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NFTの転換期"ソーシャルミント"の時代

こんにちは・👅・MIMICです。
NFTで年内に100万円の売り上げをつくるために日々試行錯誤しています。

タイトルの通り、今回はNFT界隈で最近話題になっている"ソーシャルミント"と、その代表的なサービスについて紹介します。


ソーシャルミントとは?

まず、NFTを発行することを"ミント"と呼びます。これはクリエイター自身がNFTをミント(発行)してリスト(販売)をすることもあれば、クリエイターはミント可能なデータのみをアップしておき、それを欲しい人がミントするユーザーミント形式があります。
NFTをミントする際、それを実行するためのガス代(手数料)が発生するため、クリエイター自身がガス代を支払ってミントするか、それともガス代自体を購入者の負担にするかの違いになってくるというわけです。

では、ソーシャルミントとは何か?ということですが、これは特別なミント形式が存在するというわけではなく、SNS(ソーシャルネットワークサービス)上でミントすることを指して"ソーシャルミント"と呼ばれています。

When crypt transactions were much more expensive a few years ago, people were trading NFTs on secondary markets for large sums totaling billons dollars.
数年前、暗号取引がもっと高価だった頃、人々は流通市場でNFTを総額数十億ドルの大口で取引していた。

That activity has since subsided, and in its place has risen a new consumer behavior: minting low-cost NFT collections on social apps like Zora and Rodeo.
その活動はその後沈静化し、代わって新たな消費行動が台頭してきた。
それは、ZoraやRodeoのようなソーシャルアプリで低コストのNFTコレクションを鋳造する活動である。

This represents a significant shift for the NFT market, one that was largely inconceivable before a drastic reduction in transaction fees.
これはNFT市場にとって大きな変化であり、取引手数料の大幅な引き下げ以前にはほとんど考えられなかったことである。

a16zのレポートより抜粋

ここではsocial collectingとも言われていますね。
ブロックチェーン技術を取り入れたSNSでは、今のSNS上にある「いいね!」と同列のアクションとして「ミント」のボタンが用意されています。サービスによって「ミント」や「コレクト」など呼び方は変わりますが、機能は同じで、フィードに出てきたコンテンツ(イラストや写真やアニメーションなど)に対してミント(コレクト)することで、アカウントと紐づくウォレットにそのコンテンツが保管されるというものです。
もちろん、ミントしたコンテンツはマーケットプレイスを通して売買することも可能なので、ミント期間を過ぎてしまったコンテンツを第三者から購入することもできます。
※ミント可能な期間の設定もサービスによって異なります

取引手数料の高いEthereumチェーンからEthereumのL2と呼ばれる取引手数料を格段に下げたチェーンの利用者が増えてきたことで、ガス代をほとんど意識することなくNFTをミントできるようになったことが要因の一つであると考えられています。

また、2023年にオープンエディションのNFTブームがあったことも今のソーシャルミントが受け入れられる文脈の一つと言えるでしょう。

TumblrのようなZORAと InstagramのようなRodeo

ソーシャルミントが実装された代表的なサービスとして挙げられるのがZORAです。

ZORAに投稿される作品は、写真、Gifアニメーション、イラスト、AI生成画像など多岐にわたります。モバイルアプリのUIはインスタライクではあるものの、全体的な雰囲気は昔のTumblrのようなアングラなインターネットを感じさせます。(FFFFOUND!のような)
コンテンツをミントするには、ZORAの独自トークンであるSparksを(Baseチェーン上のETHで購入)使用する仕組みです。
独自トークンを導入することで、ミント毎のトランザクションを承認するフローが省略され、ポップアップやアプリの遷移が走ることなくNFTの収集ができます。

コンテンツがミントされると、ミントの際にコレクターが支払った金額からいくらかがクリエイターに報酬として支払われます。
報酬のシステムはやや複雑になっているため今回は割愛しますが、だいたい1ミントに対して数十円程度です。

RodeoはZORAに次いで代表的なソーシャルミントサービスです。(とはいえ、現状の規模感でいうとZORA:Rodeo=9:1 ほどになります)
多くの有名クリエイターを輩出したマーケットプレイス Foundationが開発しているサービスであり、FoundationのInstagram公式アカウントでは過去の投稿を全て削除しRodeoのアカウントとしてリスタートを切るぐらいの力の入れようです。

10/24の大型アップデートで、ミントを「コレクト」へと呼び方を変え、Rodeo内でのコンテンツ収集体験を改善する仕様の変更もありました。具体的には、サインアップで使用したウォレットとは別に、全てのアカウントにそれぞれRodeo専用のウォレット「Rodeoウォレット」を付与。サービス内でコンテンツをコレクトする際には、このRodeoウォレットにデポジットしたETH(Baseチェーン上のETH)を使用することでポップアップやアプリの遷移を回避しています。

目的はZORAの独自トークンであるSparksを使った決済と同様ですね。

Rodeoの特徴は、投稿したコンテンツのミント期間が24時間に限定されているところであり、その期間の短さによってユーザーがミントを急ぐ設計になっていると言えます。
これまではユーザー数の少なさを感じるミント数(カテゴリの上位で50〜80ミント)でしたが、大型アップデート以降、著名クリエイターが次々参入している報告が見られているので今後の伸びに期待できそうです。

こちらの動画では、Rodeoのことを『Instagram と Tumblr が赤ちゃんを産んで、それをブロックチェーン上に置いたようなもの』と言っています。
ZORAとRodeoはUIが非常によく似ていますが、Rodeoの方がややカジュアルなコミュニケーションを意識しているようなデザインです。

収益性はどの程度か?

