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お抱え音楽家をあつめる乙女ゲーム

真の『クラシックファン』ならさあ……
誰でも一度くらいは近世ヨーロッパ貴族になってぇ……
『お抱え音楽家』を揃えてぇ……
毎晩のように『夜会』を催してぇ……
って妄想するよね、『当然』(ニチャア

という古典勢のニチャつきをそのままコンセプトにした乙女ゲームです。

貴族の主人公が音楽家の卵を集めて育てて社交界を成り上がる物語!
パトロンとしてお気に入りの音楽家を寵愛するもよし、
悪魔と契約させて貪欲に名声を追い求めるもよし。

手持ちの奏者の組み合わせによって演奏可能な曲が変わる!
育てた作曲家がヒット曲を生み出せば印税ガッポガポ!
楽器職人も育ててマスターピースを手に入れろ!

以下、そんなゲームの導入部テキストです。ご査収ください。

***

//プロローグ
//ヴィエニア 鳥瞰
#
誰もが知る音楽の都、ヴィエニア。
その街の片隅で私はひとり、細々と暮らしている。
お父さんは、私が生まれる前に死んだらしい。
女手一つで私を育ててくれたお母さんも、
私が13の時に病気で……。
ひとりになった私には、他の子供たちのように、
学校や遊びに行けるだけのお金も時間もなかった。
働くばかりの日々の中で唯一の楽しみは……

//ヴィエニア大劇場
仕事場の裏手にある、大きな劇場。
中から漏れ聴こえてくる、美しい音楽の数々。
それに耳をすませながら働く時間が、
私にとって何よりの幸せ。
いつか、あの劇場の客席に座って音楽を聴いてみたい……
そんな願いも、今のままでは叶わぬ夢。
そんなふうにして迎えた16歳の朝。
信じられないような奇跡が、私のもとに訪れたのだった……

//1
//劇場の裏
#
その日も私は劇場の裏に座っていた。
音楽に耳をすませながら楽しむ、束の間の休息。
乾いて硬くなったパンを水で無理やり飲み込む。
貧しい食事も美しい音楽と一緒ならば、これ以上ない贅沢なひとときだ。
#エリーゼ
(大変なことも多いけど、私は幸せ。
(こんな日常がずっと続いたらいいな……)
#
そう、しみじみと思ったのも束の間。
非日常は、まるで天の声のように突然降ってきた。
#???
お初にお目にかかります、エリーゼ様
#エリーゼ
!?
#
驚いた拍子に、ぱさぱさのパンが喉に詰まりそうになる。
必死に胸をたたき、涙目になりながらも、どうにか飲み下した。
#???
大変失礼いたしました。どうぞ、こちらをお使いください
#
私を気遣う言葉と一緒に、綺麗なハンカチが目の前に差し出される。
#エリーゼ

#
今まで見たこともないほど、高級そうなハンカチ。
そんなもの、借りたとしても使えない。そもそも汚れた手で触れることなどできるはずもない。
だから、ハンカチを受け取る代わりに、その手の持ち主を見上げると……
//ロジャー登場
#???
……
#
立派な身なりの男の人が、私を見下ろして微笑んでいた。
#???
お迎えに上がりました、エリーゼ様

