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【対談シリーズvol.1】三浦半島に若者とリピーターを呼び込んだ ワークショップドリブンのペルソナマーケティング

京急電鉄は2017年、「三浦半島の魅力を再構築する」をテーマに東京大学と手を組み共同研究プロジェクトを実施しました。(研究代表者:東京大学大学院 情報学環 特任助教 / 株式会社ミミクリデザイン代表 安斎 勇樹)


その成果はターゲットとなる人物像モデル(以下ペルソナ)とコンセプトブックにまとめられ、翌2018年には「三浦Cocoon」に昇華。これまでにない層の顧客を集めました。今後の三浦半島観光事業を方向づけるペルソナとコンセプトはどのようにして生み出されたのか。京浜急行電鉄株式会社 三浦半島事業開発部 齋藤 優さんと、プロジェクトに伴走した株式会社ミミクリデザイン 東南 裕美和泉 裕之が振り返りました。

社内勉強会をワークショップでアップデートしたら

東南裕美(以下、東南) 京急さんは、すでに"みさきまぐろきっぷ"などコンセプチュアルな観光コンテンツを世に出していらっしゃいます。そんな中、改めて魅力の再構築に取り組まれた背景をお聞かせいただけますか?

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齋藤優さん(以下、齋藤) 三浦半島に訪れる方々が高齢化していて若い人が少ないことと、リピーターを増やしたいという2つの課題がありました。それで、グループ会社も含めて若手の有志を募り、15人ぐらいが業務の合間に集まって勉強会を始めていたんです。4回、5回と回を重ねていた頃に、弊社の京急油壺マリンパークと東京大学臨海実験場が隣り合っているご縁で「勉強会とワークショップの相性がいいのでは?」とご提案いただき、共同研究が始まりました。

東南 すでに始めておられた勉強会は、東大のワークショップデザイン研究の知見が入ることで変化がありましたか?

齋藤 大いにありました。勉強会では、三浦半島のいい部分や悪い部分についての意見は出るけれど、そこで終わってしまって次に進めませんでした。そういうときに、共同研究の話がちょうど持ち上がったので安斎先生の本を読んで「そういうことか!」と膝を打ちました。ターゲットを絞り、そのターゲットを想定して商品を構成していくという段階を設計した上でファシリテーターがリードしていく、というプロセスを見たときに、「われわれに足りないのはここだ!」と気付きました。
一緒に取り組むことで勉強させてもらえれば、すでに出ている、宝になりそうな意見を次のステージに上げられるのかなと思い、「ワークショップを習いにいこう!」と意気込んでいましたね。

和泉裕之(以下、和泉) ターゲットを絞っていなかったということですが、「ペルソナ」という言葉を使ったのも今回が初めてでしたか?

齋藤 はい、初めてでした。

東南 今回のワークショップデザインのポイントは2つあって、ひとつがペルソナの創造。もうひとつが異分野メンバーのアサインでした。異分野メンバーにも興味を持たれていたとお見受けしたのですが、それはなぜですか?

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齋藤 勉強会のメンバーは三浦半島に住んでいる者も多いです。中には生まれてからずっと三浦半島で暮らしているメンバーもいます。次に進めないことに課題意識を持ったときに、これはもしかすると、地元民だから見えていないことがあるからかもしれない、と。三浦半島のことを全然知らない人に視点をもらいたい、という意見がすでに出ていたんです。灯台下暗し、の下暗しに光を当てて欲しい、ということですね。

和泉 異分野メンバーとして、編集者のモリジュンヤさんと、地理人さんをアサインしました。東南さん、この人選はどんな考えでされましたか?

東南 今回の主題「三浦半島の魅力を再定義する」は、言い換えると「三浦半島に散らばり眠る情報を発掘して編集して一つのコンセプトとして外に発信する」ということです。そう捉えたときに、普段からいろいろな情報に触れて取捨選択して顧客に届けていく「編集」を生業にしているジュンヤさんが適任だと考えました。また、47都道府県300都市を実際に歩いた経験を持つ地理人さんなら、三浦半島の魅力を「いろいろある中でも三浦半島にしかないものは何か」というフィルターでアップデートしていただけると思いました。

和泉 結果、異分野メンバーやペルソナ創造は課題解決に役立ちましたか?

