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パーフェクト・デイズ Perfect Days   

今日、土曜の午後、アマゾンプライムにて「パーフェクト・デイズ」を観た。
役所広司がカンヌで受賞したりして、話題になった映画だが観ていなかった。
先日、ごくたまに話すイタリア人でロンドンに住んでいるマルチェッロ君と話をした。彼はサルデーニャ出身でロンドン在住。バイオリニストで、バイオリンやピアノの先生をしていたが近年プログラミングにのめりこんでメインの仕事がそっちになっている様子。今は数か月に1回くらい、思い出したようにお互い連絡して小一時間くらい近況交換する間柄である。

彼が「パーフェクト・デイズ観たよ、よかった。」と言っていたので、ちょっと気になってはいたが、大きな起伏のある内容ではないのはわかっていたから片手間で観るべきではない映画だろうと思い、機をうかがっていた。

そして、今日一気に観た。

役所広司、いい俳優さんだ。。。
ヴィム・ベンダースは日本人の感性をもっている、というか、わかっていると思う。
映画の中に大波は来ない。そして、壮大な音楽で観客の感情をあおることもない。

淡々と話しは進む。

しかし、全編に小さなこだわりがちりばめられている。もしかしたらそのこだわりは詰め込みすぎかも?と思わないでもないが、見落としたトリビア的なところがたくさんありそうだ。だから好みの合う友人たちであとでお互いのピースを持ち寄ると、空白のところがあったり、または自分がみつけていないピースはもう一度はじめから映画を観て探そうと思うかもしれない。

わたしも見終わって、「あれはなんだったんだろう」と思うところは何か所もあるから、そういうところを一緒に観た人と食事をしながらたくさん話せそうだ。

そして、謎すぎる、というわけでもない。謎が多すぎるともやもやする。そこの駆け引きも上手。

そして、ラストの役所広司がカセットで流れるニーナ・シモンのFeelign Goodを聞きながら泣き笑いのような表情をみせるものをずっとカメラは正面から撮り続ける。

いや、これだけの長い時間カメラを向けられながら演技をする役所広司、すごい。

昔、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のラストで、ロバート・デ・ニーロがアヘンを吸いながら仰向けでカメラに向かって笑顔を見せ続けるシーンがあったが、それとは違い、歌を聞きながら、おそらく歌詞を聞きながら自分の気持ちを表す。いい俳優さんだ。

ネタバレしない範囲で書くが、役所広司扮する平山がなぜ一人暮らしで東京のトイレ清掃員をしているのかは語られない。しかし、彼の一人暮らしながらも丁寧で整頓された暮らしぶり、そしてまじめすぎるほどまじめに清掃員の仕事に向き合う態度。木に対する愛、テクノロジーから離れるように、文庫本を読み、カセットで音楽を聴き、100歩譲ってケータイはあるがガラケー。

時代が止まったようにも思える彼のまわりで小さいが変化は起こり、時が流れる。

ラスト近くの彼の運転シーンを見ながら、平山の幸せを願わずにはいられなかった。


 最後にちょっとだけ
アオイヤマダが少し出る。少しだけどそもそも彼女はカラフルだから目立つ。「ファーストラブ」でもエキセントリックな役だったが、この映画でも彼女の立ち位置は変わらない。なんならファーストラブの時と同じ人(映画は違うけどね。)と言われても、そうよね、と思うレベル。まあ、ちょっとスパイス投入って感じだったのかな。みなさんは彼女の起用をどう思いましたか?わたしは彼女キライじゃないけど、いいか悪いかわかんないレベル。


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