歯医者が患者さんとうまく付き合うこつ① 対応に気をつけるべき患者さんの例
歯医者には、いろんな年代やさまざまなバックグラウンドを持った方が来られる。
美容歯科や矯正歯科などになると、患者層はもう少し絞られるかもしれないが、住宅街や街中だと、その地域の方が老若男女いらっしゃる。
というわけで、歯医者になりたてのころは、そういった方々に適応して対応するのが難しかった。
今ではそういうことはあまり感じなくなったが。
そして幸い今までわたしは患者さんたちと大きなトラブルになったことはないが、信頼関係がくずれたことにより、訴訟問題にまで発展するケースもある。
いまでもわたしが気をつけているのは、「説明されてもわたしにはわかりませんから、先生がいいようにしてください。」と最初から全幅の信頼をよせるかのような話し方をする方だ。若い人がこういう言い方をすることはないが、ある一定の年齢以上の方でこういう風におっしゃるかたは、たまにいる。
初対面でそうやって全幅の信頼をよせるような話し方をする人の中には、本当にわたしを信頼して頼ってくるつもりの人もその中にはいる。
だが、本気で私のことを信頼しているわけではない人もいる。おそらく説明を聞いて自分で判断するのが面倒だからこのフレーズを使っているのかな、と思う。または「信頼してますよ」と愛想のいい態度を見せれば悪くはされまいと思っているのかも。しかし、この場合がやっかいだ。
若いころは、「おまかせされたんだ」と頑張っていろいろ治療していくのだが、途中から患者さんの雲行きが怪しくなってきて、「こんなつもりではなかった」と文句を言われることを何回か経験した。「いや、おまかせすると言ってたのに・・・」と複雑な思いをしたことが何度もある。
いろいろと丸投げしてくる患者さんには注意。
今はたとえ丸投げされても、そして患者さんが「いや、難しいことはわかりませんから」と聞く態度を見せなかったとしても、「ご自身の体のことですから知っておいてください」と言って、説明は必ずするようにしている。それでも聞く様子を見せないならば、治療は最小限にとどめておくようにしている。理解していない内容の施術を勝手にするのは怖い。
医療従事者は、他人の体を合法的に傷つけることができる数少ない職業のひとつだ。歯医者は注射をしたり、メスで切ったりして、まさに血を見ることは日常茶飯事で、外科の分野に入る職業だ。一度削った歯は元に戻らない。私たちが行うことについて、しっかり患者さんに理解してもらってから治療に入ることが必要だ。たとえ「全部先生におまかせしますから!」と言われたとしても。