齋藤 多岐にわたって成果を上げられたと思っています。
まずは、若い人とリピーターを増やすという最大のテーマについては、三浦Cocoonのアンケートに成果が表れています。2/3が初めて、そのうち9割が「また来たい」と答えてくださいました。
また、コンセプトブックの社内外での存在感がすごいんです。これ、社内のグループだけでつくっても浸透しなかったと思っていて。やっぱり東大さんの冠や、第三者の意見や判断が入っているというところが評価されて、上層部から「部の中だけじゃもったいないからもっと外に出そう」と提案があり社内イントラに置かれています。さらには、社外に出す予定はなかったのにパートナー会社さんから「それに基づいて提案したいので、ぜひ見せてください。自分たちもやりたいことがあるので」と大きく反響をいただいたり。行政関係にもお渡ししているうち、増刷がかかりました。

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三浦Cocoonは、イベント単体で考えれば成功なのか判断が難しいですが、テレビに取り上げてもらうきっかけになったし、地元の人にたくさん協力を仰ぎバックアップしていただいたプロセスで、地元との関係性が深まったことは大きな成果だと思っています。イベント当日にわれわれへのサプライズで花火を打ち上げてくれたりですとか、地元の方々の応援がすごくありがたくて。地元を巻き込んだモチベーションアップという意味では、間違いなく大成功だったと思います。

ペルソナ「橘 久美子」「加藤 健太」の全人的人格性

和泉 ポイントとなったペルソナ創造についてお伺いしたいのですが、もっとも代表的なペルソナとなった「橘 久美子」はどんな風にして生まれたんですか?

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齋藤 ワークショップでは3つの班に分かれて5人のペルソナが生まれ、そこから2人に絞りました。わたしは最初から最後まで「橘 久美子」を担当したのですが、最初に「三浦半島のいいところは?なにが課題?」を洗い出したところからスタートでした。いいところが刺さって、悪いところが気にならない人ってどんな人だろう?って話したときに、まず出てきたのが、「癒しを求める人」でした。

東南 それは他の2つの班で出たペルソナたちにも共通していましたね。

齋藤 はい。ちょっと日々の生活に疲れている。疲れている人が週末に3時間も4時間もかけてどこかにいくとは思えない。1時間ちょっとぐらいの移動で癒されてリセットできて、月曜日からまた働こうっていう場所として認めてもらえたら、何回も来てくれそうだよね、と。そういう人ってどんな人?と掘り下げていく中で、「ネコ好きだよね」「写真が好き」「本が好きそう」「どこどこ住んでそう」と人格を形成する要素がたくさんでてきました。外見的要素も、「ボブヘアである」とか。参加者の志田ちゃん(ミミクリメンバー)が似顔絵を書いてくれて、みんなのイメージがビジュアライズされ、そこからさらに「名前はなんだろう?」と考えはじめ、橘が思い浮かびました。あまりにも疲れていたり、寂しいイメージが先行すると、共感はできても自分と重ねたくなくなるのではという懸念があったので、気品があって育ちのよさそうな「橘」という苗字ならバランスがとれる。そういう人でも誰でも、普段の仕事生活でちょっと疲れる瞬間がある、という軽さで「疲れて癒しを求めている状態」を表現できれば、誰にでも起こり得ることとしてフラットに受け取ってもらえるのではないかと。

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和泉 ペルソナの創造って、データを元に設計する方法もあるのですが、今回はあえてそういうかたちをとらずに、自分たちの頭の中にある「来てくれそうな人」「来てほしい人」ベースで要素を抽出し、人物像をあぶり出していきました。下手をすると、「本当にそんな人いるの?」ということにもなり得ると思うのですが、なぜうまくいったのでしょうか?