ソーシャルミント系サービスは大きくユーザーを伸ばしているものの、収益性に関しては多くの議論が生じています。
ZORAにしても、Rodeoにしても、コンテンツが1つミントされた際の収益は数十円(20円前後)です。そして1コンテンツが100以上ミントされることは、一部の既に有名であるクリエイターを除いて非常に難しいでしょう。

その低価格ミント故の収益性の低さには、報酬額の向上を求める声や、ミントの価格設定をクリエイターが自由にできるようにするべきといった要望なども数多く見られます。

ただ、個人的にはソーシャルミントに対して大きな収益性や投機的な役割を担わせることはサービス本来の良さを潰してしまう危険な方向だと感じるので反対の立場です。
そもそも、ソーシャルミントは本来1円にもならなかった普段の投稿に対して報酬を発生させている仕組みであり、通常のNFTの販売と比較するのは誤りです。つまり、ここで調整するべきは販売するべき作品をソーシャルミント用のコンテンツとして投稿しているクリエイター側であり、サービス側の問題ではありません。報酬額の低さを問題にするのであれば、単にソーシャルミントさせるのではなく、マーケットプレイスで販売をするべきなのです。

一方で、AI生成作品やGenerative Artはクオリティも高く、ハンドメイドで作品を作っているクリエイターが投稿コンテンツの質を重視しなければアテンションを取られてしまう環境であることも事実です。

この問題は、ユーザーが爆発的に増え、ソーシャルミントがカルチャーとして根付いた際はおそらく解決しうるものではあるので、現状はやはりユーザーの増加に他ならないでしょう。

ソーシャルミントは一時の流行に過ぎないか?

トークンの投げ銭機能が実装されており、ZORAやRodeoとも連携が強いFarcasterのクライアントWarpcastは一時期多くのユーザーが流入してきたものの、最近ではかなり人が減ってきています。

Farcasterを覚えているだろうか?
彼らは24年5月に10億ドルの評価額で1億5000万ドルを含む1億8000万ドルを調達した!
7月1日、Farcasterはプロトコルの累積収益で200万ドルを達成した。
それから約4ヵ月後、累積収益はわずか234万ドル。
Farcasterはほとんど存在しない
Duneによると、プロトコルは10月に入ってから10Kドルしか収益を上げていない👀。

Rodeoのアカウントを作成するにはWarpcastでの承認が必要なため、Farcasterのアカウントを作成する必要があります。また、Farcasterのアカウント作成には年間400円を払わなければなりません。

ソーシャルミントサービスに人を集めるにはクリプト外のユーザーを呼び込むことが必須であり、現状はまだまだハードルの高さをクリアにできていないように思います。このままこれらの課題が解決されなければ、マスアダプションすることなく一時の流行として徐々に現在のユーザーも離れていくことでしょう。

課題解決の見通しはあるか?

ソーシャルミントサービスに限らず、クリプトが関連するサービス全般に言えることではありますが、

・ガス代(手数料)の高さの問題
・初期費用の問題
・ウォレットの概念の問題
・アカウント登録の問題

これらが主に最初の障壁となる問題です。ガス代の高さはEthereum L2チェーンや、その他の振興チェーンでは既にほぼ解決されていると言っていいでしょう。

初期費用の問題はまだ王道のアプローチが定まっていないように思います。
ZORAにしてもRodeoにしても、ソーシャルミントを体験するにはまず仮想通貨を所持していることが条件となるため、手ぶらでサービスを試してみることができません。以前のZORAは最初のミント者がガス代を負担するシステムがありましたが、アップデートによってそのシステムはなくなりました。

ガス代の建て替えを運営側が負担するか、購入者が負担するかの仕組みをうまく設計して、新規ユーザーがまずサービスを体験をできるようなオンボーディングが必須でしょう。

ウォレットの概念の問題とアカウント登録の問題は、既存のWeb2サービスのアカウントを使用したログイン機能の実装で解決できるはずです。
RodeoではInstagramのアカウントでサインアップすることができ、SUIチェーンにはGoogleアカウントを使用してサービスのサインアップができるzkログインの機能があります。

一つ一つをクリアしたうえでサービス体験として既存SNSを代替するぐらい面白いものでなければならないのは非常に困難な課題ですが、ソーシャルミントが一般に浸透した世界が早く訪れることを期待します。

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