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短編小説0055 女子高生が食べない弁当 484文字 1分読

昼食時にはとっくにない
午前中で食べてしまう弁当
だから昼飯は売店でパンを1~2個買って食べる

隣の席のあやがいつも弁当を残している

「あやって弁当残すよね」

「小食なの」

「もったいない」

「亮太くんにあげようか?」

「マジ?欲しい!」

この日からオレはあやから毎日弁当をもらう事になった
あやの持ってくる弁当は量が多くなった
明らかに俺用だ

「いやあいつもわりいね」

「ううん」

オレの食べる量とは逆に益々あやの食べる量が減る

「お前全然食べないな」

「うん、食欲ないんだ」

心無しかあやは顔色が悪くどんどん痩せていっている
そんな日がずっと続いた

突然あやは学校に来なくなった
栄養失調で入院したと先生から聞いた

病院に見舞いに行くと衝撃の話を聞いた

あやは年下の兄弟3人の面倒を見ながら家事をこなし、病気がちの親の面倒を見つつオレの弁当を毎日作っていたのだ
睡眠時間が少なく、疲労の蓄積ともともとの小食に拍車がかかり倒れたのだ

「お前んち大変なのにどうしてオレの弁当なんか作ってたんだよ」

「私が作りたかったの亮太くんの弁当作りが毎日の楽しみだったの」


オレは悔しくて嬉しくて情けなくて涙が止まらなかった



おしまい

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