齋藤 たしかに(笑)。取材に入っていた「ガイアの夜明け」のディレクターにも「大丈夫ですか?根拠のないペルソナでこのまま続けていいんですか?」って、ことあるごとに言われていました。でも、来る人の中にペルソナの要素がゼロっていうことはない、という自信はありました。それはなぜかというと、一緒にペルソナをつくった社内メンバーは生粋の地元っ子なので、データにはなっていない「こういう人が来ている」「こういう人をよく見る」という肌感覚を持っているからです。だから、大きくズレることはないという自信がありました。

東南 もうひとつ、フィールドワークを組み合わせたプログラム設計というのも、ペルソナの精緻化がうまくいった要因だと思っています。というのも、地域のプロジェクトの場合、地域資源を意識しなくてはいけないという圧倒的な制約があります。これが、いわゆる商品開発でペルソナ設定をするときとの大きな違いです。通常はターゲットのペルソナを設定したらそのターゲットがどういう課題を抱えているかを掘り下げていき、そのターゲットに刺さるような商品を検討するというデザインプロセスを踏んでいくのですが、今回は、例えば仮に橘 久美子が魚介類が嫌いだったり、バス移動が嫌いだったとしても、三浦半島の地域資源として海産物があることや、交通機関としてバスがよく用いられていることは変えられないわけです。そうすると橘 久美子を、魚介を好まなかったり、バス移動を好まなかったりするペルソナのままにしておくことは厳しくなります。ペルソナに徹底的に共感して人となりを掘り下げる一方で、フィールドワークで実際に三浦半島の地域資源に照らしてペルソナの方向性を検証する作業を何往復もしたことも、現実感と納得感のあるペルソナとコンセプトにたどり着けた要因の一つだと思います。

齋藤 そうですね。それから、ペルソナを本当に丁寧に掘り下げることができて、そのプロセスで「どういう人に来て欲しいのか」の解像度がどんどん上がっていきました。たとえば、橘 久美子のペルソナで「写真が好き」いうワードがあったときに、もう一歩踏み込んで「撮った写真をInstagramにアップするかな?」と考えたり。Instagramをアップする人は、1回来て、インスタ映えする場所を撮ってアップしたら満足してもう来ないな、と。その瞬間、橘 久美子はSNSはやっていないという要素が見えました。その結果、橘 久美子は自分しか知らない秘密スポットを見つけて写真におさめて、自分を満足させて帰る。そういうマインドだから、次は夕暮れ時に行って違う表情を撮ろうと考える。SNSで表現するのとは違う、自分なりの楽しみを追求する人物像が見えて来ました。いかにリピーターになってくれそうな人物像に近づけるかを不動の軸にして、要素を加えたり削ぎ落としたりしていましたね。目的が明確。ただの妄想とはまったく違います。

和泉 最終的に、ペルソナは橘 久美子と加藤 健太、コンセプトは”あるがままを楽しむ”になったわけですが、実際に三浦Cocoonにはどのくらい橘 久美子や加藤 健太的な人が来ましたか?

齋藤 年齢層でいえば、7割が20代30代という狙った層でした。また、運営の現場で実際にしゃべってみて感じた印象として、数名がお一人で、それ以外もほぼお2人や少人数で来られていて、「ちょっとした非日常感を味わいにきました」とか、「こんなに手軽に大自然を味わえるとは知らなかったから」と動機を話されました。われわれが「こういう人にこういうことを求めて来てほしい。」と思ったとおりの方々だったと思います。

和泉 ということは、三浦Cocoonのコンテンツを、ペルソナのニーズを満たすかたちにつくりあげることができたということですね。

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齋藤 これまでにつくってきたコンテンツとは違うものができましたね。たとえば、三浦・三崎といえば普通はまぐろがメインになる。実際に、われわれもすでにみさきまぐろきっぷを商品化している。それが、橘 久美子にみさきまぐろきっぷで来てもらったら、と想像したときに「もしみさきまぐろきっぷで来たら、次がないかもね」となったんです。だからやっぱり違うコンテンツが必要だろうと。一方で、フィールドワークで地元の人と話をしていくと、みなさん「まぐろだけじゃない」っておっしゃるんです。
結果、Cocoonのときはまぐろ要素はゼロでした。「まぐろ食べました。満足しました。もう来ません」とか、「魚介類に興味がないので来ません」ということではなくて、地元のおしゃれカフェや、海やマリンレジャーなど多様な要素をちりばめることで、久美子がなんども楽しめるように組み立てました。

東南 それができたのも、「まぐろ」のような単体のアピールポイントではなくて、コンセプトを立てたというところがポイントだったのかな、と。“あるがままを楽しむ”、”都会にとっての秘境”という器に、いろんな楽しみ方を載せられる設計にしたことが、成功要因だったと思います。

ワークショップがみんなの自分ごと化を促した

和泉 こうしたペルソナやコンセプトは、手持ちのデータをマーケティング会社にわたして丸投げでつくってもらうこともできます。今回は、ワークショップを使って一緒につくりあげたわけですが、その経験を経た今、ワークショップという手法についてどんなお考えをお持ちですか?