//選択肢:
誰ですか?⇒1-a
お迎え……?⇒1-b
……『様』!?⇒1-c

//1-a
//テキスト無し
//1-dへ

//1-b
#???
ええ。ずいぶんとあなた様をお探し申し上げておりました
//1-dへ

//1-c
#???
驚かれるのも無理はありませんね
//1-dへ

//1-d
#ロジャー
私はロジャー・ギリアムと申します。パルナム領主クラーナッテン男爵家の使いとして、参上いたしました
#エリーゼ
は、はあ……初めまして。エリーゼです。ただのエリーゼ
その、ナントカ男爵家のロジャーさんが、一体何の御用でしょうか……?
#ロジャー
先だって、男爵夫妻が旅行中の不慮の事故により、ご逝去なさったことはご存じですか? 新聞沙汰にもなりましたので、すでにお聞き及びのことと存じますが……
#エリーゼ
あ、いえ……知りませんでした。お気の毒に……大変な……
#ロジャー
ええ、本当に大変なことです
亡くなったお二人の間に嫡子はなく、このままでは爵位は返上、領土も没収
クラーナッテン家は今まさに、存亡の危機に立たされているのでございます
#エリーゼ
はあ、それはそれは……
あの、それが私と何の関係が……?
#ロジャー
単刀直入に申し上げます、エリーゼ様
あなた様には男爵家へ入り、新たな当主として全てを引き継いでいただきたいのです
#エリーゼ
!?
ど、どうして私が?
#ロジャー
エリーゼ様は、クラーナッテン家の血をひくただひとりの人間
あなた様のお父上は、誰あろうクラーナッテン男爵。あなた様はそのご落胤であり、唯一正統な後継者なのですよ
#エリーゼ
え……
え~~~っ!?
(し……信じられない。私が貴族の血を引く人間だったなんて。
(死んだお母さんからは、お父さんはとっくの昔に死んだってこと以外、少しも教えてもらえなかったし……
(でも、そういう事情があったんなら……お母さんの態度にも納得がいく……のかな?)
#ロジャー
嗚呼おいたわしや。やむにやまれぬ事情とはいえ、あなたのように貴い身分の方が、このように劣悪な環境で生きてこられたとは
どうか私と共に来て、本来あるべき暮らしを手になさってくださいませ
#エリーゼ
そ、そんな急に言われましても、仕事もありますし……
急にやめるなんて言ったら、おかみさんが何て言うか……
#ロジャー
ご心配なく。すべて私の方で話をつけておきます
#エリーゼ
でも……
#ロジャー
まだ、何かご心配事が?
#エリーゼ
……
私のお母さんは貧しい中で私を必死に育てて……最期は体を壊し、お医者様に診てもらうお金もなく死んでしまいました
それなのに、私だけがここから抜け出して、幸せになるなんて……なんだかお母さんに申し訳なくて……
#ロジャー
ふむ……なるほど、なるほど
エリーゼ様は、お優しい方ですね
#エリーゼ
いえ、そんな……
#ロジャー
では、こうお考えになってみてはいかがでしょう
あなた様には、幸せになる義務があるのだと
#エリーゼ
幸せになる……義務、ですか?
#ロジャー
そうですとも
本来の身分を取り戻し、お母様の分まで幸せに生きること
それこそが、あなた様を守り抜いたお母上の想いに応える、何よりの親孝行だとは思いませんか?
#エリーゼ
……
(そう……なのかな。
(私が貴族になったら……死んだお母さんも喜んでくれる?
(……それなら)
わかりました
#
私は、彼の目を真っすぐに見つめ……その手を取った。
#エリーゼ
あなたについて行きます、ロジャーさん
#ロジャー
……そのお言葉、心よりお待ち申し上げておりました
このロジャー・ギリアム、今この時より全身全霊をかけてあなた様にお仕え申し上げます。エリーゼ様……
//ロジャー 退場
//シーン終了 2へ

//2
//クラーナッテン邸 外観
#
それからは、何もかもがあっという間だった。
出会ったその日のうちに、私はロジャーさんに連れられて、
郊外の大きなお屋敷に住むこととなった。
あれこれ考える暇もないほどに慌ただしい中で、
エリーゼ・フォン・クラーナッテン男爵としての新たな生活が始まったのだった。

//自室
#エリーゼ
(貴族って毎日遊んで暮らして悠々自適だと思っていたけど……
(まさか、こんなに大変なものだったなんて!
(言葉遣い、テーブルマナー、歩き方の練習、語学に文化的教養……朝から晩まで勉強漬けで、気がおかしくなりそう)
//SEノック
//ロジャー 登場
#ロジャー
お勉強は順調のようですね
#エリーゼ
ロジャーさん!
#ロジャー
少し休憩して、お茶でもいかがですか。サロンにおやつを用意してございますよ
#エリーゼ
わあ、ありがとうございます!

