ドラマの感想を書いてみた2〜ジュニの話

よくおごってくれる綺麗なお姉さん、のもう一人の主人公、ソ・ジュニ。チョン・ヘインくん演じる、まっすぐに愛している、と表現するイケメン男子。
お姉さんの親友を、好きになる。なかなかその気持ちを打ち明けられないまま、ついに、彼女、ソン・イェジン演じるユン・ジナの方から、テーブルのしたで手を握られる。それをぎゅっと、カップルつなぎすることで二人の気持ちが確実になる。。。。
素敵なシーンでした。

とても紳士的だし、彼女を大事にするし、可愛いがる。嫌なセクハラ上司に呼び出された時にも駆けつけてくれる。本当に優しい人なのだけど、それでもたまに、「男はこうあるべき」と言う古い価値観にとらわれていることが見え隠れします。

先にその手を握りたかった、僕から告白したかった、といい、君を助けると言ってよく相談をしないでアメリカに逃げることを決めてしまったり。男の側が決めないといけないと思ってるんですね。
年下だから、大きく頼り甲斐あるように見せなくちゃいけないと思っているのね。そのツッパリ感が可愛いわと、最初見たときは思ったのですが、二回目見た時からちょっと違うな、って思いました。
ジュニの父親が子供達を見捨てて(というとしてもないのですが)再婚してしまった後、5つ離れたお姉さんが、弟のジュニに家長的役割を託してしまいます。ジュニがやりやすいように、気遣い世話をするのはまるで母親のようです。その振る舞いが、男らしく自分で決めて行かなくては!と言う想いを強くしすぎちゃったのではないかしら。

ジュニ役のチョン・ヘインくんもインタビューで、「もう少しジナと話し合えばいいのに」と思ったと言っていました。植え付けられた男らしい役割というものにとらわれ過ぎてしまったのかなと思いました。恋愛は二人で作っていくものなのに、必ず幸せにするから俺について来い、的な振る舞いになって、それが破局につながってしまったのだと。二人で同じ傘に入って歩んで歩調を合わせて歩んでいくべきなのよ。というメッセージが、あの、雨の中を二人で歩くオープニングから感じられました。

ラストの会では、傘を放り投げて、二人で抱き合い笑いあう。ようやく、一緒にいる、ということがつかめたんでしょうね。

この二人、交際をジナの母から強く反対されます。

ジュニに親が居ないし、結婚後の幸せを約束された相手ではないからと言うのです。韓国の社会では、家柄や学歴がとてもものを言うのだそうです。日本人にはわからないところがたくさんあるのですが、「相手の親戚にソウル大学出身者がいる」と言うだけで、婚家のこちらにもいいことがあると言うレベルのはなしだそうで。日本人にはよく理解できませんがそういう事情ながあるようです。

親がいないと言っても、大学生になるくらいの年齢(もういい大人です)に両親と離れたと言うはなしで、孤児でもないのに。そんなに問題なの?と思ってしまいます。両親が気に入ってるジナの最初の頃の回の元恋人は、弁護士。だけどこいつがとんでもなくて、若い子と二股をかけている。頭にくるのは、ジナがいきたいと言っていたところに、彼女を誘って連れて行ってること。きっとさも自分が見つけたように話して誘ったのでしょう。そして、ジナから別れようと言ったら、プライドが傷ついて、ストーカーしたり、性暴力したり、挙句の果てにジナを道連れに心中しようとします。こんなことする弁護士、ろくな仕事していないですよ。それでも、実家が金持ちらしい弁護士と復縁させたがる、お母さん。信じられないですよね。毒母と書かれていました。韓国も格差社会。学歴をもち大企業に入るか、家柄が良い人と結婚する、それで手に入るものもきっといろいろあるのかもしれませんが。

ジュニはケームデザイナー。若くしてアメリカで活躍し、中国からも是非来てくれとオファーがある。どちらに未来があるかといえば、ジュニですよね。でもお母さんは、ジュニには未来がないからやめろというわけです。旧世界と新世代の価値観の違いでしょうか。少し前までは韓国で海外に住んでいた人を評価しない、よく思わないということがあったそうなので、その影響もあるのかもしれません。


相手の家族に見下されてまで交際を続ける必要はないと怒るジュニのお姉さん。親友のジナも大事だったけど、親友より、弟、家の家長のジュニを守ろうとします。そりゃそうだ。。。

ジュニはまっすぐジナを愛しているのに、そのことについて誰も味方がいないの。ジナでさえも、お母さんの想いを尊重するようなことを言い出すしまつ。いずれもうまく収めようとするから、うまくいかないのに、ずっとそういう役割を植え付けられてきたジナには、そうすることしかできないという、とてももどかしいが気持ちがわかるという展開に、ジュニはますます孤独になっていくのです。誰も味方になってくれません。本当にかわいそうです。そんな風に言われる筋合いはないです。彼にはなんの落ち度もないばかりか、イケメンで気遣いがあって、礼儀正しく、素晴らしい人材なのに。

そんな中、唯一の救いは同僚の友達、スンチョルの存在。話を聞き出してくれたり、心配してくれたり。ジナの友達、ボラもそういう役割を果たしてくれます。「あなたの彼氏、私はジュニさんがいいと思うけど」というセリフ。

この一言がとてもよかった。控えめだし、最後は自分で決めるのは当然なんだけど、言わずにはいられなかったという感じ。決して煽ってるわけではないのだけど。

ソ・ジュニの全てをユン・ジナに、と贈るジュニの気持ちはとてもよかった、ネックレスの絵を書いて贈るなんて、ロマンチックすぎる!(ジュニは絵描き) あの日に左遷の人事異動発表がなかったら、変わっていたかしら。もういろんなことがいやになっちゃったな、と言う風に見えたのですが、実はちくしょう、と思った気持ちがジナに芽生えて、戦い抜くぞ、親とも、会社とも。そう思ったのではないかしら。

ネックレス、ではなくて、指輪だったら、また展開が違ったのでしょうか?韓国ではこういう時は指輪じゃないのかな。
愛の不時着では、ユン・セリが、リ・ジョンヒョクに指輪をもらって、もうこの人から離れない、と決めたと感じさせるシーンがありましたよね。婚約指輪でなくても、こういう時のプレゼントって、指輪じゃないかしら、と思ったので、そのあたり、詳しい方に聞いてみたいです。

ジュニを演じたチョン ヘインくんのインタビューで、ジュニはファンタジーの存在かも、というようなことを言っている記事を見つけました。周囲の反対を押し切って自分の意志だけを通すことは並たいていのことではない、30歳になった男の人が実際そうするだろうか、ということのようです。日本だったら、親に反対されても結婚しちゃうことは今は結構あると思うのですが(結果的に仲良くなった、という事例を私もいっぱい見てきました)、韓国社会では親に兄弟に反対されると無理、と考えてしまう人が多いのでしょうか。

別れたほうがいい、というジナに、ジュニが、「誰のため?」って聞くシーンが何度かありますね。何を守るのか? 誰のためなのか? 親は子の気持ちに寄り添ってあげることが愛情ではないのか?

家族って何だろう、と考えさせられたドラマでした。
ベテランの、ソン・イェジンさんの抜群に自然な演技があってこそ、若いチョン・ヘインくんのまっすぐな魅力が開花したのだと思います。いいドラマでした。

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