短編小説0054 陸上部の理由 1467文字 2分読
走っても走っても追いつけない。
どれだけ練習しても届かない。
いっそのこと辞めてしまおうかとも思う。
こんなに苦しくて地味な競技なんて。
そもそも陸上競技を始めたきっかけはなんだったっけ?
幼稚園のマラソン大会で一位になった時に、友達や先生、両親に「早いね」「すごいね」と褒めちぎられた。走ることはつまり自分が得意な事であって、一位になるとか結果を出すとあからさまに周りがチヤホヤしてくれることがただただ嬉しくて、褒められる事を目的に走っていたように思える。走ることが気持ちがい