//サロン
#
私を迎えに来てくれたあの日からずっと、執事のロジャーさんは本当によく面倒をみてくれている。
何でも、亡くなったクラーナッテン男爵……お父様が、いちばん頼りにしていた人らしい。
とても有能な人みたいなので、難しいことはロジャーさんに任せておけば安心……なんだと思う。
#エリーゼ
そういえば……
#ロジャー
はい、なんでしょう?
#エリーゼ
あそこにあるピアノは、誰が弾いていたものなんですか?
(ピアノの曲は聞いたことがあっても、こんなに間近で見るのは初めて。
(ずっと気になっていたんだけど、勝手に触っていいのかわからないし……)
#ロジャー
……それは以前、【夜会】の際に使用していたピアノでございます
#エリーゼ
夜会、ですか?
#ロジャー
ええ。エリーゼ様は、この国の爵位制度についてはもうご存じですか?
#エリーゼ
えっと、少しだけなら教わりましたけど……
#
多くの国では、武功や商売など、国家に対する貢献と引き換えに爵位を任ぜられて貴族になる、というのが普通らしい。
ところがこのヴィエニアでは『音楽の都』の名にふさわしく、
音楽界への貢献によっても爵位を任ぜられる場合がある。
優れた音楽家は騎士となることもできるし、さらに特別な貢献をした者は、公爵となることも夢ではないという。
そこで、上流を目指す家はこぞって【お抱え音楽家】を揃え、その見事な演奏を社交界で披露することに躍起になっている。
クラーナッテン家も例にもれず、優れた音楽家を集めた夜会によって評判を得て、男爵の身分を戴いたらしい、けど……
#エリーゼ
でも……このお屋敷には、一人も音楽家がいませんよね
#ロジャー
はい。当家が取り潰しの危機に陥るが早いか、みな他所の屋敷へ引き抜かれてしまったのです
#エリーゼ
そっか……まあ、それは当然ですよね
勤め先がなくなるかもしれないなんてことになったら、早く次の働き口を見つけないとですもん!
(前に勤めていたレストランが潰れた時のことを思い出すなあ。
(『経営が危ないかもしれない』なんて噂が立ったとたんに、次から次へと人が辞めていって……あっという間に誰もいなくなって、オーナーさんもどこかへ行っちゃったんだよね。
(ふふ、あの時はびっくりしちゃったなぁ……出勤したらお店がなくなってるんだもん!
(貴族の世界でも似たようなことがあるなんて、急に親近感がわいてきたかも)
#ロジャー
笑っている場合ではございませんよ
#エリーゼ
え?
#ロジャー
社交こそは貴族の仕事と言っても過言ではありません
いまや男爵家当主となったエリーゼ様も、すでに社交界の一員という自覚をお持ちくださいませ
そして『音楽なくして社交なし』。他家との交流のためには夜会が必須です。お抱え音楽家も持たぬままでは、名ばかりの貴族との誹りを免れないでしょう
#エリーゼ
そんな……引き抜かれた人たちに、戻ってきてもらうことはできないんでしょうか?
#ロジャー
彼らはすでに、新たな主人に仕える身。そう簡単に今の場所を離れることはできません
#エリーゼ
そっか……
#ロジャー
それに、彼らと同程度の名手を探すのも容易ではないでしょうね。実力ある演奏家は皆、すでに他の貴族のものです
#エリーゼ
困りましたね
#ロジャー
ええ、本当に。頭が痛いですよ
#エリーゼ
……
(わかっているつもりだったけど、想像していたよりずっと、貴族って大変なんだ
(本当に、私なんかに務まるのかな……
(ついこの前まで庶民だった私なんて、貴族どころかそのヒヨッコ、ううん、それ以前の……卵?)
……そうだ!
卵! 卵ですよ! ロジャーさん!
#ロジャー
たまご?
#エリーゼ
すでに実力のある演奏家がダメなら、【音楽家の卵】を探してみてはどうですか?
ここは音楽の都なんだもの、いずれ音楽の道に進みたいと思っている若者がいっぱいいるはずです!
そういう人たちを探し出して、立派な音楽家になれるよう支援するのはどうでしょうか?
#ロジャー
……ハァ……エリーゼ様……
#エリーゼ
うっ……ダメ、ですかね
(呆れられちゃったかな……)
#ロジャー
いいえ。このロジャー、エリーゼ様の慧眼に感服するあまり……思わずため息が
#エリーゼ
あ、そういうため息?……大げさだなぁ……
(まあ、褒められたのは嬉しいけど……)
#ロジャー
未だ開花に至らぬ才能を見出し、一流の名手に育て上げる
時間はかかりますが、他所へ頼み込んで引き抜くよりは、金銭面で安く抑えることができそうですね
また万が一にも世界的な音楽家を輩出することができれば、それは当家の功績となりましょう
一見するとリスクの大きな賭けではありますが、あなた様ならば、あるいは……
#エリーゼ
あるいは?
#ロジャー
……いいえ、お気になさらず
それでは早速、町に出て探しましょうか
我々の起死回生の一手となる、音楽家の卵たちを
#エリーゼ
はい!
//シーン終了 3へ


続きはおいおいに・・・ね。

あ~~~こんなゲーム作りてえ~!
・・・と思ってくださった絵師様楽師様プログラム師様、
どうぞお気軽にお声がけください。

あ~~~こいつにシナリオ書かせてえ~! という方も
どうぞどうぞよろしくお願い申し上げます。
シナリオライティングのお仕事、大募集中です。
1文字1.5円~お引き受けいたします。
また、企画やプロット、世界観・キャラクター設定のみでもお受けします。
ぜひご検討ください。

やぶさかめいこ

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