齋藤 勉強会に自主的に参加している子たちがモチベーション高く課題解決に挑んでいる中で、外部の会社に丸投げして戻って来たものに対してその子たちが満足するか?と考えたら答えはNOだと思います。反対に、今回のように自分たちの意見が反映されて形になっていくプロセスを見て感じることで、自分の時間を投資する意義を感じてもらえたと思います。それに、若い子たちにとって、東大さんのメンバーやふだん接することのない人たちとテーブルを囲み、刺激を受けられた価値も大きいです。

和泉 実際参加されたかたに、変化はありますか?

齋藤 めちゃめちゃありますよ!勉強会を始めた当初は、ほとんど意見が出なかった。おそらく「これって言っていいのかな」とか、「自分の意見はちょっと違うんだけど言いづらい」といった躊躇があって、テーブルがすぐにシーンとなっちゃっていた。それが、東大さんとのワークショップを5回ぐらいやらせてもらったあと、明らかに勉強会の雰囲気が変わりました。意見がバンバン出る。「こんなにしゃべっていいんだ」「いろんな意見が出て当たり前」ということを肌で感じた結果だと思います。

和泉 それはすごい嬉しいですね。

東南 嬉しいです。

和泉 ミミクリデザインとしても、ワークショップの成果は出たアイデアだけでなく、実際にそのアイデアをかたちにする人たちのモチベーションや熱意。今回でいえば、橘 久美子や加藤 健太というペルソナにみんなの思いが入っている状態に持っていけるかが勝負どころだと思っています。

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齋藤 いやまさに!ペルソナに対して愛着や思い入れがあるかどうかですよね。

和泉 ペルソナをつくるだけなら、ワークショップ3回もいらなかったかもしれない。でも、きちんとチームビルディングもしながら安心して意見が言える空気づくり、創造性の土壌を耕していきました。

齋藤 それは大きいですね。プログラム構成の話でいえば、イベントの内容をつくるワークショップのときに、急遽もたれた対話の時間がありました。あれはとても印象に残っています。ある意味バトルが勃発したんですよね。100%ペルソナの満足度に貢献する目線の東大さんと、とはいえグループの施設にお金が落ちるしくみを考えようとするわれわれの差が出た。社内的には、上層部も突破しなくちゃいけない。われわれとしては、あのバトルでより、京急電鉄という会社のスタンスや存在意義を明確にすることができたと思っています。

和泉 ホワイトボードに模造紙を貼って、グラフィックレコーダーにいてもらって、半円状に椅子を並べてみんなで今思っていることをちゃんと話し合おうということをやりましたね。もともとのプログラムには入れていなかった時間でしたが、前日に、お互い内部ですら意見が擦り合わさっていないということが見えてきたので、この差にきちんとフォーカスする場があったほうがいいなと考えました。
対話の場をつくろうとした瞬間は、もしかしたら決着がつかないかも、と思っていました。でも、きちんとひとりひとりが現状思っていることを言い合えて、なおかつ奥底で大切にしているこだわりがどこなのかまで可視化してひもといていったら、話は落ちるところに落ちるだろうと思っていました。なので、全体の司会進行は安斎がするなかで、僕はみんなの表情を見ていました。

齋藤 すごく覚えてます。完全に東大チームvs京急チームになっていた後半の、和泉さんのバランスのとりかたはすごく覚えてる。違う意見の中の、ちょっと共通する部分をうまいこと拾ってくれたのをすごく感じました。

