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いつかみんなでごはんを

やっと、やっと、この手であなたのことばにふれることができました。

はるさん、おめでとう。

ずっと、ずっと、考えてきました。
わたしにできること、しないほうがよいこと、それでもなにか、まだわたしがしたいこと。

こたえは出ないまんま、ずるずると自分のおかれた場所で、自分の日々を暮らすことに精一杯で。

とっくに出ていた著書を。
いろいろあって、手に入れそびれてしまって。

目についたらとにかく本屋さんに入って。
ここにもない。あそこにもない。
何軒も何軒もそんなことを繰り返して。

いやいや、いまどきネットで注文すれば、すぐに届くのだけれど。

わかっていてもあえてそうしなかったのは、わたしの暮らすまちで、わたしの足で歩いて、わたしの目で見つけて、そうして出逢いたかったから。

ありがとう。
ようやく見つけたのは、ここらへんではかなり大きめの本屋さんで、3冊棚に並べてくれていました。

嬉しくて、嬉しくて、思わず全部手に取って持って行こうとしたのですが、この本に出逢うべくして出逢うのかもしれない見知らぬ誰かのために、1冊だけそっと棚に戻してきました。

本屋さんに併設されたカフェに入って、あなたの好きな珈琲とともに写真を撮って。
ほんの数ページだけぱらっと開いてみて、心がぎゅっとなってすぐに閉じました。

なんだかもったいなくて。
読みすすめるのがこわくて。

矛盾する心に折り合いをつけることができず、そっと鞄にしまったままどこへ行くにも持ち歩いて数日が経ちました。

いろんなことが想定外で、急にぽっかりとあいた今日のいちにち。

ようやく、全てのページに手を触れて、あなたのことばを噛みしめて、最後のページまでめくり終わって。

そうして、まだそれらを残したまんまのからだで、いまここにいます。

はるさん。

いつか、また、いっしょにごはんを食べることができたなら。

そのときは、みんなでわらって、みちたりた心とからだで、ああおなかいっぱい!ごちそうさまでした!って言えたらいいな。

あのひとも、あのひととも。

いっしょに食卓を囲みたいひとが、たくさんいるよ。

かなわぬ願いを消化しきれないままに。
ただ想いを馳せることしかできないけれど。

あなたと出逢わせてくれて、関わってくれたすべてのひとに。
心から感謝の気持ちをささげます。

本当に、本当に、ありがとう。

ごちそうさま、でした。

いつかみんなでごはんを 碧月はる著

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タダノヒトミ
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