いつか誰しもに来る、”別れ”
誰かと誰かが出会うとき、その時すでにもう、一つだけ絶対決まっていることがある。
それは、”いつか別れる”ということ。
親子であれ、友達であれ、パートナーであれ、家族であれ、兄弟であれ、人格同士であれ、
いつか絶対に、別れがやってくる。
離別であれ、死別であれ、円満な形であれ、悲惨な形であれ、
”別れる”ことは絶対のものだ。
お互いが生き物である以上、永遠はない。
だから、人と人は別れるのを惜しむ。
だから愛する。
だから優しくする。
だから共感して、涙を流す。
今、誰かと一緒にいられるのは実はとても奇跡的であるからだ。
人間には正常性バイアスの効果で、「そう簡単には死なない」「そう簡単に離れない」と思ってしまう習性がある。
だが、いつかは死ぬ。
いつかは別れる。
その事が悲しいから、見ないようにしているだけで、来ないものだと思っているだけで、いつかその事は訪れる。
俺は死ぬ前に、大切な人たちに対して、何ができるかな。
「来世は全員別々の人生を、それぞれの形で謳歌しよう。だから生まれ変わる時まで、今は共存しよう」と誓い合った人格たちにも、何がしてやれるのかな。
生まれ変わって俺が一人につき一つの肉体を手に入れたとするならば、それは共存する16人の仲間たちとの別れを経たことも同時に意味する。
支え合うこの仲間たちとも、共存する時間はこの今の人生かぎりだ。それ以降のことは、想像の世界でしかない。
大切な人たちには、常日頃からの感謝を。
一度でも出会ってくれた人たちにも、出会ってくれただけでありがとうを言いたい。
どんなことがあった間柄だって、出会えたことがもう奇跡なのだから。それを忘れてはいけない。
でも、別れが悲しいばかりの人生ではない。
出会いが喜ばしいから、別れが悲しいのである。
俺はこの先きっと、まだ知らない出会いと、沢山の喜びを得る。
いつか来る別れもつきものだけど、別れが必然的であったとて、出会いがいつもたいへん喜ばしいことに変わりはない。
別れが悲しいから、だからよりいっそう、出会いの喜びが果てしなく感じられるんだ。
この先で会う人たちへ。
いつか会いに行くから、もう少しだけ待ってて。
この先で、一度は別れたのに何度でも再会する運命にある人たちへ。
それぞれ、別れていた時間で得たものを持ちあって、また喜びを語り合おうよ。
俺はその時を待ってる。
読んでくれてありがとう。
あなたに絶対いいことが起こる魔法をかけたよ!
また読んでね。
千川 悠里(10)