和泉 立場は違えど、いいものをつくりたいという共通点は絶対あると思っているので、そこをなるべくみんなにわかるように場に炙り出せたらという思いでやっていましたね。

東南 私もあの場はすごく印象に残っています。いち参加者として参加していて、わたしはもちろん橘 久美子に寄り添った方がいいと思っていたのですが、話をしていくなかでだんだん、できあがったコンセプトや三浦Cocoonの趣旨を一番よく知っているのはやっぱり京急さんで、だからこそ京急さんの施設を使うっていうのは逆にいいんじゃないかと、自分の中で腹落ちしました。

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和泉 イベントをみんなにとって納得感のあるかたちに昇華させるためにも、すごく価値のある場でしたね。対話って、いくつか段階があります。まず最初は、お互いの思っていることやこだわりを共有し合う。自分はこう思っているんだ。相手はこう思っているんだ。同じところと違うところがある。それらを知ることが最初のステップで、それだけでも価値があるんですが、さらに違う意見が混ざり合って、もともとなかったところに新しい解を見出していくというフェーズに登れましたね。

齋藤 あのバトル対話がなかったら、おそらく三浦Cocoonはうちの施設ではじまりうちの施設で終わるイベントでした。われわれとしても、やっぱりグループ施設を巻き込まないとっていうところはぶれちゃいけない。結果、最初にみなさんに集まっていただく受付にしたのはうちの施設でした。でも、終わりの場所はうちの施設ではなく、みんながいいと言っていた城ヶ島公園になりました。もちろん、そのぶん2箇所にブースなどを設置しなくちゃいけなくて、時間も費用も大変だったけれど、お客様の満足度や雰囲気づくりの面ではすごく効いた。会社としてこだわらなくちゃいけないところはあるけれど、どこかでそのこだわりをいい意味で妥協したら、もっとよくなることがある、というのをあのバトルから学べたと思います。

和泉 場を経験したからこそわかる学習、学びはまさにワークショップの価値ですね。ああ、いいプロジェクトだったなあ。

東南 ドラマみたいでしたね。
今回で齋藤さんご自身のワークショップの見方が変わった部分があったと思うのですが、それを踏まえて今後こんなワークショップをやっていきたいとか、ミミクリとこんなことしたいということはありますか?

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齋藤 3-4年に1回、今回のように第三者に入ってもらいながら、三浦半島を理解するワークショップとフィールドワークを混ぜた企業内研修としてできたらいいと思います。弊社は、3-4年ごとにジョブローテーションで現場の知見がリセットされてしまいます。でも、そんな研修があれば、2-3年かかってたまる知見を短期間で一気に深められる。旅の仕事をしていても、なんだかんだ担当者はずっと机に座ってパソコンをたたいてお客さんと電話で話して、というデスクワークにはまりがちで、意外と自分の担当エリアを歩いたり深く考える時間がないので、一つきっかけになるかと。

東南 手法やプロセスを自社に持ち帰って実践していただけるというのは、ミミクリがミッションとする「創造性の土壌を耕す」そのものなので、とても嬉しいです。三浦半島事業開発部の創造性が耕されていく感じが実感できました。

和泉 ペルソナ橘 久美子はどうなっていきますか?

齋藤 具体的な年数は決めていませんが、社内的に上層部の人間も含めて、橘 久美子と加藤 健太をイベントや不動産都市開発にも活かしていこうとしています。ただ、5年後には2人はニーズが変わっていると思う。だから、ペルソナ自体を何年かに1回見直しをしなくちゃね、と言っています。

東南 たしかに、今回は競合分析もしましたけれど、5年経てば他の地域も変わり、それに伴って三浦半島の存在意義も変わってくるかもしれないですね。

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本プロジェクトは、異分野人材とのコラボレーションを通じて、京急電鉄さんの創り手としての想いを最大限に引き出していったプロジェクトでした。ペルソナへの寄り添いと地域資源の発掘を繰り返し、プロジェクトメンバー全員が納得感をもつまでアウトプットにこだわる。そんな当時の情景を思い起こすような鼎談となりました。この度の鼎談をお引き受けいただいた齋藤様、ありがとうございました。

ミミクリデザインは、最新の学術研究に裏打ちされたワークショップデザインの方法論を駆使しながら、企業や地域の課題を創造的に解決するファシリテーター集団です。ワークショップとリサーチの手法を組み合わせたユニークなプロジェクト設計による商品開発、組織開発、人材育成、地域活性化などのコンサルティングサービスを提供しています。

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