なんとか、お手伝いさせてもらうことになった。

こんなことできるのは、本業でお金をいただけているからということには感謝を忘れてはいけないけれど、お金を払ってでもしたい経験をさせてもらえることになった!!
今はとにかくそれが嬉しい!!!

そんなお店でのお手伝いが始まる。
必死の想いで手に入れた機会。なんとしても活かさないといけない。
でも、とにかく今夜は、ワクワクした気持ちを胸に、明日起きるのが楽しみな気持ちで、眠りにつくことにする。

あ、なぜお花なのかは、また、いつか、どこかで。。。


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